プラスチック製品の欠点解析を支援  ―X線回折装置の活用事例―

 プラスチック製品に生ずる白濁の欠点には、異なる樹脂の混入や、結晶化に起因するものがあります。異なる樹脂の混入の場合は、材質を特定する赤外分光光度計などにより原因を解析できますが、結晶化に起因する場合は、材質が同じであるためこの方法では特定できません。この場合、結晶化の有無や結晶構造を測定できるX線回折装置が威力を発揮します。

 図1は白濁欠点が発生した射出成形品の例です。透明な部分が正常部ですが、2×1mm程度の白濁が生じています。新規に導入したX線回折装置はこの微小白濁部分のみにX線を当て(最小約φ300μm)、非破壊で測定することができます。図2は透明な部分と白濁している部分のX線回折像です。結晶化するとX線回折像はシャープなリングを描くことから、白濁部分は結晶化していることがわかります。また、樹脂の種類によってリングの現れる位置が異なるため、樹脂を特定することもできます。今回は、原料樹脂の結晶化が白濁の原因であることがわかり、成形条件を改善することにより不良率を大幅に低減することができました。

 樹脂の結晶構造解析にX線回折装置を是非ご利用ください。

2×1mm程度の白濁        

図1 白濁欠点品
        
透明部分(非結晶化)
    
白濁部分(結晶化)
   
図2 X線回折像

 

担当:繊維生活部 奥村航(おくむら わたる)

専門:繊維材料、高分子材料

一言:製品開発、品質管理にご活用ください。