リチウム電池の電極開発を支援  ―X線回折装置の活用事例―

 リチウムイオン電池は、自動車などの次世代バッテリーとして注目されており、電池の高性能化、小型化が進められています。電池の電極特性は、黒鉛の結晶粒子の積層状態(配向性)に強く影響されます。この電極の製造条件の相談を平松産業(株)(能美市)から受け、X線回折装置を活用して黒鉛の配向性を評価しました。

 試料は図1のように黒鉛を治具に充填し、プレスして作製しました。黒鉛は板状の結晶であるため、プレスにより一方向に結晶がそろいます。結晶のそろい具合は、配向度で評価します。図2は、プレス方向に垂直な面(青)と水平な面(赤)の回折パターンの例であり、配向度は強度比I002/I110で求められます。この例では、垂直面が水平面の千倍以上大きな配向度になっています。このような評価からプレスの適切な荷重を求めました。

 材料の結晶構造や配向性をX線回折装置により評価することは、様々な製品の改良に役立ちますので、ぜひご活用ください。


図1 プレス加工による試料作製

図2 X線回折パターン
 

 

担当:化学食品部 豊田丈紫(とよだ たけし)

専門:無機材料、構造物性

一言:製品開発のスピードアップに活用ください。