いしりサプリメントの開発  ―石川県産伝統食品の新展開―

 いしりは能登地方で古くから伝統的手法で作られているイカやイワシを原料とする魚醤油です。独特の旨みを持つことが認められ、近年、消費量も伸びています。また、遊離アミノ酸などの栄養成分や抗酸化性、血圧上昇抑制効果などの機能性成分を豊富に含むことから、機能性食品としても注目を浴びています。

 工業試験場では、いしりの栄養成分、機能性成分を濃縮した「いしりサプリメント」を開発しました。いしりの塩分を電気透析法で取り除いた後、乾燥し易くするためトレハロースを添加し、これを60℃の熱風で乾燥することでいしり顆粒を作成しました。さらに、この顆粒を加圧成型し、錠剤タイプのサプリメントも試作しました。乾燥工程では熱風乾燥法を用いることで、従来の技術(噴霧乾燥法)よりも、安価に加工することができました。また、このいしりサプリメントは吸湿性が低い、口溶けがよいなどの特徴を伴っていることもわかりました。

 今後は、県内企業への技術移転を図ると共に、サプリメント開発で培った技術を活用して、減塩いしり、いしり粉末調味料などの開発を行っていきます。

 本研究は、経済産業省の地域イノベーション事業により、車多酒造(株)(白山市)、(有)カネイシ(能登町)、(株)ヤマト(能登町)、県立大学、県水産総合センターと共同で実施しました。


いしりサプリメント

 

担当:化学食品部 笹木哲也(ささき てつや)

専門:食品化学、分析化学

一言:県産伝統食品の魅力を活かす研究をしています。