プリント配線基板における銅マイグレーション評価

 電子機器の小型化への要求は絶え間なく、現状以上にプリント配線基板の配線間隔を狭くすると、銅マイグレーションによる短絡故障の増大が懸念されています。銅マイグレーションは、プリント配線基板の電極から銅イオンが溶出して他方の電極に移動し、図1のように銅生成物が枝状に成長する現象です。

 工業試験場では、この故障を抑制するため、様々なプリント配線基板における銅マイグレーションの発生要因を解析しています。これまでに、図1の観察位置で断面試料を作成し、図2(a)の断面について銅の濃度分布を電子線マイクロアナライザで測定しました。その結果、多くのマイグレーション現象では銅生成物が負極側から成長するのに対し、紫外線硬化樹脂レジスト(はんだ付け保護膜)付きの試験基板では、図1と図2(b)のように、正極側からレジスト表面を通路として銅生成物が成長することがわかりました。

 さらに、高温高湿や高電界印加で使用されるプリント配線基板での対策を行うため、アール・ビー・コントロールズ(株)(金沢市)、高松油脂(株)北陸工場(能美市)と共同で、部品や配線を保護する封止膜により銅マイグレーションを防止する技術の開発に取り組んでいます。


図1 基板の光学像(上面像)
        
図2 基板の断面像と銅の濃度分布

 

担当:電子情報部 筒口善央(どうぐち よしてる)

専門:電子材料

一言:銅マイグレーション評価の研究や信頼性評価試験を行っています。お気軽にご相談ください。