RP鋳型製造技術の開発を支援  ―粉体造形鋳型の高融点金属への対応―

 3次元CADで作成された図案から光硬化性樹脂や各種粉末素材などを用いて、迅速に形づくるラピッドプロトタイピング(RP)システムがあります。(有)小松鋳型製作所(小松市)では、鋳造品の鋳型作製用として石膏粉末タイプのRPシステムを導入し、複雑形状鋳型の一体成形化による短納期製造に取り組んできました(図1)。しかし、市販の粉末造形剤を用いた鋳型では、鋳鉄やステンレス鋳鋼等の高融点材料に対応できないことがわかりました。

 そこで、同社と工業試験場では、高融点材料への適応を図るため、粉末造形剤の特性評価と改良を行いました。市販の粉末造形剤では、図2のように主成分となる石膏が約1200℃で熱分解してしまうことから、石膏の代替品としてセメントを配合しました。セメントの特性について金沢大学五十嵐教授からアドバイスを受け、配合割合について検討を重ねた結果、高温においても熱分解の少ない鋳型用粉末造形剤が配合できました。これにより、高融点金属の鋳造にも対応でき、試作鋳造の短納期化が期待されます。


図1 RP鋳型の例(断面カットモデル)

図2 熱分析による鋳型材の評価

 

担当:機械金属部 藤井要(ふじい かなめ)

専門:金属工学、鋳造工学

一言:鋳造業界の発展を支援します。