耐火断熱れんがの品質を安定化  ―環境低負荷製造技術の実用に向けて―

 耐火断熱れんがは、900〜1500℃という高温域での断熱材として利用され、主に鉄鋼や液晶用ガラスの溶解炉などの炉壁として用いられています。その中で900〜1000℃の低温域の耐火断熱れんが(珪藻土れんが)は、原料として能登珪藻土が利用されています。この珪藻土れんがは、珪藻土におが屑を混ぜ、成形・焼成することで製造されています。しかし、原料が天然鉱物であることによる品質のバラツキや、焼成時にわずかに発生する亜硫酸ガスのにおい対策が長年の課題でした。

 工業試験場では、これらの課題を解決するため、珪藻土とカルシウム源を混合・焼成し、石膏(CaSO4)を析出させる方法について検討しました。図は水酸化カルシウム(Ca(OH)2)添加による再加熱収縮率と脱硫率の変化です。水酸化カルシウムを5%添加することにより、再加熱収縮率のバラツキを0.5%以下まで抑えることができました。また脱硫率も50%以上と効果が大きいことが分かりました。この成果は、1月21日に開催された七尾・珠洲地区珪藻土関連企業技術交流会にて報告しました。

 今後は、業界とともに実用化に向けて取り組んでいく予定です。


再加熱収縮率と脱硫率の変化

 

担当:化学食品部 佐々木直哉(ささき なおや)

専門:無機材料、陶磁器、地球科学

一言:能登珪藻土の知名度アップに少しでも貢献できるようがんばっていきたいと思います。