能登の伝統食品「いしり」の脱塩・粉末化技術

■化学食品部 笹木哲也

緒  言
 石川県奥能登地方では,「いしる,いしり,よしる,よしり」(以下,いしり)と呼ばれている魚醤油が古くから造られている。地元ではいしり鍋や一夜干しなどの料理に使われてきたが,近年ではエスニック料理の調味料,大手食品メーカーの隠し味など用途が多様化しており,いしりの生産量もこの二十年程で増えてきている。
 いしりにはアミノ酸,ペプチド,タウリンを多く含み,また優れた機能性(抗酸化性,血圧上昇抑制効果)を持つことを石川県立大学と共同で明らかにしてきた。しかしながら,いしりは高濃度の塩分(25%程度)を含んでおり,調味料や機能性食品素材として利用するうえで大きなネックとなっている。そこで,優れた機能性などの特徴を残したまま,塩分を取り除いた脱塩いしりの調製を試みた。さらに,粉末調味料や機能性食品素材などへの用途拡大を目指し,脱塩いしりの粉末化について検討した。


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