整理番号 欠点名 試料形態 糸使い 欠点発生状況 所 見 詳細表示
S-1 よこ斑(未延伸糸)  織物 ポリエステル 2〜5mm程度の細かい斑点(濃染)がよこ方向に点在し、染料の粉末が付着汚染したような状態になっている 濃染された部分を電子顕微鏡で撮影した結果、フィラメント36本のうちの数本が異常に太くなっており、いわゆる虫と称する未延伸糸であることがわかった。未延伸糸は紡糸の際の延伸不良によるもので、製織されると2〜100mm位の筋が入り濃染される。この濃染された部分は強度が低く、伸度が非常に大きいのが特徴である。 詳細表示
S-2 たて縞(異種糸混入) レース 綿 黒色の地に赤のたて縞欠点が数箇所入っている。 繊維鑑別の結果、本欠点は綿とポリエステルの交撚糸が混入したために生じた異種糸混入のための欠点であることが判明した。 詳細表示
S-3 たて縞(精練不良) 織物 半練り先染め糸使いの正絹喪服帯地に不規則なたて縞が現われている。 帯地であるので絹のセリシンを落さない様に染めるために、比較的低温で染色したものと考えられ、ハイドロサルファイトで簡単に脱色できた。これを再染色したところ、たて縞は完全に無くなった。従って本欠点はたて糸が半練りで先染糸であるので、練斑による染着差または染色方法の不適正などによってたて縞が発生したものと考えられる。なお、念のため検撚したところ撚数の差はなかった。 詳細表示
S-4 たて筋(糸形状異常) 織物 たて方向に数本の淡色の筋が見られる。 マイクロスコープ観察の結果、欠点糸には偏平になっているフィラメントが混じっており、これが淡色に見え、たて筋となっている。偏平なフィラメントの出来る原因は、繰糸工程中に鼓車から糸条が外れたために、心棒で強く擦られ、繰製中でまだ柔らかい糸条が偏平糸になったものと推察される。 詳細表示
S-5 たて縞(精練不良) 織物 織物の全面に、たて糸が濃淡の色相差を生じ、たて縞が現われている。 生糸を先練りする際に精練が不均一に行なわれたためにセリシンの脱落斑を生じ、これが染料の染着性に差を生じさせて、たて縞の原因となったものであると考えられる。 詳細表示
S-6 たて縞(未延伸糸) 織物 ポリエステル 織物の全面に幅1〜5mmの幅でたて縞が発生している。正常部分が濃色に見えるのに対し、欠点部分は淡色に見える。なお、撚糸のセット条件は、真空スチームセツトで130℃、60分である。また原着糸を使用している。 この織物の熱応力試験の結果、正常部と欠点部とでは熱履歴に大きな差が見られた。この要因として撚糸のセット条件が異なっているのではないかと推定されたので、セット温度を130℃と78℃にして2種類の撚糸を作って比較試験を行った結果、非常に類似した熱応力曲線が得られた。また、強伸度測定の結果からも同様の傾向を見出すことができた。以上のことから、本欠点はセット条件の異なる撚糸が混入したためのたて縞であると推察される。なお同工場ではジョーゼット用撚糸も扱っている(セット温度83℃)ので、誤って130℃でセットするべき糸を83℃でセットしたものと考えられる。 詳細表示
S-7 たて縞(異原糸混入) 織物 ポリエステル 織物全面にたて縞が発生している。整経は1バンド780本を14回(10920本)繰返している。 正常なたて糸は24フィラメントであるが、36フィラメントの糸がランダムに多数混入していることが判明した。原糸の管理が適正でないため、異品種の原糸が混入したままで製織されてしまったものである。 詳細表示
S-8 たて縞(撚異常) 織物 ポリエステル 縞欠点が織物全面に不規則な縞模様となって現われている。生機ではこの欠点は発見できず、染色加工後に現れたものである。 検撚の結果、上撚りには異常はないが、下撚りに差異が認められる。欠点糸は正常糸に対して約140T/mの甘撚りとなっている。欠点部分を拡大観察すると、たて筋糸は浮き上がっており、たて筋糸を中心にジャミ(チ力のような現象)が入っている。これらの現象はたて糸の撚数差からくる収縮斑によって生じたものと考えられる。 詳細表示
S-9 たて縞(異状張力) 織物 ポリエステル ポリエステル加工糸織物に巾3mm程度の縞が全巾に発生している。たて縞部分にはシボが発生しているので一層縞を浮きだたせている。 電子顕微鏡写真の結果、側面形状、断面形状に差異は認められず、両者とも仮撚糸特有の形状をしている。従って仮撚加工工程は順調に行われたものと考えられる。熱応力試験の結果、シボのない部分のたて糸は特に第一極値の熱応力が大きく、常温下で異状張力がかかった糸であることが推察される。従って本欠点はシボのない部分のたて糸が異状な収縮を示したために正常な部分のたて糸が弛み、サッカー状を呈したものと解釈される。 詳細表示
S-10 たて筋(静電気因) 織物 たて筋は濃く見えるところと、淡く見えるところがある。筋は長さ5cm位から20cm位で消えている。糸斑あるいは筬筋といった現象と似ている。 顕微鏡で観察すると濃く見えるところは糸が出っ張ったり、よろけたりして太く見える。この糸をほぐしてみると撚りが崩れており、図に示すような丸い空間が2〜3か所ある。俗に糸が笑っているという状態である。静電気の起きた糸を撚り合せた場合、必ず中心に撚りがかからず穴があいた状態となるが、本欠点糸も同じ状態になっているので静電気による欠点と思われる。 詳細表示
S-11 たて筋(原糸違い) 織物 ポリエステル 無地染めのポリエステル加工糸織物に不染糸のようなたて筋が数十本現れている。糸をほぐすと欠点糸は淡染されている。 糸の横断面の電子顕微鏡写真の結果より、正常糸は普通糸の仮燃り加工糸であり、欠点糸は異型断面糸(△断面)の仮撚り加工糸であることが判明した。 詳細表示
S-12 たて筋(張力異常) 織物 ポリエステル 織物の中ほどに7〜8mmの間隔で2本、それから約15mm離れたところに同様な間隔で2本、計4本のたて筋が入っている。このたて筋は生機では見えず、仕上加工後即ち熱セットによってたて筋が発現したものである。 この種のたて筋の原因としては、セット温度が低い時、仮撚時の撚数の違い、またはフィード率の違い、原糸のタイプ違いなどが考えられるが、本欠点は熱応力のピーク温度は同じなので仮撚温度は正常であったと思われる。強伸度測定によれば欠点糸は強度、伸度共に低下しており、仮撚時の張力(フィード率)に一番問題があるのではないかと考えられる。 詳細表示
S-13 たて筋(異原糸混入) 織物 ポリエステル 黒地に白いたて筋が5本入っている。このたて筋糸は全く染まっていない。 ポリエステルスパン糸使いの織物のたて糸に、綿糸が混入したために生じたたて筋欠点である。後染めであるため、染色後にたて筋が発現している。この欠点は、製織以前即ち、サイジング工程で原糸を混入したものと考えられる。なお、この種の欠点は前付染めが行われているならば未然に防ぐことができる。 詳細表示
S-14 たて筋(異原糸混入) 織物 綿 空色に染めた綿100%のレース地にやや淡色の筋が入った欠点である。染色前は全く判らなかったが、染色後に発現したものである。 欠点糸をとり出して脱色し、鑑別染料で染色し、上撚を解燃して顕微鏡でみると1本が緑色に他の1本がオレンジ色に染まっている。正常部の綿を染めてみると緑色に染まることから、オレンジ色の糸が欠点糸であることが判る。この欠点糸は、ロダンカリに溶解したことからアクリル繊維の可能性が大であり、また赤外分光光度計による分析の結果CN結合の特徴が現われたのでアクリル繊維であることが判明した。 詳細表示
S-15 たて筋(精練不良) 織物 ナイロン 無数のたて筋がランダムに配列されている。織物を透かしてみると隙間があるので密度斑を生じていると考えられる。たて筋糸は光線の具合によっては光るのでたて吊欠点のようにもみえる。この生地の用途は傘地であるためプレセット後に精練、染色、樹脂加工が行われている。 一般にプレセットがきついと、たて糸糊は落ちにくくなるが、本欠点はプレセットがきつすぎ、たて糸糊の脱落斑を生じたのか、あるいは精練条件があまかったために糊脱落斑を生じたのかのいずれかに起因していると考えられる。電子顕微鏡写真を比較してみると、たて筋部分のたてよこ糸の交叉している間隙に樹脂がつまっているのが観察される。即ちたて糸糊の脱落斑がある状態で樹脂加工されたためたて糸の密度に斑を生じたものと考えられる。なおプレセット以前にリラックス精練が行われていればこの種の欠点は目立たなくなることが予想される。(注:プレセット温度が高く、精練時間が短いとサイジング剤が樹脂化して充分落ちない) 詳細表示
S-16 たて筋:節状(糸傷) 織物 ポリエステル 織物の全反にわたって数cmのたて筋が点在している。筋の箇所は糸が浮いており、フィラメントの切断などもみられるので非常にはっきりした筋を形成している。 電子顕微鏡で観察した結果、たて筋糸はフィラメントの荒れが著しく、ビリ状のループもある。原因としては準備工程中にガイド疵等により毛羽を発生し、製織段階でたて糸が綜統メールや筬羽を通過するときに助長されてそのまま織り込まれたものと推察される。 詳細表示
S-17 たて筋(撚異常) 織物 織物の中央附近にたて筋が1本だけ入っており、その長さは約1mでその前後は異常がない。 たて筋部分の上撚数が非常に多いことが判った。わずか1m程度の短い区間だけが強撚になっているが、原因は撚糸中のドラムスリップか糸のひっかかりにより瞬間的に過剰な撚糸がなされたものと考えられる。 詳細表示
S-18 たて筋:サシ(精練不良) 織物 半駒羽二重の紋付生地で黒色に染色された後に発見されたサシである。2〜20mmの白っぽい糸が織物全面に散在している。 欠点糸に付着している物質は各種の薬品で処理しても容易に脱落せず、接着性の強い物質であると考えられる。絹糸は2本のフィブロインが20〜30%のセリシン(膠質)に覆われているものであり、羽二重などになるとこのセリシンを精練で完全に落とす必要があるが、上記の結果からセリシンの脱落斑が原因として考えられる。電子顕微鏡写真から、正常糸に比較して異常糸には沢山の異物が付着しており、なお注意して観察するとこの異物は付着しているというよりもフィブロインから剥離しているとみられ、これは当然セリシンということになる。セリシンは半溶解の状態から再結晶化されると、その結晶性は強固なものになり、再度溶解することはむずかしく、かつ染色性も悪くなる特性をもっている。以上のことから、本欠点は精練不良に起因するセリシンの脱落斑によって生じたサシであると考えられる。 詳細表示
S-19 たて筋(原糸異常) 織物 ナイロン 織物の中央に5本のたて筋糸が約5mm間隔で入っている。肉眼では、はっきりわからないが検反機で流すと判る。 たて筋糸は強度が大きく、繊度も2〜3d大きい。また熱応力がやや大きく、フィラメント数も正常糸が24本であるのに対して28本と異なっている。従って、本欠点は全く異種の糸が混入したために生じたものである。なおフィラメント数28本のナイロン70d糸は現在(試験当時)どの原糸メーカでも製造していないので原糸の紡糸ミスと考えられる。 詳細表示
S-20 たて筋(撚異常) 織物 ポリエステル たてに1本の筋が入っているが、反射光線では目立たず、透過光線でみるとはっきりと筋が入っていることが判る。この糸は仮撚機のフィード率変化により、糸に部分的な仮撚の斑を故意に作って太さ斑を生じさせている一種の意匠糸(ストラクチャーヤーンタイプ)である。また25%の減量加工が施されている。 この織物組織を構成する双糸の見掛繊度を測定したところ正常糸で975.5dであったのに対して欠点糸は903.9dと大きな差があり、一見して繊度差が原因となっての筋と思われたが、双糸の上撚を解撚し単糸にして繊度を測定した結果、461.1dと450.7dであり、ストラクチャーヤーンであることから大きな差であるとはみられない。また強伸度については正常糸が1.4g/d、欠点糸が1.3g/d、で若干欠点糸が弱い。上撚数を比較すると正常糸が370.7T/mであるのに対し、欠点糸は68T/mと1/5以下の上撚数であり、このたて筋欠点は上撚数の不足により生じた欠点であることが判明した。 詳細表示
S-21 たて糸吊り(異常張力) 織物 レーヨン、ポリエステル 黒地に白線の入った交織織物であるが、欠点部分の白線の太さが正常部分に比鮫して細くなっている。 ポリエステルの黒地にレーヨン糸を等間隔に配列した交織ストライプポーラのたて筋欠点であるが、顕微鏡で観察するとレーヨン糸の配列が悪いことがわかる。即ちモデル図で示すように欠点部分のたて糸(レーヨン糸)2本が恰も1本であるかのように見える。物性試験の結果、織縮み率に差異が認められた。欠点部分の織縮み率は22.3%と19.3%で、1本のレーヨン糸は正常であるが他の1本が吊っていることがわかる。従って本欠点は1本のレーヨン糸に異常張力がかかり、もう1本のレーヨン糸との間隔が狭められたためにたて筋欠点となったものである。 詳細表示
S-22 たて筋(筬筋、筬当り) 織物 ポリエステル たて筋は染色後に発見されたもので、耳端から40〜50cm位までの範囲でランダムに発生している。生地はウォータージェットルームで製織したものである。 写真1は織物の顕微鏡写真であるが、中央のたて筋糸が疵つき濃染されていることがわかる。写真2、3はたて糸を織物からはずして更に拡大したものであるが、たて筋糸は毛羽立ちが激しく、毛羽の先端は溶けた状態になっており、毛羽が濃染していることがわかった。写真4、5はたて筋糸に対応する筬羽の電子顕微鏡写真であるが、筬羽の前、後の疵が著しかった。従って、本欠点は筬羽に生じた疵がたて糸を傷め、濃染される原因となった様に考えられたて筋欠点と云うよりも、筬当り欠点と見るべきと考える。なお本欠点はたて筋糸が顕著に濃染するのが特徴である。 詳細表示
S-23 たて筋(引込み違い) 織物 ポリエステル マットジョーゼットの全幅の中に1本だけたて筋が入っている(No.1)。反射光線では見難いが透過光線で見るとはっきりと濃色の線になって見える。同品種(No.2)の別の布地には2本のたて筋が入っている。透過光線で見ると1本は濃く見え、もう1本は透けて見える。 マットジョーゼットのたて糸配列はS撚とZ撚が2本交互であるが、本欠点は配列違いによるものであることが判明した。仮に整経時の枠立てで配列違いをしている場合には等間隔の整経縞が発生するはずであるが、本欠点の場合No.1には1本、No.2には2本のみたて筋が入っているので、引込み作業中のミスによるものと、製織中にたて糸が切れた時に撚方向の異なる糸を継いだ場合が考えられる。 詳細表示
S-24 よこ斑(杼ずれ) 織物 ナイロン、ポリエステル/綿混紡糸 樹脂加工された濃紺の生地に、よこ方向に沿って白い斑が4〜50cmにわたって付着している。一見して杼ずれの様に見受けられたが、一般に杼ずれは耳端から20cm前後の所に1〜3cm程度の白い斑点がたて方向に連続して現われるものである。本欠点は生地の中央に大きく現われているため樹脂加工のミスとも考えられる。よこ糸が太繊度糸使いで広巾織物を製織する場合に、この種の欠点が現われる場合がある。 試験の結果、杼ずれ欠点であることが判明した。理由は(1)たて糸のフィラメントの一部が溶融し、杼の方向性を示していること。(2)たて糸1本おきに発生していること(開口時における下糸のみが杼で摩擦されて損傷する)。現場調査の結果、広幅織物でラージ化された杼が使用されており、しかも□開きが狭いため杼通りを悪くしていることがわかった。 詳細表示
S-25 よこ斑(杼ずれ) 織物 ポリエステル 織物の所々に、よこ糸に添っておよそ2〜3mmの長さで白っぽく異常な光沢を呈している欠点が、たて方向に5〜10mmほどの範囲に連続的に発生している。 この織物を顕微鏡で観察すると、肉眼ではよこ方向の欠点のように見えるが、実際はたて糸に発生した欠点であり、しかも欠点糸と正常糸が1本交互に現われていることがわかる。また欠点箇所の状態は、糸の表面が溶融したようになっており、しかも、織物の断面写真でよくわかるように溶融した所が方向性をもっている。以上のことから本欠点は、たて糸がシャットルに押し潰され、摩擦熱で溶融したために生ずる杼ずれ欠点であると考えられる。 詳細表示
S-26 よこ斑(異常張力等) 織物 ポリエステル/麻混紡糸 正常部分のシボ立ちが大きく欠点部分は小さい。欠点部分の色は淡く見える。欠点部分と正常部分の境に口合せした跡があるのでシャットルを交換してから生じたものである。 織物密度や混紡率においては差異は認められないが、強伸度測定の結果から、よこ糸が部分的に弱っていることが推察される。また顕微鏡写真からは欠点部分のよこ糸に毛羽立ちが多く観察される。従ってこの欠点は準備工程(特に管巻工程)におけるガイドの疵、あるいは製織中、シャットルの目ガラス疵やシャットル側面の疵による異常張力により糸がしごかれて毛羽立ちを生じ、部分的な繊度斑を生じてできた欠点と考えられる。 詳細表示
S-27 よこ斑(油剤付着) 織物 絹、アセテート よこ方向に4〜10cm程度の濃染糸がランダムに入っている。染色は引染めによるボカシ染めである。 よこ糸には絹とアセテートの合撚糸が使用されており、顕微鏡で観察すると絹糸が濃染していることがわかった。欠点布を脱色後再染色したところ、染斑は発生しなかった。また欠点布の生機(白生地)を充分精練してから染色しても欠点は発生しなかった。原因は絹糸が部分的に染料を吸収しやすい要素(例えば油剤が付着していたなど)があるために生じた欠点であると考えられる。ボカシ染めのような染法にはこのような欠点が出やすい。 詳細表示
S-28 よこ斑(原糸違い) 織物 ポリエステル サンプルはポリエステルジョーゼットの抜染による水玉模様の織物であるが、よこ糸2本交互に不染糸が混入している。 電子顕微鏡写真の結果、ミクセル糸(ポリエステルとアセテートの混繊糸)であることがわかった。ポリエステルもアセテートも分散染料で染色されるが、アセテートのみが不染になったのはポリエステルのセット温度(蒸熱85℃位)で撚止めが行なわれているため、アセテートが失透し染まりにくくなったものと考えられる。 詳細表示
S-29 よこ斑(異常張力) 織物 ナイロン 7〜8mmのよこ斑が所々に発生し、しぼ立ちの異常を呈している。見方によっては部分引けのようでもあり、透過光を当てると隙間が空き、若干シボも粗くて大きい。 よこ糸の撚数を測定した結果、欠点部分のS撚に大きなバラツキがあり、これが欠点原因のように思われる。欠点糸はよこ糸16本位で消えている。欠点糸の長さは織物の幅を仮に1mとするならば16mということになる。走行中の糸がわずか16mという短い距離で撚変動を生ずることは撚糸や仮撚工程では起きにくい。偏光顕微鏡で観察したところ、欠点糸は青味が強く、所々にフィラメント裂けがみられる。原因は毛羽などの発生か何かで一時的に過張力が加わり、糸がしごかれてフィラメントが裂けたことに加え、撚り異常を生じたものと推察される。 詳細表示
S-30 よこ斑(撚異常) 織物 ポリエステル、レーヨン 全巾にわたるよこ斑で、たて方向に6cm程度のよこ斑が所々に発生している。よこ斑部分はシボ立ちが悪く、密度が濃くて淡く染っているようにえる。また楊柳のシボは立っていない。 検撚の結果、よこ斑部分は明らかに強撚糸が織られていることがわかった。このよこ糸は正常部分から異常部分にかけて連続した一本の糸であるから、原因としては撚糸機におけるドラムの回転斑(スリップ)であると考えられる。なおよこ斑部分が淡く見えるということは、強撚のため染料が吸収し難い状態になっているためである。 詳細表示
S-31 よこ斑(糸傷) 織物 ポリエステル ポリエステル強撚糸織物のヒケ状のよこ斑。 写真1は正常な部分のよこ糸、写真2はよこ斑部分のよこ糸の電子顕微鏡写真であるが、欠点糸は溶融、ささくれなどの損傷がみられる。損傷の状態から推察すれば、撚糸中または撚糸後の過激な摩擦によって生じたものと考えられる。ポリエステル撚糸織物によく現われる白沢現象の糸と類似している。熱応力試験の結果、欠点糸はピーク応力が高く、立ち上り温度が低いヒケ特有の曲線を示している。原因としては撚糸、繰返し、管巻、シャットル等のガイド関係の疵あるいは糸速が早過ぎたために生じた欠点と推察される。 詳細表示
S-32 よこ斑:ジャー(湿度因等) 織物 ベンゾエート よこ糸の方向に細かい隙間が短くあるいは長くでき、あたかもよこ引けか、部分杼間のように見える。特に夏季など高温多湿の時期に多く発生している。 ジャー欠点はたて糸がアセテート使いに最も出易く、その他レーヨン、ベンベルグなどにもみられる。たて糸の糊剤は吸湿性の強い糊剤を使用したとき、たて糸の撚数が多いときなども発生しやすい要因である。原因はたて糸の粘弾性に起因するが、たて糸張力のバラツキや、空気中の水分の影響が強く働いていることも考えられる。図はジャー現象を図解したものである。欠点部分の糸がわずかに盛り上っており、手でなでるとざらつきがある。このような現象はチカ現象に類似している。またよこ糸の打込みは図のように屈曲して織込まれるので隙間があき、短い杼間のようにみえる。防止法としては空気中の水分を除去することであり、そのためには冷房を利かすことが簡単で最も有効な手段とされている。なお本欠点は製織中に発見され、給湿すると欠点がはげしくなり、乾燥することにより防止することができた。 詳細表示
S-33 よこ斑(張力異常) 織物 織物全反の数か所にたて方向で50〜60cmから2〜3mの長さで、全巾に鬼シボ状の欠点が現われている。発生状態からみて、たて糸には問題はなく、よこ糸に問題があると推察された。 よこ斑部分のよこ糸と正常部分のよこ糸を織物からはずして比較してみると、欠点糸のクリンプが大きいことがわかる。図2はマイクロスコープ観察結果のよこ糸比較模型図であるが、正常なよこ糸は絹紡糸が芯糸となり、生糸がそれに巻きついているような形態をしているが、欠点糸は生糸が緊張ぎみに巻きついているようにみえる。よこ糸の生糸だけを切断すると、正常糸の絹紡糸には長さの変化がほとんどないが、欠点糸は絹紡糸のクリンプが伸びて長さが変化する。原長30cmについての伸びが、正常糸1.0mm(0.3%)、欠点糸は4.5mm(1.5%)であった。以上のことから、本欠点は合糸不良によるものであると判断され、即ち欠点糸は生糸に過剰な張力が加えられたために芯糸となり、絹紡糸が生糸に巻きついた状態の壁撚を形成したものであると推察される。 詳細表示
S-34 よこ斑(異常張力等) 織物 よこ斑部分は太繊度糸を織込んだようにみえ、全反にランダムに発生している。 よこ糸の織縮み率試験の結果、よこ斑部分のよこ糸は弛んだ状態で織られていることが推察される。なお、この弛みはよこ入れのときシャットルからの解じょ斑によって生じた場合と、準備工程のミスから糸形状に変化をもたらし、弛んだ状態で織られる場合とが考えられる。顕微鏡写真の結果、よこ斑部分のよこ糸は双糸のうちの一方の糸が所々ループを形成しており、ブランの切断もみられる。原因としては合糸時の張力不均衡によるものと判断されるが、合糸ガイドの疵か、シリンダーの鍔に疵があり走行中の張力に斑を生じたものと推察される。 詳細表示
S-35 よこ斑:シボ斑(撚異常) 織物 織物の全反にわたって所々に現われたシボの異るよこ斑である。この欠点は生機ではわからず、精練加工後に発現している。よこ糸は撚方向の異なる生糸が2本交互に打込まれている。 正常部と異常部のよこ糸撚構成を比較した結果、異常部のよこ糸2本のうちの1本が正常で他の1本が撚異常であった(下撚糸の甘撚)。本欠点は発生状態からみて、撚糸機の一時的なトラブルによる撚斑ではなく、糸の管理が不充分なために表示撚数の異なる下撚糸を混入して合糸し、上撚をかけたために精練加工後にシボ斑を生じたものである。 詳細表示
S-36 よこ斑(撚異常) 織物 欠点部分は1本-3本、1本-3本の周期性を持ったよこ斑で、正常部に比較するとやや荒い畝を形成し、わずかにシボ異常を生じている。 検撚の結果、31中/3/3の糸には異常はなかったが、31中/3/2の糸には、3本合糸すべきところを2本合糸して、下撚数をかけたものがあり、この糸の混入がよこ斑の原因である。 詳細表示
S-37 よこ斑(撚異常) 織物 ポリエステル ウォータージェットルームで織られたポリエステルシャーである。織物一疋に3か所のよこ斑が発生しており、欠点部分は一見すると隙間があいて密度斑(打込み斑)を生じているようにみえる。 欠点部分はよこ糸密度が異なっているように見えたが、実際には密度に差はなかった。撚数を測定した結果、正常部分のよこ糸撚数は1282T/mでばらつきが小さいのに比較して、欠点部分のよこ糸撚数は大きく、またばらつきも大きい(1400〜2700T/m)。欠点部分のよこ糸には過剰な撚がかかっているために、正常糸より細くなり間隙ができたものである。原因は加撚中に糸が一時的に停滞し、過剰に加撚されたものであり、撚糸機のドラム(タイコ)のゆるみによるスリップ斑が主因と考えられる。 詳細表示
S-38 よこ斑(精練不良) 織物 ポリエステル 生地は蛍光増白仕上げで、巾16.5cmの黄変したよこ斑が約5m間隔で発生している。同種の欠点で50cm〜1m位の間隔で発生しているものもあり、その場合には黄変したよこ斑が、徐々に淡くなり5m位の所でまた濃く現われるなどの周期性がある。 このよこ斑はよこ糸に平行しておらず、やや斜めに入っている。よこ斑部分のよこ糸を1本引き抜てみると、よこ斑の線が歪んでいることが確認できる。よこ斑の巾は機草のサイズと一致してり、約5m間隔に入っていることも機草を入れる頻度と同じと考えられる。機草用樹脂剤は、本欠点の場合は黄変されていることから塩化ビニル系と推察され、これが原糸油剤の脂肪酸エステルと反応してたて糸に付着するのか、あるいは樹脂剤が充分樹脂化されないときに、たて糸が強く押しつけられたためにたて糸に転写されることなどが考えられる。たて糸に付着した樹脂は、減量加工に使用される苛性ソーダと反応して黄変するものか、あるいはその被膜が減量加工を妨げたものであると推察される。従って本欠点は精練を省いて生機から直ちに減量加工したために減量斑を生じたものと考えられる。なお、この欠点は精練を充分行うことにより防止できる。 詳細表示
S-39 よこ引け(異常張力等) 織物 織物全巾にわたってランダムに発生したよこ引けである。正常部分から異常部分に移るところに、口合せ(よこ糸交換)の形跡がある。 撚数には特に異常は認められないが、強伸度については欠点糸の伸度低下がみられる。また強伸度曲線の初期引張抵抗度にも違いがみられ、よこ引け部分の初期引張抵抗度が正常部のよこ糸に比べて大きい。湿気を帯びている場合(空気中の湿度が多い、下漬後の乾燥不充分など)、絹糸は簡単に引伸ばされて引けの原因となる。また、準備工程などのガイド疵などがあれば当然これも引けにつながる。絹糸の中でも特に柞蚕糸は引けになり易い性質をもっている。 詳細表示
S-40 よこ引け(解じょ張力異常) 織物 ポリエステル ランダムに発生した引けである。布を張り加減にして指でなでるとよこ糸が張っていることがわかる。 生地の表面をなでるとよこ糸が部分的に張っており、引けであることがわかる。よこ糸の筋(引け)を中心にして強伸度及び織縮み率を測定したところ、筋の糸は強度、伸度及び織縮み率において、極度に低下していることがわかる。また、熱応力試験の結果からもよこ筋の部分の糸は第1極値、第2極値、第3極値共に正常糸に比較して熱応力が大きく、仮撚加工糸に異常な張力が加えられたものであることが推察される。従って本欠点は製織中におけるシャットル解じょ張力に異常が発生しているものと推察される。 詳細表示
S-41 よこ引け(張力異常)  織物 ポリエステル 全巾にわたって6〜7mmの間隔で、よこ引けが入り、しぼ斑を形成している。布地の両端を把持してたて方向になでると、等間隔でよこ糸が張っていることがわかる。口合せの跡はない。同種の欠点事例では、品種は異なってもよこ糸はいずれも強撚糸使いである。 よこ糸の強伸度測定の結果、欠点糸は強度、伸度の低下が著しく、過剰張力が加えられていることが推測される。また熱応力曲線からも過剰張力が加えられたものであることがわかる。従って本欠点はよこ引けであることは容易に判断される。よこ引け糸の周期はよこ糸28本毎に現われている。よこ糸はS、Z撚2本交互であるから、一方の撚糸については14本毎となる。従って糸の長さは14本×通し巾(1.33m)=18.6mである。一方Hボビンの中層部で、故意に下くぐり糸をつくり、連続張力を測定したものが図3である。糸の巻取速度220m/min、チャートスピード1mm/秒で5mm間隔の周期をもった異常張力が検出された。糸速220m/minは秒速3.7mであるから3.7m/秒×5秒=18.5mの周期であることがわかる。なお故意に下くぐりさせ糸を製織したところ同様の引けを再現することができた。また実際に機業場でHボビンの中層部における1ワインドの周期を測定すると18.5mであった。以上のことから本欠点はHボビン繰りエ程で糸継ぎをするとき、下くぐりさせたことにより生じた欠点と考えられる。仮りに管巻速度220m/min以上で巻いた場合は下くぐりした糸は切れて上らない。強撚糸については品質安定のため低速巻きが普及しているのでこの様な欠点が出たと考えられる。 詳細表示
S-42 よこ引け(張力異常) 織物 ポリエステル 織物全面に不規則な縞状のよこ斑が発生している。光線のあて方でほとんど見えなくなったり、明らかに見えたりする。 布地を緊張気味に張り、たて方向に指先でなでると欠点部のよこ糸が正常部のよこ糸に比較して異常に緊張していることが判る。よこ糸の織縮み率を測定したところ、正常糸が4.03%、欠点糸が2.69%と欠点糸の織縮み率は正常糸の67%程度しかなかった。以上の結果から、本欠点はよこ糸の張力斑に起因する欠点であると考えられる。一般的に、よこ引けの原因として原糸そのものに異常がある場合や、準備工程で異常な張力が加わった場合、管巻不良のため解じょの際、もつれて局部的に緊張した場合等が考えられる。 詳細表示
S-43 織段:色相斑(撚異常) 織物 ポリエステル、キュプラ レピア織機による先染め交撚糸織物に色相の異なる段が発生したもので、欠点部分は赤味がやや強く出ているように見える。よこ糸は、ポリエステルスパン双糸とポリエステルスパン糸とキュプラとの交撚糸が1本交互に打ち込まれている。ポリエステル糸はいずれも濃紺色に、キュプラ糸は赤色に染色されている。 この織物のよこ糸の番手、撚数、撚縮み率等を試験した結果より、2種のよこ糸のうちポリエステルスパン糸は本欠点には関係がなく、もう一方の交撚糸に欠点原因があることが判明した。このよこ糸の撚縮み率は正常糸3.6%欠点糸2.6%と欠点糸の方が小さいが、この解燃した状態でポリエステルスパン糸だけを切断した時のキュプラ糸については正常糸が3.8%で0.2%しか伸びないのに対し、欠点糸は4.8%と2.2%も伸びている。従って欠点糸は交撚時の引揃え状態が適正でないため赤味が多い交撚糸となり、これが色差を生じた直接の原因であると考えられる。なお偏光顕微鏡で観察した結果から、正常部と欠点部のキュプラ糸に明らかに差異が認められるが、キュプラ糸の履歴(主に準備工程における糸の張力)が異なっていることか考えられ、これが本欠点の直接的な原因となっているものと推察される。 詳細表示
S-44 よこ段(内外層差) 織物 ベンベルグ 約5mm幅のよこ段が所々に発生している。その段と正常部分との境目には必ず結び目がある。生機ではわからなかったが、染色加工後に発見されたものである。染色工場の検査では、400疋中64疋のC反が発生し、段以外の欠点もかなりある。 強伸度測定の結果、欠点部分のよこ糸は強度が低下しており、繊度比較では欠点糸が2.5dも細いことがわかった。密度検査では密度差がないので機械段ではないと考えられる。現場調査の結果、サイジングの残糸がよこ糸に使われていることがわかった。即ちこの織物はチーズの最内層糸を集めて織ったものである。チーズの最内層はどうしても糸の品質が不安定なので、できるだけ最内層は避けるべきである。本件のように内層糸ばかり集めて織れば欠点が出やすいと考えられる。 詳細表示
S-45 よこ段:斜め段(撚異常) 織物 ポリエステル 仕上生地で濃色部分19mm、淡色部分19mmの等間隔でよこ段が入っている。機械段の様に見えるが、よこ糸を変えて普通の加工糸で織るとよこ段は生じない。なお、この段はよこ糸に沿わず斜めに入っており、ウォータジェットル−ムで製織されたものである。 生機でもこのよこ段は、はっきり確認出来たので、生機のよこ糸について熱応力や強伸度を測定したが差異は認められなかった。次に仕上げ生地のよこ糸について撚数を測定した結果、濃色糸の撚数が多いこと、検撚試料を採取するときによこ段が斜めに入っていることなどがわかった。  図1は給糸チーズより10cmずつ連続して試料をとり、検撚した結果であるが、約90cmの周期で撚数変動があった。これは検撚時のつかみロスを考慮すると約120cmの周期ということになる。図2は斜め段の模型図で織物の通し巾に対して濃淡糸の周期が通し巾の1/2以上の時には右上りの段、1/2以下の周期の時には左上りの段が入ることがわかった。本欠点は左上りの段なので通し巾の1/2よりは小さい周期のものであることがわかる。 詳細表示
S-46 風合い違い:シボ斑(設計不良) 織物 この織物は、設計時の予定ではシボが出ることを期待していなかったものであるが、異常なシボ(楊柳状)が発生したものである。 この織物はたて糸が細くて無撚であるのに対して、よこ糸は太くて下撚3000T/m、上撚600T/mが加えられているので、よこ糸には強い収縮性とトルク性がある。織物の組織は俗にトルコ朱子と云われる破れ斜文で、たて糸が沢山浮いているのでよこ糸の影響を受け易い状態になっている。以上のことから本欠点は、よこ糸の影響でたてシボが発生したものであり、この種の欠点はたて糸が細く無撚で、しかも密度が甘いとき、加えてよこ糸が太く、加撚されている場合にはたてシボが出るものである。従ってこの欠点を防ぐには設計変更の必要があり、たて、よこ糸の繊度のバランス、組織、上撚と下撚のバランスなどに注意しなければならない。 詳細表示
S-47 風合い違い:幅不同(異常張力) 織物 アセテート、ナイロン アセテートの補強糸としてナイロン糸を合糸した交織織物で、幅不同とシボ斑の欠点が発生。正常部分は幅が狭くてシボが大きいが、欠点部分は幅が広くてシボが小さい。 織縮み率試験の結果、正常部分のよこ糸はアセテート糸もナイロン糸も同じ長さであるのに対して、欠点部分はアセテート糸が伸びている。これはナイロン糸を芯にしてアセテートが巻きつくような壁状の撚になっていることを意味している。顕微鏡写真でもその状態をとらえることができる。熱応力試験の結果、欠点部分のよこ糸には異常張力がかけられていることがわかる。以上のことから、本欠点の原因は異常張力に起因し、特に合糸工程で生じたものと推察される。アセテートとナイロンを合糸する場合、ナイロン糸が非常に細くて、テンサーから外れても目に見えずそのまま合糸されることが多い。またナイロン糸は正常に巻かれたが、アセテート糸に異常張力がかかり、合糸後のたて時変化で応力弛緩を起す場合もある。いずれの場合でもナイロン糸は芯となりアセテート糸が壁状に巻きつくことになる。 詳細表示
S-48 よこ斑:シボ斑(撚異常) 織物 ポリエステル 1cm巾あるいは2cm巾程度のよこ斑(シボ異状)が随所に現われている。糸使い、撚数からみてもほとんどシボの立たない織物であるが、欠点部分には大きな縮緬状のシボが発生している。 撚数を測定したところ、異状部分(シボ斑)のところに甘撚の糸が入っていることがわかった。シボ斑のたて方向の長さが1cmから2cm程度であるから、実際のよこ糸の長さ(甘撚になっている部分の長さ)は15cmから30m程度のものである。このような甘撚の現象は撚糸機のスピンドルの回転斑によるものと考えられる。 詳細表示
S-49 風合い違い:シボ斑(撚異常) 織物 ポリエステル 正常部分は適度なシボが立っているのに対して、よこ糸に添って全幅にわたってフラットな感じのシボの少ない部分がある。織物をたてにして斜視すると欠点箇所がはっきりわかる。 シボ斑欠点は主としてよこ糸の張力や撚数などの異常に起因することが多いが、本欠点の場合は甘撚糸の混入であることがわかった。 詳細表示
S-50 風合い違い:シボ斑(異常張力) 織物 アセテート、ナイロン よこ糸はアセテートダル75d、ナイロン15dの引揃えとアセテートブライト75dナイロン15dの引揃え糸とを合糸したものである。正常布にはシボがないが、欠点布には全面に凹凸のシボが発生している。 よこ糸を解撚して織縮み率を測定したところ、正常部分のよこ糸にはアセテート1%、ナイロン1%、欠点部分はアセテート1%、ナイロン0.3%であった。即ち欠点部分のナイロンは緊張した状態で合糸されていることがわかる。従って合糸機における張力のかけ方に異状があったものと推察された。ナイロン15d糸は非常に細いため走行中の糸は肉眼では見えず、しぱしばガイドからはずれてテンサーに巻きついたまま合糸されることがある。アセテートは応力弛緩の性質があり、ナイロンは応力に対する復元力が強く、全く相反する性質があるので同時に使用する場合は細心の注意がいる。 詳細表示
S-51 よこ段(口合わせ違い) 織物 よこ方向に、はっきりとした織段が生じている。 本欠点は、製織時に口合わせを間違えたために、織段が現われたものである(よこ糸同口)。 詳細表示
S-52 よこ筋(弛み) 織物 ポリエステル、レーヨン 交織タフタの無地染生地であるが、よこ方向に1〜5cmのカスリ状の筋がランダムに発生したものである。筋の両端はうすくヒケ状にみえる。 電子顕微鏡写真の結果、欠点部分のよこ糸は織物表面に浮き出ており、フィラメントの切断もみられる。従ってよこ糸は部分的に弛んだ状態で織込まれていることがわかる。よこ弛みとヒケは同時に発生することが多いが、本欠点もその−つである。原因としてはシャットル側面の疵、ゲートガイドの疵、メガラスハンドルの疵または張り過ぎ、猫毛の貼り方不良、管巻条件の不良などによる解じょ斑があげられる。 詳細表示
S-53 よこ節:白沢現象(回転数因) 織物 ポリエステル 黒の無地染めのポリエステルジョーゼットの織物全幅に1cm前後の白っぽい節が散見される。 節の部分の電子顕微鏡写真により、撚糸の表面が溶融あるいはフィラメントの切断がみられる。この欠点部分は熱延伸が加わった状態となり、分子の結晶化が進み淡染したことが原因と思われる。現場調査の結果、管巻回転数6000rpmの高速度で作業されており、これを3000rpmに落すことにより欠点を防止することができた。この欠点はポリエステル強撚糸織物で見られ、ひどいものになるとカスリ状のよこ斑になる。糸速200m/分以下、糸張力0.4g/d以下が一つの目安である。 詳細表示
S-54 よこ筋(異常張力等) 織物 ポリエステル たて糸のみ加工糸使いの織物であるが、節状の欠点がランダムに発生している。 原因としては管巻工程における解舒不良(給糸のビリつき)あるいはガイド疵などのためテンサーの制御が利かず瞬間的な張力変動を連続的に生じた場合や、梨地バーなどの糸道あるいは製織中のシャットル側面の疵、メガラスハンドルの疵、猫毛の貼り方不良などによる毛羽立ちが考えられる。 詳細表示
S-55 風合い違い(織機因) 織物 ポリエステル、綿 ポリエステルと綿の交織織物で綿を染めてある。織物の中央を境にして左右の風合が異なった欠点で挿入口側(右)が淡色で毛羽立ちが少なく、抜出口側(左)が濃色で毛羽立ちが多い。レピア織機を使用。 革新織機特有の左右風合い違い欠点である。よこ糸を挿入する時は開口が大きいため糸に何らの損傷も与えないが、レピアが中央でよこ糸受渡しをして、抜出しの時に開口が閉じるために、たて糸によこ糸がしごかれて毛羽立ちを生じたものと考えられる。なおこの場合は、早抜きカムを取付けることにより防止できた。 詳細表示
S-56 チカ(織機因、糊付因) 織物 アセテート 布面がざらざらして異常な光沢を生じており、よこ糸の配列が不均一になっている。 チカ欠点はたて糸がよこ糸と組織するとき、屈曲が部分的に大小不均一となり、布面がザラザラして光沢がくもって見えるもので、密度の多い平地織物に生じ易いものである。(1)織機因:チカ段:綜統の最大開口のまま織機を放置したときなど、あるいは織機の錘りが不足なときなどのように織機の扱い方が悪い場合や、故障などが原因となって生じるものである。(2)糊付因:たて糸断面写真でわかるように各フィラメントが糊で固まってしまっている。そのため写真2写真3による比較で判るように、よこ糸を織込む際、たて糸が屈曲しないために、よこ糸フィラメントの並びが偏平となりチカを生じている。 詳細表示
S-57 たて筋(加工当り) 織物 ポリエステル 織物のたて方向に約20cmの長さで、数ミリの幅をもった光沢の異常な筋が入っている。この筋は必ずしもたて糸に沿っていない。 製織中または製織後に生地に異物が接触してたて方向にたて縞が発生することがあるが、本欠点は光沢斑が不規則であることと、当りの長さが短いことから加工当りであると推察した(生機当りの場合は普通全長に及ぶ)。電子顕微鏡写真の結果、フィラメントが溶融切断しており、局部的に加熱されたものと推察される。 詳細表示
S-58 たて筋(ストリップ疵) 織物 ポリエステル 布面にひっかいたようなあれ疵が生じている。 一般に、ストリップ疵は製織時に生ずるものであるが、本欠点は、サイジングの停止中に生じたものであり、織物断面写真で見られるように糊でたて糸が丸く固まっている状態が観察される。 詳細表示
S-59 たて筋(ストリップ疵) 織物 ナイロン たて筋になっているところが光っているので、たて吊欠点のように見える。この筋はランダムに数箇所発生している。 電子顕微鏡により欠点部分を拡大してみると、よこ糸のフィラメントが何かに引っ掛けられてループを形成している。これがたて方向に連続して現われているためたて筋欠点となっている。現場調査の結果、織機の巻取部のストリップゴムを新調したため、摩擦が大きくなったことと、よこ糸が無撚糸のためフィラメントが割れ易い状態になっていることが原因であった。 詳細表示
S-60 耳白(異物付着) 織物 ポリエステル ウォータージェットルームで織られたポリエステルタフタの耳端に樹脂状の物質が連続的に付着し、染色後白く残った欠点である。 付着物としては、たて糸に使われた糊油剤や細菌、カビなどが考えられるが、電子顕微鏡写真の結果、たて糸に使用されている糊剤であると推察された。ウォータージェットルーム用の糊剤はアクリルを単独で使用する場合が多く、けん化剤としてアンモニウム塩が使われるため耐水性フィルムを形成するので水に溶けにくい。従ってウォータージェットルームで織られた生地の精練条件はフライシャットルの生地より苛酷になっているが、稀に仕上生地に糊が残っていることがある。糊落ちを悪くするための原因としては、工場の温湿度の影響による細菌の発生、よこ糸の油剤の影響などによる異物のカッターや織物へに付着、プレセット温度が高過ぎるなどが考えられる。織物工場ではジェットルームの製織中に熱風乾燥を行い、半乾きの生地が機卸しされる。次に乾燥機で過乾燥され精練工場へ搬出されることになる。落ちにくいとされている糊は乾燥工程を経てることにより、付着状態から固着状態へ移行することも充分考えられる。従って精練でますます落ちにくい状態となり、精練条件をきつくする必要がある。仮にジェットル‐ムで織られた生地を直ちに精練できれば、ジェットルーム上での乾燥や機卸後の乾燥は不用となり、精練条件をきつくする必要もなくなり、工程の省力化、材料費やエネルギーの節約は極めて大きいと考えられる。 詳細表示
S-61 汚れ(原糸不良) 織物 絹羽二重の生機のよこ方向に茶褐色の汚れが断続的に入っている。撚糸工程による油汚れに類似している。 汚れの原因は、製織工程から製糸工程まで遡って種々考えられるが、本事例の場合は汚染されている部位のよこ糸を解撚してみると、21中生糸2本のうちの1本だけが汚染されていることがわかる(写真1)。さらに、この1本を詳細に顕微鏡で観察すると、生糸1本の全体が汚染されているのではなく、7〜8粒の繭糸が集束されているうちの1粒の繭糸だけが汚染されていて、他の繭糸は正常である(写真2)。従って、原因は製糸工場における繰糸以前の汚れであると考えられ、また着色状態からも選繭工程における選繭不良による内部汚染繭が混入して繰糸されたものと推察される。 詳細表示
S-62 風合い違い:幅不同(撚異常) 織物 ポリエステル 織物の中程に1m位の幅不同が発生しているもので、欠点部分は正常部分に比較して片側で3cm近く幅が広くなっている。また、シボ立ちの状態を見ると、欠点部分はシボが弱くて不均一であり、楊柳に似たシボ立ちである。 よこ糸検撚の結果、欠点部分のS撚が甘撚であるために生じた幅不同であることが判明した。織物一疋の中に1m位の幅不同が1箇所だけ発生したものであり、管1本分に相当する。従って本欠点は別品種に使われるべき糸が混入して織られたために生じた欠点と考えられる。多品種少量生産のために一台の管巻機に2〜3種類の糸を巻いていることがあるが、本欠点の場合も管巻の錘管理ミスと考えられる。 詳細表示
S-63 たて、よこ筋(原糸異常) 織物 ナイロン たて、よこにカスリ調の濃染異常糸が多発している。異常濃染部の長さは不規則で数mmから約150mm程度の範囲にわたっている。 異常部を中心に織物の断面写真を撮影したところ、正常糸に比較して繊維のフィラメントの直径が約2倍程度太いことから、明らかに原糸の延伸斑となっていることが判明した。 詳細表示
S-64 たて縞(張力斑) 織物 ポリエステル 生機のほぼ全面に雨縞状のたて縞が入っている。光にすかして見るとさらにはっきりと認められる。 肉眼及びマイクロスコープによる観察の結果、本欠点のたて縞はたて糸の間隔が不同であるための欠点であることが判明した。また、強伸度測定により伸度に相当なバラツキが認められた。現場調査の結果、製織時のたて糸がスナーリングを起こしていることが認められ、これが張力変動を生じて、たて縞となったと推察される。湿度が低いときに起き易いので、湿度管理が重要であると考えられる。なお、朱子織の場合、密度が甘いとこのような欠点が出易いが、その防止策として、例えば筬を工夫し、厚みのあるものを使用するのも一つの方法である。 詳細表示
S-65 たて縞(原糸異常) 織物 ポリエステル この欠点は生機では判らなかったが、試験染め後にたて縞が全面に発現したものである。欠点糸は一見すると濃色に見えるが、光の当て方や目の位置により、淡色に見える場合もある。ウォータージェットルームで製織されたものである。 電子顕微鏡による断面写真に見られるように、正常糸は辺の凹んだ三角形断面であるのに対して、欠点糸は1本のたて糸の36フィラメントのうち、数本が異常を呈しており、辺の凹部分が見られない断面になっていることが判った。
以上のことから、本欠点は紡糸ノズルの形が異常であるため、例えばノズルが摩耗して辺の凸部分がなくなりこのような断面の原糸となったのではないかと推察される。
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S-66 たて縞(サイジング不良) 織物 ポリエステル 染色仕上げ加工された織物の全面に、濃色と淡色の雨縞状のたて縞が発生している。傘下の数工場で製織されたが、その全部に発生したものであり、その原糸は同一ロットで、サイジングも同一工場でなされたものである。生機ではたて縞が認められない。また、サイジング糊はアクリル系とポバール系が使われている。 物性試験の結果及び電子顕微鏡による糸の断面形状にも差は認められず、原糸因ではないと推察される。染色試験の結果、使用されているアクリル系糊剤及びポバール系糊剤の状態に斑があることが判明した。この織物の場合、普通精練及び強化精練ではアクリル系糊剤は落ちるが、ポバール系糊剤では固まって残留してしまい、たて縞の原因となったものと考えられる。なお、サイジングだけを別の工場で行い、他の工程は全て同一工場の工程を通した製品には欠点が発生しなかった。以上の結果、本欠点はサイジング工程での糊剤の付着斑と、精練で簡単には脱落しないために生じたものであると推察される。 詳細表示
S-67 たて縞(張力斑) 織物 ナイロン ウォータージェットルームで織られた生機の全面に、たて方向に黒っぽく見える糸と白っぽく見える糸が不規則な雨縞状欠点となっている。また、一部にはパッカリング状に吊りが発生している箇所もある。機番に関係なくどの織機でも発生している。
たて糸方向を見通すように織物表面に眼を近づけて見ると、黒く見えるたて糸と白く見えるたて糸がはっきりと区別できる。また、パッカリング状になっている箇所は、白っぽく見える糸と黒っぽく見える糸がそれぞれ比較的本数がまとまっていて、白部分は弛み、黒部分は緊張していることが判る。
肉眼観察では、黒っぽく見える糸と白っぽく見える糸は一部に生じているパッカリング状の欠点の出方と関係があり、黒く見える糸が大きい張力が掛っていたことが判った。また、熱応力測定では明らかな差が認められ、黒は立上がりが早く応力も大(特に第1極値)であることから、糸が緊張されていたことが認められた。物性試験の結果から、繊度、フィラメント数、断面形状などに差異はなく、糸に問題はないと認められた。糸因ではないたて縞の原因としては、サイジング時の張力斑、糊付着斑や製織時のたて糸張力斑などが考えられるが、本欠点は同一仕掛品全台に出たこと、異品種織物は異常がないこと、欠点布のパッカリング状の発生状態と熱応力測定から、サイジング工程の張力関係が正常でなかった可能性が大きい。 詳細表示
S-68 たて縞(異ロット混入) 織物 ナイロン  織物の片側にたて縞が入っており、その部分はパッカリングを生じている。また、光線に透かして見ると密度が多いように見える。製織中機上ではみえ難いが、乾燥後にはっきりするとのことである。無糊整経(ダイレクトワーパー)でビーム3本どり、ウォータージェットルームで製織、乾燥温度は90℃(シリンダー2本)である。 正常部とたて縞部について、糸強伸度、熱応力及び織縮み率を比較したところ、糸強伸度と熱応力について、差は認められなかったが、織縮み率については正常部が3.6%に対し、たて縞部は5.1%と大きな差が認められた。従って、整経時の糸弛みなどの張力異常が考えられたが、現場調査の結果、原糸メーカーの出荷がロット違い(2か月遅れ)の糸を混入したことと、そのクリール立ての位置とたて縞の位置とがほぼ一致することが判明した。以上のことから本欠点はロット混入による糸のエージングの差によって生じたものであると推定される。この織物の場合、産業資材であることもあり、2か月のずれは問題ないとされていたが、本欠点の場合は2か月の差でも欠点となって発生したものである。 詳細表示
S-69 たて筋(糸傷) 織物 ポリエステル 耳端から約35cm入った所に1本の濃染された筋が入っている。生機でもその筋がかすかに判別できる。 正常糸とたて筋糸の繊度、フィラメント数、熱応力を測定したが差はなかった。電子顕微鏡による観察の結果、たて筋部分のたて糸3〜5本のフィラメントが削られたように損傷していることが判明した。また、生機のたて筋は肉眼ではかすかに判る程度であるが、その部分の拡大観察の結果、同様に損傷されていることが判明した。
綜統あるいは筬に傷がある場合、たて糸が損傷され欠点が発生することがあるが、本欠点の場合数本が傷んでいるという発生状況から綜統の傷とは考えられず、また筬を交換しても欠点が発生した。更に織機を調べたところ、ブレストビーム表面のたて筋と重なる部分に小さな傷が突起状にあることが判明し、これを平滑にしたところ、以後欠点が出なくなった。
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S-70 たて筋(異原糸混入) 織物 ポリエステル 淡緑色の織物に白っぽく見える1本のたて筋が入っている。生機では全く認められず、染色後に発見されたものである。 たて筋糸には異種の繊維が混在しており、これを赤外吸収スペクトル測定で鑑別したところ、セルロース系の繊維であることが認められ、さらに走査電子顕微鏡では、断面形状はポリエステル糸が丸型であるのに対し、不染のフィラメントは凹凸の激しいレーヨンとアセテートの特徴を示す形状をしていた。従って、この異種繊維はレーヨンであることが認められた。
以上の結果から、たて筋糸はポリエステルとレーヨンとの混紡糸であり、正常糸とは異種の糸が混入され、製織されたものであることが判明した。
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S-71 たて筋(異原糸混入) 織物 ポリエステル 生機前付染めで発見、分散染料では濃染される。カチオン染料では染まらず、POY(半延伸糸)のような糸が混入されたのではないかと思われた。 電子顕微鏡観察の結果、異種糸の混入であることがわかった。正常糸のフィラメント繊度は均一であるが、異常糸は太いフィラメントと細いフィラメントが混在しており、そのうちの太いフィラメントには細かな疵があり、これが濃染されたものと考えられる。 詳細表示
S-72 たて筋(糸混入) 織物 ポリエステル 耳から3.5cm入ったところにたて筋があり、9.7cmの等間隔で合計5本の筋が入っている。整経は部分整経であり、この5本の筋は同一シリンダーの連続した糸であることが判った。この筋は生機では殆んど見えないが、低位置からのたて糸方向に沿った照明によりはっきりとたて筋が観察できる。 正常なたて糸の撚数が(S,Z)2,500T/mでバラツキが少ないのに対し、欠点糸は(Z)1,700T/mと異常に少なく、しかも欠点糸間の撚数のバラツキはない。このことから単なる撚斑によるたて筋ではなく、品種の異なる撚数が1個だけ混入したものであると考えられる。
糸管理の基本的なミスによるものであり、また、時々発生する欠点でもあることから、充分な糸管理が必要である。
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S-73 たて筋(仮撚不良) 織物 ポリエステル 生機では発見できなかったが、仕上げ加工後にたて吊り状欠点として発見されたもので、織物の中央付近に1本の筋があり、約1cm離れて判然としない筋がもう1本入っている。 電子顕微鏡で観察すると、正常糸は仮撚加工糸の特徴である捲縮形状をしているが、たて筋糸はフィラメントがほぼ平行に並んでおり、一見して原糸が織込まれたように見える。熱応力測定の結果では精練加工後の布でもあり、大きな差ではないが、僅かながら差が認められた。また両者とも仮撚加工糸特有の曲線を描いていることから、仮撚工程を経たものと考えられる。次に糸の断面形状を電子顕微鏡で観察したところ、正常糸は仮撚糸特有な断面形状を示しているが、たて筋糸は丸断面に近く、仮撚不良糸であることがわかった。 詳細表示
S-74 たて筋(異原糸混入) 織物 ポリエステル/ウール混紡糸 生機に10数本のたて筋が入っている。たて筋糸の光沢が異なっており、周期性もある。 撚数、強伸度などに大きな差が見られることから、この欠点は異種の糸が混入されていると考えられる。電子顕微鏡で糸の断面を観察した結果、正常糸は○型のレギュラータイプであるのに対し、欠点糸は△型断面のフィラメントが散在している。
以上のことから、本欠点は異原糸混入によるたて筋欠点であることが判明した。
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S-75 たて筋(糸傷)  織物 ポリエステル この欠点は生機では発見されず、試験染めしたところ、たて筋が約17cm(たて糸本数約1,000本)の周期で発現したものであり、正常糸に比較してたて筋糸は濃染されているように見える。 この欠点は、撚数、フィラメント数には差異がなかったが、濃色に見える欠点糸は、電子顕微鏡写真に示すように、フィラメントの表面が異常に傷んでいた。その部分に染料が多く吸着されたために現われたものと考えられる。原因としては、撚数工程、巻取工程などの準備工程で糸条が異常に摩擦され溶融損傷されたものであると推察される。 詳細表示
S-76 たて筋(糸傷)  織物 ポリエステル ウォータージェットルームで織られたポリエステルジョーゼットを反末染めしたところ、ノズル側から約77cm入った箇所と、それから5cm離れた2か所に濃色に見えるたて筋状の欠点が現われている。よく見ると、それぞれのたて筋欠点が5mmほどの間隔で複線になっていて合計4本になっている。 本欠点はたて方向の欠点に見えたが、拡大観察の結果から一定箇所のよこ糸のフィラメントが擦過されたような状態で損傷されており、しかもZ撚糸とS撚糸とが判然と分離して、それぞれ別々の2列のたて筋状欠点となっていることが判った。
以上のことから、欠点原因はウォータージェットルームのよこ糸給糸装置のドラム測長機構と関係があるのではないかと推察され、ドラムのフックに特に関係があるように考えられる。なお、布の欠点と測長機構との位置関係をはっきりと把握する必要がある。
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S-77 たて筋(ラメ糸切れ) 織物 絹、ラメ糸 たて糸に約4cm間隔で2本ずつの金色ラメ糸が入っている捺染絹ジョ−ゼットの仕上り品である。地糸は異常がないが、ラメ糸が所々で切れている。 顕微鏡で観察すると、地糸には異常が認められないが、ラメ糸の数本が切れている箇所があり、また、写真に見られるように融けたような状態の部分が所々に見られ、その部分の強伸度が極端に弱くなっている。
生機では、ラメ糸の強伸度に異常がないことから、染色加工工程で何らかの異常な状態となったものと考えられるが、ラメ糸は全体としては光沢も正常であり、また地糸には異常がないことから、薬品などによる全面的な溶解ではなく、局部的にラメ糸のポリエステルフィルムが溶融したのではないかと推察される。
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S-78 よこ斑(張力斑)  織物 ポリエステル ウォータージェットルームで製織された生機に、継ぎ節を境にして嵩高性の少ない感じのよこ斑が現われているものである。 この織物のよこ糸はウーリー加工糸に追撚をしたものであるが、実体顕微鏡で見ると異常部のZ撚糸が嵩高性が少ないように見え、撚数に少しの差が認められた。熱応力測定の結果、大きな差が認められ異常部のZ撚糸の曲線は特異ば形状を示し、第1極値の応力が小さく第3極値の応力が大きくなっている。
以上のことから、本欠点は仮撚時の異常張力が原困であると考えられる。
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S-79 よこ斑(糸繋ぎ異常) 織物 生機では異常が発見されなかったが、精練仕上げ後に1反の2〜3か所に4〜5mmの長さのたてじわが全幅にわたって発生してよこ斑となっている。 マイクロスコープ観察および撚数測定の結果、撚糸の継ぎ節を境にして撚数が次第に変化している。このために加工後の収縮に差を生じてしわ状のよこ斑が生じたものと判明した。この撚り異常の原因としては撚糸中あるいは撚数の節取り仕上げ巻きの際に切断した糸が、燃り戻りを起こし、そのまま繋がれたために甘撚りとなったものと推定される。片強撚糸の場合には特に撚り戻りが大きいので捨て糸を充分にとることに留意を要する。 詳細表示
S-80 よこ斑(糸混入) 織物 絹のジャカードサテンクレープで、表側は異常がないが、裏側に濃淡差があるよこ斑が発生している。バックサテンとして、裏側を表地として使われるので欠点となっている。 この欠点は、よこ糸の隠れるサテン組織の側には色差は全く見られず、よこ糸の出ているバックサテン側によこ糸に添って色差が出ていることから、染め斑欠点ではないことは明らかであり、よこ糸の問題であると考えられる。物性試験の結果、よこ糸の撚数には差が認められないが、繊度及びフィラメント数に差が認められた。即ち、欠点部分のZ撚糸の繊度が太くなっており、この糸を解撚すると3本駒のうち2本が太く、正常糸の平均値が16.3dであるのに対し21.1dであり、これは精練前の原糸生糸に換算すると26.4dとなり、これは27中の生糸である。
以上のことから、本欠点は単なる太斑によるものではなく、繊度の異なる生糸が混入されたために生じた欠点であると推察される。
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S-81 よこ斑(繊度異常) 織物 着尺の中央附近と約3m離れた所の2か所に光線のあたり方でわずかに黒ずんで見えるよこ斑がある。生機では見え難く精練加工後に発見されたものである。全幅にわたり、たて方向に30cmと15cmほどの長さで現われている。なお、この欠点は原糸や撚糸のロットと無関係に、また機台にも関係なく、不規則に現われている。 各試験結果から、よこ密度、撚数、生地の厚さなどについては正常部分と欠点部分の間に差は認められなかった。次に、解撚後の見掛繊度を比較してみたところ、よこ斑部分は平均で8.1d細くなっており、これを練減率23%とみなして原糸生糸の繊度を推定すると10.7dの差となる。この繊度差は原料繭が4粒落ちとなっていることになる。
以上の結果から、本欠点は細斑による欠点であると考えられる。一般的には合糸本数が多い場合は繊度斑が相殺されて繊度斑による欠点はあまり出ないとされているが、本欠点の場合は織物組織の関係もあって生じたものと考えられる。太糸使いの場合も繊度斑に留意し繊度偏差成績の良い生糸を使用する必要がある。
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S-82 よこ斑:幅不同(糸傷) 織物 ポリエステル 織物の全反にわたり不規則によこ斑が発生している。欠点部分は幅が狭くなっており、風合も異なっていて粗硬な感触である。この欠点は同一設計品を織っている三工場で同時期に発生したものであり、撚糸は同一工場である。なお、染色仕上加工後に、いわゆる「カスリ」欠点としてクレームがついたものもある。 電子顕微鏡写真に見られるように、よこ糸表面が損傷されており、これは撚糸工程以後に異常に摩擦され溶融したための欠点であることが判明した。この欠点は3つの織布工場で発生しているが、撚糸は同一撚糸工場で撚糸されたものであることから、撚糸工程に原因がある可能性が大きいと考えられる。
フライヤーやガイドの傷なども考えられるが、最近は特にHボビン繰りの巻取速度を著しく早くしている工場が多くなっているので、この辺に原因があると考えられる。
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S-83 よこ斑(糸傷)  織物 ポリエステル この欠点は生機では発見されず、染色加工後にチカチカと光る白沢現象として発現したものである。織物の表は紋の部分にだけよこ方向に沿って欠点が現われている。これは地の部分が朱子組織で、よこ糸が隠れているためであり、従って裏側は逆に地の部分が全面にわたり光っている。 欠点糸を電子顕微鏡で見ると、撚糸表面の一部が糸の長さ方向に擦られて溶融し削られたようになっている部分が無数にあることが判明した。この欠点は管巻機の機種を問わず生じていることが観察され、さらにHボビン巻き糸にも既に糸条表面が摩擦溶融されていることが判明した。 
一般に白沢現象の原因は管巻工程にあることが多いが、本欠点の場合はそれより以前の工程で発生していることが明らかとなった。撚糸工程におけるフライヤーやガイドの傷、さらにはその材質に留意すること、また、Hボビン繰り工程におけるガイドや接触部の傷や材質あるいは巻取速度に留意する必要がある。
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S-84 よこ斑(糸混入)  織物 ポリエステル 織物1疋中に、1か所だけ風合が異なるよこ斑部分がある。たて方向に約1.7mの長さで出現している。たて糸は50dの強撚と中撚糸が1本3本の配列になっており、よこ糸は75dの強撚糸と50dの弱撚糸とがそれぞれ2本4本の配列で入っている。 風合の異なるよこ斑部分と正常部分とを実体顕微鏡で観察したところ、正常部は強撚糸と弱撚糸とも規定のS撚糸が織込まれていたが、欠点部分は、弱撚糸は異常がなかったが、強撚糸がZ撚糸であり、撚方向の異なる撚糸が混入していることが判明した。 詳細表示
S-85 斜め段(撚斑) 織物 レーヨン、ポリエステル たて糸が白、よこ糸が黒色先染糸使いのエアージェットルームで製織された織物に、黒っぽい部分と白っぽい部分の約1.5cm周期のいわゆる「虎段」が発生したものである。仕掛品全台に欠点が生じている。 この欠点は、濃淡の斜め段であり、撚数に差があることが判った。撚数の分布図からも撚数の多少の周期性があり、撚りの強いところは白く見え、甘いところは黒い段となっていることが確認された。
以上の結果から、本欠点は紡績工程における加撚異常か、あるいはワインディング工程における撚溜り現象のために生じたものであると推察される。
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S-86 斜め段(撚斑) 織物 ポリエステル よこ糸にウーリー加工糸の追撚糸を使ったウォータージェットルームで織られたクレープデシンを試験染めしたところ、濃淡のよこ段が発現した。濃淡のピッチは場所により異なっている。 この織物の濃淡の段は、よこ糸に平行ではなく、いわゆる斜め段であることが判った。これは通し幅の1/2に近いピッチで濃色と淡色部分が周期的に連続していることを示している。撚数を測定した結果、目的撚数が1,000T/mであるのに対し、濃色部分が約1,200T/m、淡色部が935T/mと明らかに異常であった。この撚糸のチーズ巻は溝付きドラム方式の綾振りで相当な高速で巻取っていること、また他の綾振り方式のワインダーでは欠点が発生していないことなどが判った。以上のことから本欠点はワインディング条件が不適正なために周期的な撚り溜り現象が生じたことが原因であると考えられる。 詳細表示
S-87 よこ段(機械段)  織物 ポリエステル 仕上加工後の布に約15cmの周期で濃淡のよこ段が見える。濃く見える箇所は正常で、白っぽく見える箇所が異常部分である。緑・黄色などに染めた布にも同様な欠点が発生している。織上げよこ密度は135本/鯨寸である。 よこ糸の色差を測定したが差がなかった。また、物性試験の結果、撚数、撚縮み率、見掛繊度及び解撚後繊度については正常部と白っぽく見える欠点部との間に差が認められなかった。さらに濃淡部のよこ密度を測定した結果、1鯨寸間で約9本の密度差があることが判った。
以上のことから、本欠点は機械段であると考えられるが、現場調査ができず織機における故障部位を特定するには至らなかった。一般に機械段には様々な要因があり、大別して原動、送出、開口、杼打、筬打、巻取などが円滑に作動しない場合に発生し、その各項目の中でも種々の要因があり、解明が難しい。機械段を未然に防ぐためには、普段の点検調整、注油など織機管理が不可欠である。
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S-88 異物付着(風綿)  織物 ポリエステル この欠点は生機では発見されず、染色仕上後に発現したものである。白い小さな節が所々にあり、風綿が飛び込んだように見える。50疋のうち33疋がC反になった。仮撚工場はS撚とZ撚がそれぞれ別工場でつくられ、追撚は同一工場でされている。 織込まれた異物は綿であることがわかった。風綿がどのようにして糸に付着したかは不明であるが、付着状態から判断して、撚糸直後から製織直前までの工程で付着したものであると考えられる 詳細表示
S-89 光沢斑(糸傷) 織物 ナイロン、ポリエステル ウォータージェットルームで織られた生機の反ノズル側耳端から約12cm入ったところによこ糸に沿って3〜5mmの長さの光沢の異なったカスリ状の欠点が帯状に密集している。 電子顕微鏡写真に見られるように、欠点糸はフィラメントの一部が加圧され潰れたようになっており(写真2)、さらに拡大して見ると(写真3)その表面が損傷されていることが認められた。この欠点が発現しているところは、ウォータージェットルームにおけるよこ糸把持装置により把持される箇所と一致しており、これによりよこ糸のフィラメントが損傷されたものであると認められる。 詳細表示
S-90 たて筋(糸損傷)  織物 ポリエステル 仕上げ加工後に発見された白っぽく光って見えるたて方向の筋状の欠点である。たて糸に添っておらず、また、それぞれの筋が互に必ずしも平行ではなく交錯している箇所もある。多い所では5cm幅の中に数本の筋がある。また、これらの筋は断続的に現われたり消えたりしている。 電子顕微鏡による観察結果から、本欠点は製織工程後に起因する布地の表面損傷であることが判った。また、異常に著しく溶融していることから単なる擦過あるいは圧迫等によるものではないと考えられ、刺繍工程をたてていることから、例えばプレスエ程などで相当に高温の物体に接触したために生じた溶融である可能性が大きい。 詳細表示
S-91 光沢斑(糸損傷)  織物 ポリエステル、ポリエステル/ナイロン混繊糸 この織物は高密度混繊タフタで、裏側はアルミコーティングされたスポーツ衣料用の生地である。表面の一部分に、たて方向にやや近い方向で約5cm以内程度のチョークマーク状のランダムな線状の欠点が発生している。 本欠点はたて、よこのいずれの方向にも添っておらず、従って製織後に発生した欠点であることが判る。電子顕微鏡観察の結果、たて方向に近い角度で織物が何かによって擦られており、たて糸には異常がないが、よこ糸のみが擦過溶融されていることが判明した。たて糸はポリエステル75d/72fであるのに対し、よこ糸は75d/320fとハイカウント糸で融点の低いナイロンが入っているために、普通のポリエステル織物ならば問題のないような程度の物体の擦過あるいは発熱体の擦過により、溶融損傷されたものと考えられ、染色加工以後の例えば乾燥工程などで生じた欠点と推察される。 詳細表示
S-92 目寄れ(当たり)  織物 綿、ポリエステル 仕掛り3台中全台に当たり疵が反末染で発見された。生機検査や織機上では見つけることは出来ないが、織物の耳端か11〜13cmの所に白っぽく見える当たり疵がある。この欠点は片染(ポリエステルのみ染色)した時に発現し、両染の場合には発現していない。 たて方向に濃く見える部分と白っぽく見える部分の当たり部分を拡大鏡下で観察すると、たて・よこともに糸の損傷、張り弛み等の現象は見られないが、テンプルリングの針による軽微なたて糸の目寄れ現象があり、この目寄れ現象がよこ糸の露出度に斑を生じさせた結果、テンプル当たりとなって発現したものと考えられる。たてスパン糸、よこフィラメント加工糸使いの他の各種品番には本欠点のようなテンプル当たりは発生しておらず、この品番に限ってのみ発生したもので、これはテンプル自体の構造が織物に適合していないことによるものと考えられ、当該工場でテンプルの改良を実施した。
上記2点のテンプル改良によって、テンプル当たり欠点は解消した。
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S-93 汚れ(原糸異常)  織物 ポリエステル よこ糸のラメ糸を中心に前後のポリエステル糸が汚染されている。この汚れは、ブラウスに縫製後、店頭に展示している時に発見されたものである。 ポリエステル糸への黄色汚染は、ラメ糸から出ているものと推察されたので、ラメ糸の製造方法を調査したところ、プライ方式でポリエステルフィルムを黄色に染色し、銀蒸着後エポキシ樹脂でコーティングしたものであった。汚染の原因として次のことが考えられる。(1)ポリエステルフィルムの染料昇華、(2)エポキシ樹脂の溶出、(3)銀の硫化などの化合物による変色。
試験結果から、ラメ糸製造工程の蒸着の時に使用した銀が熱処理などにより、ラメ糸より蒸発してポリエステル糸を汚染し、空気中のNO、NO2、SO3ガスなどで化合物をつくり、黄化したものと考えられる。
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S-94 汚れ(カビ) 織物 ナイロン ウォータージェットルームで製織された生機に、黒褐色の斑点状の汚れが所々付着している。 走査電子顕微鏡による観察の結果、カビの菌糸が認められ、また別の箇所からは多くの胞子が確認された。
以上のことから、本欠点は高温多湿状態で生機を放置しておいたためにカビが繁殖し、それにより産生した色素により汚染されたものと考えられる。カビの予防には、できるだけ長期の貯蔵を避けることが大切であるが、止むを得ない場合には可能な限り乾燥することが重要である。
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S-95 汚れ(原糸異常)  織物 絹、銀糸 絹帯地のたて糸1本に汚れが付着している。その汚れは3〜5cm位の長さで濃い黒褐色を呈しており、長さ方向にランダムに付着している。なお、この汚れは精練しても消えない。 汚染糸には鉄分が多く含んでいることが判明した。シュウ酸や塩酸で色がうすくなるということもその証拠であると考えられる。諸撚糸の1本だけの全フィラメントが汚染されていることから、製糸から撚糸工場における上撚工程の前の合糸工程までに生じた汚れであると考えられる。 詳細表示
S-96 汚れ(綜絖汚れ)  織物 ポリエステル 生機の所々に、たて糸に沿って褐色の汚れが付着している。汚れの発生は織機に関係なく、またいつも出るとは限らず、時々現われるとのことである。 電子顕微鏡観察の結果、たて糸だけに異物が付着していることが判明した。この付着物質を電子顕微鏡分析(EDX分析)により元素分析をしたところ、鉄分が異常に多く含まれていることが認められた。また、現場調査の結果、綜絖に錆が出ていて、さらに糊剤その他の塊りも付着していた。以上の結果より、本欠点は綜絖汚れによるたて糸汚れ欠点であると考えられる。なお、時々発生するということは工場内環境の変化によるものと考えられ、特に湿度の多い日に現われるであろうと推察される。 詳細表示
S-97 汚れ(精練不良) 織物 ナイロン 染色後に斑点状の欠点が発生した。加工前の生機にも白い斑点が密集しカビが発生したように見える。この織物はウォータージェットルームで織られたものである。 電子顕微鏡で観察すると、正常部分の糸条は、表面が平滑であるが、欠点部分は糊状の物質が多く付着し、しかも剥離しかかっているように見える。従って本欠点は、製織中水によって溶解された、たて糸糊が凝集したものであると推察される。
なお入念に精練をしてから染色した結果、この斑点状の欠点はなくなった。
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S-98 汚れ(カビ) 織物 ポリエステル 生機を約6カ月間倉庫に積んでおいたところ、織物の所々に淡褐色の小さな斑点が発生したものである。この織物は10疋が1連となっており、そのうち外側の約1疋分の幾枚かが浸み通ったように汚れている。 電子顕微鏡により汚れ部分を拡大観察したところ、写真に見られるような正常部には見られない細長い糸状のものが集中していた。枝分れしている箇所もあり、また切断されている断面を見ると、中空になっているところなど、カビの菌糸と酷似している。以上のことから、本欠点は水分の多い箇所にカビが発生しその色素により汚染されたものと推察される。 詳細表示
S-99 強度不足(仕上温異常) 織物 ナイロン、綿/麻混紡糸
国内で製織・染色加工し、輸出したもので、輸出先でブラウスに縫製し、市場に出したところ、布地が弱いというクレームが生じたものである。たて糸が極端に弱いところがあり、その位置は一定していない。よこ糸の強さには異常がない。 強伸度測定の結果、欠点部分のたて糸が異常に強度、伸度ともに小さいことが認められたのでその部分を電子顕微鏡で観察したところ、裏側は異常なかったが、表側のたて糸のよこ糸と重なる山の部分が、潰れたり、切れかかっている箇所か認められ、また、一定方向に擦られたような形状をしていることが認められた。
以上のことから、本欠点は縫製・仕上げ段階のアイロン掛けの際に、綿・麻に合った温度でプレスされたために、融点の低いナイロンだけが熱により損傷されたために生じたものであると推察される。
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S-100 色抜け(堅ろう度不良) 織物 ナイロン 淡桃色に染められている織物の一部に色抜けがあることが輸出先で発見された。この織物は約30cm幅で平らに巻かれており、その角の一部分が色抜けしており、それが内側数枚までおよんでいる。 カーボンアーク法による退色試験の結果、この織物は2時間照射で退色が始まり、時間と共に色が完全に抜けてしまったことから、耐光性の弱い染料が使用されていることが判明した。また、色抜け部分の形状が長方形をしていることから、薬品がしみ込んだとも考えられず、電子顕微鏡で観察しても付着物は認められなかった。
以上のことから、本欠点は何らかの原因で織物に光が部分的にあたり退色したものと考えられる。
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S-101 色抜け(精練不良) 織物 ナイロン 500疋加工投入で36疋、ウォータージェットルーム仕掛り10台の全台より発生したもので、サイジングロットは3ロットにまたがっている。色抜けの箇所、形状は一定ではなく、強弱の差もある。この欠点は7月中旬〜下旬にかけて製織した生機に集中しており、それ以前の生機には発生していない。 生機検査で色抜けの原因となるようなもの(例えば油汚れ、乾燥汚れ、何かの付着等)は発見されていないことから、加工中の浮遊物付着か、または糊抜き、精練後の水洗不充分の疑いがあり、色抜け部分と正常部分を電子顕微鏡により観察したところ、明らかに糊と思われる固形物が残留していることが確認された。
次に、脱色後再染色試験をしたところ、色抜け部分が完全に消滅することが判明した。さらに染色工場において色抜け欠点反を再加工したところ、色抜け欠点は消滅した。従って、本欠点は、精練不足によるたて糸糊の残留によって生じた染斑であると考えられる。なお、耳の部分にも糊の付着が認められた。
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S-102 穴疵(電気による溶融) 織物 ポリエステル、カーボン糸 2cm間隔でカーボン交撚糸の入ったたてストライプのポリエステル織物であるが、ストライプ糸の一部に微細な穴が生じた欠点である。生機検査では認められず、加工後の検査で発見されている。この穴疵は疋内に5〜7カ所で、発生場所は一定ではない。 穴疵は約2m間隔で発生していることから、染色仕上工程でそれに相当する箇所を調べたところ、布の振り落し装置の運動寸法とほぼ一致することが判った。この工程には静電気除去装置が取り付けられており、通常の織物の場合にはこれに電圧をかけ織物に帯電した静電気を除去しているが、本欠点を生じた織物の場合には除電装置を作動させる必要がないのに、通電させていたため炭素繊維が接触してスパークを起し、そのため糸が溶融したものであることが判明した。 詳細表示
S-103 たて縞(異原糸混入) 織物 ポリエステル 染色加工上りで、光沢差のような白っぽい筋状の縞が発現した。 たて縞部分の合撚糸には、ポリエステル42d/108fの糸が使用されている。ポリエステル37d/24fとポリエステル42d/72fの糸を合撚糸する工程でこの糸が混入したためである。 詳細表示
S-104 たて縞(張力斑) 織物 ポリエステル たて縞は濃く見える筒所、淡く見える箇所及びその中間色の箇所の3段階に区分できる。ただし、中間色の箇所が全体の50%位である。サイジング1ロット全疋数にたて縞が発現した。 たて糸の織縮み率のグラフで明らかなように、織縮み率の大きい箇所は濃く見え、小さい箇所は淡く見える傾向がある。この織物はよこ糸が濃染する糸使いであることから、整経時の張力斑によるたて縞が一層目立つように作用したものと思われる。
クリールのワッシャテンサーを徹底的に掃除し、ワッシャーを全数整備済みのスペア品と交換することにより、たて縞は解消した。
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S-105 たて縞(張力斑)  織物 新合織 たて縞は約5mm幅で、12cm位の間隔で周期がある。これは、部分整経のバンド幅に符合している。生機検査で発見されず、加工上りが発見された。 たて糸の織縮み率で、たて縞部分が異常に大きく変動しているので、本欠点の原因は明らかに整経工程の張力斑である。
防止対策としては、整経バンドの送り機構の整備、ドラムの整備、シリンダーキャップのナイロンテグスの整備、中間テンサー(しず輪)の整備等を実施して張力を均一化する。
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S-106 たて縞(張力斑) 織物 ナイロン 織機上で見えないが、乾燥工程を終了した時点で織物の片側半分にパッカリングを併発したたて縞が発現した。 異常部は6:1で織縮み率の大きい糸と小さい糸が配列されている。たて縞およびパッカリングの発現は、織縮み率の大小の糸が混在したためである。織縮み率変動の原因は荒巻整経時の張力異常によることが推察される。現場の追跡調査で出荷時期の異なる2種の原糸が混入したことが明らかになった。 詳細表示
S-107 たて縞(整経因)  織物 ポリエステル 細かいたて縞が全幅にわたって発現している。1ロット全数に欠点が発生した。生機でも見える。 たて糸のフィラメントが多層集束形と偏平集束形のものがあり、これが約3mmのピッチで配列したために生じた欠点である。
荒巻工程の対策として、(1)クリールのテンサーをリング方式に替え張力を0.15gf/dにする。(2)オイリング量を0.5〜0.6%にする。(3)荒巻室の湿度を65%RHにする。(4)ヤーンビームの巻硬度を83度とし、テーパテンションを12%に設定する。(5)巻返しの糸ずらしを4本にする。
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S-108 たて縞(張力斑)  織物 ポリエステル 全幅にわたり、ほぼ同一ピッチで発現している。サイジング1ロット全数C反。生機で欠点は発現していない。 本欠点は、サイジイング後ヤーンビームに巻返すとき、ビームスタンドに仕掛けた8本ビーム中に、低張力の糸と高張力の糸が混在したことにより、仕しげ加工時における熱収縮にパラツキが発生したためである。熱応力のバラツキは、巻返し工程のビーム8本の張力が均一でなかったことに起因すると考えられる。 詳細表示
S-109 たて縞(張力斑)  織物 ポリエステル 加工上りで、濃淡のたて縞が発生した。生機および反末染検査では発見きなかった。 たて糸の織縮み率の異常に大きい部分のたて糸が、屈曲状態に差を生じてたて縞を発生させたものである。現場調査の結果、この原因は整経の前筬直後のガイドロールの回転が不円滑であったこと、およびこの部分に設置してある静電気除去装置の故障で、帯電した糸同志が反発し、ドラムに巻かれる糸の長さに不揃が発生したためであることが判明した。 詳細表示
S-110 たて縞(張力斑)  織物 ポリエステル 下記の工程で製織されたもので、反末染上がりで軽微な程度に発見されたが、加工上がりで欠点となった。たて縞は全幅にわたって細かいピッチで発生しており、箇所によって多少の強弱がある。 本欠点の淡く見えるたて糸は6〜7本の周期で配列しており、織縮み率のグラフの×印の周期に一致している。このことから、荒巻ビーム7本による整経工程における張力斑が原因であることが推察できる。巻返し機のビームスタンドを改善して欠点発生を解消した。 詳細表示
S-111 たて縞(サイジング斑) 織物 ポリエステル 先行試験ビームより発生したもので、たて縞は生機検査で発見され、反末試験染でも発現した。 サイジングマシン乾燥室を現場調査した結果、筬に傷があり、これが糸の糊フィルムを脱落させて、フィラメントの収束状態を遍平にしたことが判明した。この遍平な糸8本が1箇所に集合したために縞を発現させた。
サイジングマシン乾燥室の筬の損傷した針を取替え、更に巻返し装置のフロント筬を各ビームごとに4羽ずらして糸通しを行なった。その結果本欠点は解消した。
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S-112 たて縞(原糸異常) 織物 カチオン可染混繊糸 加工上がり(15%減量仕上)で全幅にわたり2〜5mm幅の濃淡混在のたて縞が発生しており、その一部にはサッカー状のパッカリングを併発している。 原糸物性のバラツキが大きいことおよび染色性の不均一さが本欠点の主因であり、原糸製造工程の改良が必要であると思われる。防止対策としては、荒巻又は巻返し工程で糸ずらしを行なうのが有効である。 詳細表示
S-113 たて縞(原糸異常) 織物 新合繊 たて縞は、周期がなく2〜5mmの幅をもった濃淡染が混在している。生機検査や反末染で軽微な発現があったが、加工上がりで目立って発現した。また一部にサッカー状のパッカリングを併発している。 本欠点の濃染縞部分の糸は、正常部に比べて強度、伸度、繊度等の値が大きく異なる。又、原糸における濃淡染糸の比較では、濃染糸の方が強伸度、熱水収縮率ともに大きい。
このような原糸物性が不均一な糸が混用されたために、加工上がりにおいてたて縞が目立って発現したものと思われる。
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S-114 たて筋(張力斑)  織物 ポリエステル たて筋は生機検査で発見されず、加工後に淡染1本筋の状態で目立ち方に強弱の斑がある状態で発現した。サイジング1ロット160疋中に3疋の発生があった。 たて筋糸は、POYを使用した仮撚工程中に何らかの原因で過剰な張力が加えられたものと判断される。本欠点の糸は、160疋中の3疋分に相当する長さにのみ発生したことから、極く短時間にかぎって、異常張力が発生し、その後は生常な状態にもどったことになる。この現象は仮撚機では、スピンドルの回転斑として発生しやすい。 詳細表示
S-115 たて筋(原糸異常)  織物 ポリエステル たて筋はノズル側耳より25cmのところに濃染で3〜4本発生している。このたて筋はと生機検査、反末染でも発見されず、加工上がり検査で発見されたものである。 本濃染のたて筋は、物性およびフィラメント断面形状の比較により、原糸欠点により発現したものと判断される。 詳細表示
S-116 たて筋(サイジング斑) 織物 ポリエステル 生機で黒っぽく見えるたて筋が所々に発現している。この筋は短いもので約10cm、長いもので約100cm位。その前後は除々に弱くなっている。 たて筋糸は見掛繊度が太く、電子顕微鏡写真のごとく糊が局部的に多量に付着している。これが糸の形態差を生じて、筋を発現させた。 詳細表示
S-117 たて筋(張力斑) 織物 ポリエステル 染色仕上リで、布の中央部に数本のたて筋が発現した。 本欠点のたて筋糸は、カバーリングの芯糸が表に浮き出した状態になっている。これはカバーリングエ程の張力の不適当により生じたものである。 詳細表示
S-118 たて筋(張力斑)  織物 新合繊 加工上りで耳より3.5cm地内に数百メートルの長さで、吊り状に見える1本のたて筋が発現した。 物性および熱応力の物性比較において、正常糸とたて筋糸とでは明らかに有意差がある。これにより、たて筋糸に異常な高張力が加わったことが推察されるが、いずれの工程におけるものであるかは、特定することは困難である。 詳細表示
S-119 たて筋(サイジング不良) 織物 ナイロン  ビームトゥビームによる準備工程を経てWJLで整織されたもので、仕掛け3疋目よりたて筋が発現した。このたて筋は、黒っぽく見え、機台によって発現の箇所が異なるが織前で見える。 本欠点のたて筋は、製織巾にたて糸の糊剤が部分的に脱落したことに原因する。これは、開口運動中の綜統が数本〜十数本のブロッキングを生じたためである。ブロッキングは糸との摩擦が増大して糊落ちがしやすくなる。
実際に織機を観察すると、織前で見えるたて筋部分に相当する綜統がくっついた状態で開口連動がなされていた。そのため、この部分の糊落ちが他の部分よりも多い。
防止対策として、(1)サイジングの糊組成を改善し、糊付着量を13.8%を7.5%に改めた。(2)引込みは並び綜統を同一筬羽に入れていたものを、別々の筬羽に入かえた。これらの対策で本欠点は解消した。
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S-120 たて筋(張力斑)  織物 ナイロン  たて筋は全幅にわたって発現しており、特定の周期はない。生機で軽微なたて筋が見えたが、片面捺染の加工上がりでたて筋が目立って発現した。 本欠点は荒巻整経における張力のバラツキが大きかったことによるものと判断され、下記の対策で解消した。
(1)荒巻のクリームのペックとテンサーアイとのセンタの修正、(2)原糸パーンを外層、中層、内層の3区分にして整経した。(3)荒巻張力を0.07gf/d、クリールテンサ-の第1ワッシャーと第2ワッシャーの重量比を4:6にした。(4)糸速を18m/minとした。(5)荒巻サイジングまでの放縮時間を72時間以上にした。
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S-121 たて筋(張力斑) 織物 ポリエステル、ポリエステル/綿混紡糸 生機検査では極く軽微に見えたが、加工上がりで極端に目立って発現した。たて筋は特定の周期がなく、境目が不鮮明である。
準備:サイジング1ロットに限られて発生
製織:シャットル織り
染色:緑と茶系統の中色でC反が大量に発生
たて筋発生の主因は、荒巻整経工程における張力斑であると判断される。
防止対策は、荒巻クリールのダブルテンサーを全数検査して、光沢の異なるものや精度の不良なものを更新する。クリールのコラム間隔やペックの芯狂い等を検討する。荒巻糸速を遅くする。荒巻室の湿度を65%RHに空調し、仕掛前の糸は24時間以上同室内に置く、巻返しでの糸ずらしを4本にする等が有効である。
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S-122 たて筋(糸傷) 織物 ナイロン  後染でブルーと濃紺色に集中して発生しており、淡色のものには発生していない(目立たない)。生機検査では発見されていない。たて筋の特徴として、(1)細かい筋のものはたて糸2〜3本、太い筋のものは8〜10本かたまって配列している。(2)たて筋は、白っぽく見え、布地の表面に目立っている。 製織時に筬や綜統の摩粍庇とたて糸の摩擦で、フィラメントが損傷を受けたものである。次の防止対策により解消した。(1)ステンレス筬(羽形深面取の研磨良好な空間率55%)を採用し、綜統は32#中目のクロムメッキ製品に取替えた。(2)サイジングは、落糊と静電気防止を考慮した糊組成に改め、ヤーンビームの巻幅は筬通し幅プラス25mmにした。(3)製布工程の空調は20℃、75%RHとした。 詳細表示
S-123 たて筋(糸繋ぎ異常) 織物 ポリエステル、ポリエステル/綿混紡糸 たて筋は疋内に1〜2筒所あり、結び目を中心に片側約30cm位ずつ程淡染している。たて糸は、POYから引いた仮撚糸で、生機検査で発見されず加工上がりで発見された。 POY仮撚時のテール結び作業又はテール結びが移行する時に、何らかの衝撃によって糸が過大張力を受けて、延伸されたものと推測される。
テール結びの作業方法を改善し、作業員に習得させることで、本欠点は発生しなくなった。
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S-124 たて筋(糸混入) 織物 ポリエステル 生機検査、反末染検査で発見されず、加工上りで発生したもので、加工色3色すべてに発現し、サイジング1ロット全数C反となった。筋は耳より10cmのところに1.5mm〜8mm間隔で発生している。 本欠点は仮撚方向が反対の糸が混入したため、染色加工においてトルクが正常糸とは逆の方向に発生したことにより、光線の反射に差が生じて、たて筋を発現させたものである。 詳細表示
S-125 たて筋(撚斑) 織物 ポリエステル 生機検査および反末染めにおいてたて筋が発見された。 正常部に比べてたて筋部では撚数が約180T/m不足しており、これが本欠点の原因と考えられる。ダブルツイスタのスピンドベルトの接圧調整、スピンドルメタルの潤滑油の交換によって撚数不足は解消した。 詳細表示
S-126 たて筋(糸傷) 織物 ポリエステル WJL製織後、生機検査、反末染検査で発見されず、加工上がり検査で発見された。たて筋は加工色がグレー、黒、紺色に目だち、淡色には殆ど見えない。 たて筋部分を顕微鏡で観察したところ、糸に損傷があることがわかった。このため正常糸に比べて筋部分は強度、伸度共に低下している。このことから本欠点は製織中に発生したと思われる糸の損傷が主因で、その部分が白っぽく見える欠点である。
防止対策として綜統を良質なものに替え、ミドルフックを2筒所増して15cm間隔とし、開口運動中の綜統の振れをなくした。筬は内天地55mm、空間率56%の研磨良好なセミオパール羽形のものに取り替え、織前をより安定させるために、復列テンプルを採用した。この結果、たて筋は解消した。
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S-127 よこ斑(原糸異常) 織物 ナイロン  よこ斑は白っぽく見える段状のものと、薄く見える段状のものと2種類あり、正常部分との境目が鮮明である。 よこ斑部分の糸は、薄段、白い段の両者とも、正常部分の糸に比較して、繊度が異なっている。又、フィラメント形状では、断面積の大きさに斑が認められる。これらのことから本欠点は原糸不良により発現したものと判断される。 詳細表示
S-128 よこ斑(原糸異常)  編物 ポリエステル/レーヨン混紡糸 丸編機(48口)で編成したもので、加正後たて方向に約10mmの間隔で濃淡の段が発現した。生機検査では発見されていない。濃淡の段は24本周期で発現している。 紡績糸の表面のレーヨンの現れ方に濃色部と淡色部に差があること、および見掛繊度と撚数に周期性があることの2点が混合作用してよこ段を発生させたと判断される。
本欠点は、原糸ロットの変更により解消した。
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S-129 よこ斑(仮撚異常)  織物 ポリエステル よこ斑段は5mm幅で大旨6cm間隔の周期で発現している。段の部分は色相が濃く、黒っぽく見える。生機検査では発見されず、加工上り検査で発見された。 よこ斑段部分の総糸長は約21.8m。正常部の総糸長は約216.1mの周期があった。仮撚スピンドル1〜2錘に不良があったものと推測される。仮撚機の第1フィードロールの点検整備により本欠点は解消した。 詳細表示
S-130 よこ斑(張力斑) 織物 ポリエステル よこ糸の合撚にダブルツイスタを用いていたが、撚糸機をリングツイスターに変更してからよこ段が発現するようになった。又、ジャンボワインダの巻条件がよく管理されていない時期に発生した。 生機について、熱応力を測定した結果、よこ斑欠点部分の糸は、正常部分の糸に比較して、過大張力が加えられていたこと、および正常部分の糸は、リングツイスターエ程のものと同一の値を持っていること等が判明した。これらの事により、本欠点部分の糸は、ジャンボワインダーの巻返し工程で過大張力が加えられたものと推察される。 詳細表示
S-131 よこ引け(よこ入れ異常) 織物 ポリエステル WJLでの織物で、生機検査では発見されず、加工上りで濃色に限って、反ノズル側に耳より10cm位の長さで強い引けが疋内全長に発現した。また、ノズル側にも同様な弱い引けがある。 正常糸と引け糸が1本交互の配列で、引け糸は、強伸度が低下している。2ノズルの中のどちらかのノズルの糸がしごかれてフィラメントの収束が乱れ、引っ張られた状態で織られたものと思われる。耳側によこ引けが目立って発現しているのは、製織時の織縮みが大きく、加工で大きく収縮された結果と考えられる。防止対策としては、ノズルを交換し、よこ糸給糸機構を整備し、開口とカラミ糸のタイミングを修正するなどである。 詳細表示
S-132 よこ引け(張力斑) 織物 ナイロン  よこ引けは斜め段状に発現しており、強いものは生機でも見える。C反の80%位は加上り検査で発見された。製織はWJL。1年前に1000疋織ったときは、よこ引けの発生はなかった。仕上げ加工としてしわ加工を行っているが、欠点部分のしわの状態が異なるので目立って見える。 本欠点は、よこ糸のクリンプ加工工程に何らかの張力異常があったのが、染色加工において顕著に発現したものである。
防止対策は、(1)クリンプ加工時の編立給糸張力を0.1g/dにした。(2)編立糸速を100m/minとした。(3)編立後の放縮時間を72時間とした。
これ等の実施により欠点発生は解消した。
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S-133 よこ斑(張力斑) 織物 ポリエステル WJL織りで、織機上では発見できなかったが、乾燥工程でサッカー状のよこ斑が発現した。 撚糸セット後において、異常な高張力のかかった糸が織り込まれた部分が、乾燥工程の熱によって、収縮を生じたために本欠点が発生したものと思われる。
防止対策は、セット後常温内放縮時間12時間以上、ワインダーの送返し糸速200m/分、巻糸張力0.2gf/dに管理した結果、本欠点のよこ斑は解決した。
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S-134 よこ段(糸傷+密度斑) 織物 ポリエステル 生機検査で発見されず、加工上りで発見された。よこ斑は、45cm位の周期で1cm位の濃色部分が発現した。90cm位の周期のところもある。特定織機で発生した。 本欠点は、たて糸の損傷とよこ糸の密度斑が複合して発生したものである。よこ糸の密度斑は、織機の巻取ロール3本と織り上り布のスリップによるものである。又、たて糸の損傷は、巻取ロールのスリップがたて糸の張力と巻取速度を変動させて、シャットルとたて糸が接触し、擦過状の損傷を誘発したためのものである。防止対策は、巻取ロール3本のゴムストリップの巻替と接圧、平行度を調慈する。併せて、ピッキング機構をソフトピッキング方式に調整する。 詳細表示
S-135 よこ段(機械段) 織物 ポリエステル 周期15cmの濃淡で、濃く見える正常部と白っぽく見える異常部がある。疋内に3〜5箇所発生している。生機検査では見逃したもので、加工上りで発見された。 本欠点は、よこ糸密度が異常部(白っぽく見える部分)で6本/インチ多いことによるもので、製織時に発生した機械段である。防止対策は、巻取ロール3本のゴムストリップの更新、および巻取機構全般を整備する。 詳細表示
S-136 風合い違い(張力斑) 織物 ポリエステル 生機の管替り箇所を境目にして、布目が平旦(張った状態)な部分と若干凹凸のある部分と分かれる。加工上りでは、楊柳しぼの発現状態に斑が生じて瓢箪状を生じた。 楊柳ジョーセットの幅不同の発生原因は、セット上りシリンダーの巻取層間の熱応力に大きな差があることが最大要因であると考えられる。防止対策としては、シリンダーの芯部にダンボール等の緩衝材を使用し、層間のセット斑を極力少なくするのが有効である。これを行わない場合は、製織工程においてシリンダー糸層別管理を実施する必要がある。また、管巻工程やシャットルの解舒張力の適正化、均一化の管理が必要である。 詳細表示
S-137 風合い違い(張力斑) 織物 異収縮混繊糸 段しわは、Z撚糸の管替より発現し、次第に程度が緩和し、S撚糸の管替りの少し手前で正常にもどっている。疋内に3箇所あり、いずれも管替りより発現している。10台仕掛りの中の1台より発生した。 段しわは、Z撚糸の管替りを境に発現していることと、織縮み長さが小さいことを併せて考えると、Z撚糸のシャットルの解舒張力が異常に高かったために発生したものと思われる 詳細表示
S-138 風合い違い(撚斑) 織物 ポリエステル 元見本に比較して、しぼが細かく、布面の凹凸が少ないのでクレームになったものである。撚糸機はダブルツイスタ。撚糸工場が変った時点で本欠点が発生した。 試験結果から、仮撚工程と撚糸工程において、張力的な異常はなかったと思われる。太デニールの仮撚加工糸に片甘撚りのみで、しぼ立ちを発現させる単純な手法だけに、撚数の不足がしぼ立ちに強く影響したものと考えられる。 詳細表示
S-139 風合い違い(撚斑) 織物 ポリエステル 加工上りの検査で、楊柳調のしぼ立ちやふくれの異常が発見された。異常部分は正常部分に比べて、しぼ立ちやふくれが少ないか又はほとんど見られない状態である。 本欠点は、欠点部分のふくれの組織部分に使用されているよこ糸のS撚糸の撚り数が約7%不足しているために、正常部分とは異なった風合いが発現されたものである。防止対策は、撚糸機のスピンドル各錘の回転斑を点検整備する。 詳細表示
S-140 風合い違い(撚糸条件差) 織物 ナイロン、綿
先行試験反のよこ糸はイタリー撚糸を用いたが、ルート生産はダブルツイスタを用いて、加工条件は試験反と同一に上げたところ、ダイヤ柄のふくれしぼの立ち方が少なく、クレームとなった。生機検査ではふくれしぼの異常は発見されていない。 試験反とルート反の両者に使用された、ナイロン系(140d/34f  S250T/m)の比較で、繊度、撚糸張力、シリンダー巻硬度、織縮み率等に大きな差が認められる。これは、ダブルツイスタの撚糸張力がイタリー撚糸機の場合よりも高いことが原因になったものである。撚糸張力の大きく異なる糸を同一の条件で加工すれば、しぼ立ちや風合いも異なる。 詳細表示
S-141 よこ斑(加工条件異常) 編物 アクリル/ウール混紡糸 編立後、よこ方向に白い不染部分がかすり状に発現した。絣状部分の大きさと同期は一定でない。編立前の先染糸にも同様な白い絣状の部分がある。 本欠点の染斑は、ウール糸のウロコ状のスケールが、精練〜糸染め加工の工程で、はがれたり損傷を受けたりした部分の光沢差により発生したものである。
ウール糸のスケールの脱落や損傷は、精練〜糸染加工の工程で、薬品の使用に不適正があったためと思われる。
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S-142 よこ段(張力斑) 織物 ウール/綿混紡糸 シャットル織機の単丁杼で織られた後染織物である。段は生機検査で発見されなかった。段の境目には結び目の節がある 試験結果から撚数、よこ密度、繊度、混紡率には差はないが、色段の境界に必ず存在する結び目を境にして織縮み率がまったく異なっていることは、よこ糸の打ち込み張力に極端な差があったことが考えられる。このためよこ糸の屈曲状態が異なり、このことが光線の反射具合に差を生じ色段に見えたものである。
色段の境目に存在する結び目節は、チーズワインダー工程において結ばれたものであることから、ワインダー機種を変更することによって色段の発生を防止した。
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S-143 よこ段(撚溜まり)  織物 シャトル織機の単丁杼で織った先染織物である。両耳から1/3位までが約6mmの濃淡の細かいとら模様段となっており、他工場でも発生している。 両耳側と中央部とでは撚数のバラツキは同程度であるが、図のように両耳側AとBとでは、濃淡に見えるパターンが逆転し、中央部ではその傾向が見られない。織幅と撚数の変動するピッチとがある一定の条件になると欠点が発生している。以上のように本欠点は、撚糸工程の次のワインディング工程において、糸のしごきによる撚留まり現像がその周期と織幅との関連で顕在化したものである。
複数の製織工場より一様に発生していることから、ワインダーの機種を変更し、巻取糸速を100m/minに改めたことにより、とら段は解消した。
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S-144 よこ段(張力斑) 織物 ポリエステル 生機検査、反末検査で発見されず、加工より検査で発見された。WJL2台で仕掛け、2台ともに発生した。加工色はブルーである。色段は幅9〜11cm位で、光線の当たり具合(見える角度)で若干濃く見える。 正常部と色段部の比較では、織縮み率に差があり、色段部のよこ糸は、緊張された状態で織り込まれていることが解った。このことと布面の観察結果を総合的に判断すると、本欠点は、布の組織とよこ糸の張力斑および糊付されたたて糸の柔軟性の3者が複合し、組織点のたてよこ糸の屈曲状態に斑が生じたことにより発現したものと思われる。
よこ糸の張力変動を小さくするために、仮撚上がりチーズをコーンに巻返して給糸し、更にたて糸の糊付着量を少なくして、仕上がり硬さを柔軟にした。これ等の方法により本欠点は解消した。
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S-145 よこ段(張力斑) 織物 ポリエステル 濃淡に見える3〜10cm位の段が1疋内に数筒所発生している。濃と淡部は隣接しており、周期性はない。 物性と熱応力のデータにより、(S)1,000T/mのよこ糸は、管巻工程で異常な高張力が加えられたことが推測される。この糸は偏平糸のために、ガイドとの強い摩擦で、糸の表面に偏平面が整列したことにより、光沢に差が生じ、淡色部の欠点を発現させたものと思われる。
防止対策としては、よこ糸の準備工程の張力管理が必要である。Hボビン繰りの糸速を150m/minに遅くし、管巻スピンドル回転を4000rpmに低下して、巻張力を0.25gf/dに変更したことで本欠点は解消した。
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S-146 色段(糸混入) 織物 ポリエステル/レーヨン混紡糸 白又は極淡色には目立たないが、中濃色には目立つ。 本欠点の白っぽく見える色段は、未成熟綿の混入比率の差によるよこ糸の染色性の差に原因するものである。AJLのノズル機で織られたので、余計に色段が目立つ結果になったものである。 詳細表示
S-147 フィラメント切れ(織機因) 織物 カチオン可染ポリエステル、ポリエステル 疋内全幅全長にわたり、よこ糸のフィラメントの切れた部分が布面に浮き出ている。生機検査では発見されず力加工上がりで発見された。 発生反番から織機番号を調べたところ、WJL12中の2台に本欠点が発生したことからわかった。この2台の織機について、よこ糸の測長貯留装置のプールパイプを点検したところ内部に傷があった。本欠点は、織機のよこ糸プールパイプの内部の傷に糸が接触したことによって、フィラメントが損傷し、そのままの状態でよこ入れされたものである。
本欠点の場合、カチオン可染糸とレギュラー糸の2色染であったことが、余計に欠点を目たせる結果になった。生機検査で本欠点を検出しやすくするには、検反機の横方向の照明を利かす必要がある。
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S-148 たて縞(加工当たり) 織物 ナイロン 耳より20cm位の箇所にたて縞が発現している。正常部との境目が明瞭でなく、3m位の周期でわずかな蛇行部分があり濃く見えたり、淡く見えたりする。縞の幅は3〜4mm程度である。製織はシャットルで、加工色6色中オレンジのみに発生。 本欠点は物性試験では、正常部と異状部に有意差が認められず、製織中に発生したものではない。電子顕微鏡による観察結果から、加工工程で発生した通称当たりによるたて縞である。 詳細表示
S-149 汚れ(異物付着) 織物 ポリエステル、綿
異物は黒か又は黒褐色をしており、長さ1mmか、それ以下の固形物で形は一定でない。よこ糸に沿って織り込まれているので、一見よこ糸汚れのように見える。 異物は、単丁側杼箱内(前杼箱、後杼箱、スレー面)にこびり付いていた汚れた膜状のものが、シャットルによって削られたか又は剥離して織込まれたものと推察された。異物は、糊材、油剤、ワックス剤、原糸のモノマー、オリゴマー、ほこり等が膜状に固形化したものと思われる。
単丁杼箱を清掃した後は、異物の織込みは無くなった。
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S-150 汚れ(異物付着) 織物 ポリエステル 機の片面に微小な固形物(1mm以下)が付着した。異物は黒いネズミ色で無数に付着しており、ブラシをかけると大半は脱落するが、しないものもある。 織機の巻取機構のサーフェスローラ、ガイドローラ、プレッシャーローラ等のゴムスリップを巻いてある各ローラ上に微少な付着物があった。これを採取して前記の分析をした結果、同様な結果が得られ、布の付着物と同一な物であることがわかった。
汚れの原因は、織機の巻取りローラに巻いてあるゴムストリップの表面が老朽化し、微少な固形物を発生させて、それが生機面に付着したものであることがわかった。
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S-151 布目曲り(熱履歴差) 織物 ポリエステル、麻
生機検査では布目曲りは発見されずに、加工後に左右の仕上リ長さが違ったため、長さ方向に湾曲状態の布目曲りが発現した。 仕上げ加工で縮まない異常部分の糸は、チーズの外層部分に相当し、撚止め時に、瞬間的に高温がかかったことにより、異常収縮を生じたものである。その結果、繊度が太くなり、撚数も増加した。結果、仕上げ加工での収縮は生じなかったため、左右の仕上がり長さの差になった。
部分整経は、1チーズで1ビームに巻かれたもので、外層より順にバンドが並び、内層糸で、最終バンドになる方式であったことが、布の左右端の収縮差を生じて布目曲りとなったものである。
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S-152 風合い違い(設計不良) 織物 絹、ウール よこの毛糸と絹紡糸との隙間がわずかに目立つ。また、毛糸自体の露出が目立ちすぎることも加わって、元サンプルと風合が異なるため、クレームになった。 組織杼間とは、組織は正常であるが、よこ糸とよこ糸の隙間が不均一な状態のもので、堅さの異なるよこ糸が配列されたときに平組織において起り易い欠点である。本欠点は、柔らかい絹紡単糸に隣接して堅い毛単糸が打込まれたことによって発生したものである。
防止対策は、第1図の組織を第2図のセミ2重組織に変更する。更に第3図の完全2重組織を採用すれば、高級品化につながる。
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S-153 たて筋(糸傷) 織物 ポリエステル 生機検査で発見出来なかったが、染色加工後、織物の中央部に濃染されたたて筋が発生した。レピア織機で製織されたものである。 電子顕微鏡で観察した結果、筋の部分のたて糸本数(2〜4本)が損傷しているのが確認された。この傷は、よこ方向に擦られており、杼ずれのように考えられる。
レピア織機で製織されていることから、本欠点はレピアの傷により、たて糸を傷めて、この部分が濃染されてたて筋の原因となったものと推察された。
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S-154 たて縞(筬傷) 織物 ポリエステル 加工後、織物の耳端より約7cm入った箇所から幅4cmにわたり、淡色に見えるたて縞が発生した。これは加工で発現したものか、あるいは製織時にすでに発生していたものかの解析。 電子顕微鏡で観察した結果、異常部分(淡色)のたて糸に損傷が見られる。また、織物の裏面も観察したところ同様な状態であることが確認できた。これは、筬に傷があった場合よく見られるフィラメントの損傷である。また、生機も同様にして観察したところ、同じ結果であった。
このことから、本欠点は筬傷が原因で製織の時に発生していたものと推察された。
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S-155 たて筋(筬傷)  織物 ポリエステル 織物の耳端から約30cm程にわたり、白く光った筋がランダムに発現している。また、2〜3mm位の幅を持った箇所もある 電子顕微鏡で観察した結果、異常部分は、たて糸のフィラメントの一部に損傷が見られる。さらに、拡大すると糸の表面を引っかいて、ささくれだっているのが判明した。筬に傷がある場合に発現する損傷に類似しており、本欠点も筬傷が原因で発生したものと推察された。 詳細表示
S-156 たて筋(筬傷) 織物 ポリエステル 加工後、織物の耳端から3cm位の箇所に濃染したたて筋が発生した。 電子顕微鏡で観察した結果、異常部分のたて糸に損傷が見られる。糸の表面が削られて、ささくれていることから、本欠点は筬傷が原因で発生したものと推察された。 詳細表示
S-157 たて筋(綜統傷) 織物 ポリエステル 生機では発見出来なかったが、加工後、濃染したたて筋が発生した。原糸が起因しているのではないかとクレームがついた。 電子顕微鏡で観察した結果、異常部分のたて糸の表面が損傷している。さらに拡大すると、この傷は、糸の長さ方向に対して横(直角)に溝をつけたように削られているのが判明した。本欠点は、綜統(ヘルド)の傷が原因で発生したものと推察された。 詳細表示
S-158 たて筋(綜統傷) 織物 ポリエステル 織物の中央部に5mm位の幅で白いたて筋が発生した。 電子顕微鏡で観察した結果、異常部分のたて糸の表面が損傷している。さらに拡大すると、この傷は、糸の長さ方向に対して横(直角)に溝をつけたように削られているのが判明した。
綜統(ヘルド)の傷が原因で発生したものと推察された。
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S-159 よこ斑(摩擦による糸傷) 織物 ポリエステル 生機検査では発見されず染色加工後、織物の裏側によこ糸方向に沿って約2〜3cm位の長さで、チカチカと光る白沢現象(カスリ状)が発生している。 電子顕微鏡で観察した結果、異常部分はS撚りのよこ糸の表面が傷んでおり、Z撚りには何の異常も見られない。さらに拡大すると、より糸表面の一部で、糸の長さ方向に擦られて溶融しているところが無数にあり、これが白っぽくカスリ状となったものである。
原因としては、管巻工程における過度の摩擦により溶融したものと推察される。張力は0.3〜0.4gf/デニール、糸速は180m/分以下が望ましいことから準備工程では十分留意する必要がある。
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S-160 光沢斑(当たり) 織物 レーヨン、アセテート 加工後、織物の中央部に斑点状に光沢斑が発生した(織物を斜め方向から見るとよく分かる)。生機の段階で汚れを落とした時の痕跡ではないかとクレームがついたものである。 マイクロスコープで織物の表面を全体的に観察すると、たて糸(白い方)の並びに変化が見られる。正常部分のたて糸は同一方向に湾曲しているのに対して、異常部分は左右反対方向になっているのが分かる。他に発生している箇所も同様な現象を呈している。さらに、電子顕微鏡で観察すると、この部分の糸に凹んだところが多く見られる。これは、加工中に織物の表面が押さえられて、目寄れ現象を起こして光沢むらが発生したものと推察された。 詳細表示
S-161 たて筋(テンプル当たり)  織物 ポリエステル 反末染めをした後、織物の耳端から約5〜6cm位入った箇所でたて方向に濃染のぼやけた筋が発生した。 電子顕微鏡で観察した結果、異常部分は全体的にたて糸の表面が擦られているように見える。なお裏側のたて糸には異常は見られなかった。
本欠点は、織機のテンプル当たりが原因で発生したものと推察された。
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S-162 よこ斑(原糸異常)  織物 ポリエステル 織物の全幅にわたり、よこ方向に0.5cmから長いところでは2cm位のヒケ状のよこむらが所々に発生した。Zより糸の結び玉を境にして発現している。また、異常部分のよこ糸は太く見える。 電子顕微鏡で観察した結果、異常部分(ヒケ状に見える糸)は太くて断面形状にも差が見られる。しかし、フィラメント数は72本と同じである。
原因としては、部分的に糸が太くて断面形状が不規則であることから原糸因(末延伸糸)であると推察された。
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S-163 よこ筋(原糸異常)   織物 ナイロン 織物全幅にわたり、よこ方向に1cm〜4cm位の短い筋が発生した。よこ引けではないかとクレームがついた。 電子顕微鏡で観察した結果、異常の発生している箇所は、糸が部分的に太くなっている。このため白っぽくヒケ状に見えたものと考えられる。本欠点は、原糸因であるものと推察された。 詳細表示
S-164 たて筋(異原糸混入)  織物 ポリエステル 生機検査では発見出来なかったが、加工後光沢差のあるたて筋が数本発生した。 織物から、たて糸を取り出して実体顕微鏡で観察した結果、正常糸は嵩高性があるのに対して、異常糸には見られない。電子顕微鏡で正常、異常部分のたて糸断面を見ると正常糸は○断面のフィラメントと分割繊維の複合糸であり、異常糸は違った形状のフィラメント糸であり明らかな差がある。
本欠点は、異原糸が混入されて発生したものである。他にもこのような事例が多くあり、十分な糸の管理が必要と思われる。
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S-165 たて筋(異原糸混入) 織物 ポリエステル 生機検査では発見出来なかったが、反末染めで白っぽいたて筋が発生した。 電子顕微鏡で織物のたて糸断面を観察した結果、正常糸は混繊糸(U字型のフィラメントが入っている)であり、異常糸は普通の加工糸に見られる多角形の形状をしていることが判明した。
本欠点は、異原糸混入により発生したものである。
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S-166 たて筋(異原糸混入) 織物 ポリエステル 生機検査では発見出来なかったが、反末染めで白っぽいたて筋が発生した。 電子顕微鏡で織物のたて糸断面を観察した結果、フィラメント数が84本、48本と違いがあり異原糸混入である。 詳細表示
S-167 たて筋(異原糸混入) 織物 ポリエステル 加工後(起毛)、黒っぽく見えるたて筋が発生した。 電子顕微鏡で織物のたて糸断面を観察した結果、正常糸はフィラメントが分割しており、欠点糸は異形断面(△)であることが判明した。本欠点は、異原糸混入により発生したものである。 詳細表示
S-168 たて筋(異原糸混入) 織物 染色加工後、織物の全幅にわたり、等間隔で白い筋が発生した。 電子顕微鏡で観察した結果、異常糸は、絹紡糸の双糸ではなく、絹紡糸とベンベルグ糸が合撚されたものであることが判明した。このため、ベンベルグ糸が不染になり白い筋が発生したものと推察された。 詳細表示
S-169 たて筋(仮撚異常) 織物 ポリエステル 生機検査で、たて吊り欠点として発見された。 電子顕微鏡で観察した結果、正常糸は加工糸の特徴である捲縮形状をしているが、異常糸はフィラメントが平行に並んでおり原糸のようである。原因としては、仮撚工程でのトラブルが考えられる。 詳細表示
S-170 光沢斑(糸傷+減量異常) 織物 ポリエステル 加工後(黒)、織物表面の所々にシミ状の光沢差が発生した。 電子顕微鏡で観察した結果、正常部分の糸の表面は通常の減量加工に見られるようにクレータ部分は整然としているのに対して、異常部分はフィラメントの一部が溶けている状態が判明した
本欠点は、加工前にたて糸が損傷されていて、加工における減量過多により発生したものと推察される。
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S-171 汚れ(カビ) 織物 ナイロン 織物の表面に茶褐色の斑点状の汚れが発生した。油汚れ、あるいは力ビによるものか調べる。 電子顕微鏡で観察した結果、菌糸(糸状のもの)が確認出来た。カビによる汚れのように推察された。よくある事例なので製品の保管には十分な注意が必要である。 詳細表示
S-172 たて筋(糸傷) 織物 ポリエステル 生機検査で、擦られたような白いたて筋が発生した。織物を透かして見るとはっきり分かる。 電子顕微鏡で観察した結果、よこ糸が突起物で損傷されており、これがたて方向に連続してたて筋になったものと考えられる。巻取ローラの傷が原因で発生したものと推察される。 詳細表示
S-173 毛羽(糸傷) 織物 撚糸工場で、絹糸の表面に白く粉が付着したような綛(かすり)が発見された。 電子顕微鏡で観察した結果、極めて微細な繊維(分裂繊維)が毛羽状になっている。絹布等に現れる「ラウジネス」に類似している。巻取ローラの傷が原因で発生したものと推察される。 詳細表示