アミノ酸分析計の活用事例  ―食品の旨み成分の正体は?―

 食品を特徴づける成分の一つであるアミノ酸は、旨味、甘味、酸味、苦味として感じられる成分で、アミノ酸の種類や濃度、組み合わせ、他の物質との相互作用などが複雑に関与しています。例えば、醤油や昆布などの旨味はグルタミン酸、カニやホタテ貝の甘味はグリシン、アラニンなどが関与しており、それぞれの味を特徴づけています。

 このように、味覚で感じられるアミノ酸について、その組成と含有量を測定する装置がアミノ酸分析計です。

 工業試験場では、最新のアミノ酸分析計(L-8900、日立製作所(株)製)を導入しましたので、活用事例として醤油の分析結果を紹介します。

 図は、醤油中のアミノ酸を示したものです。図から、旨味のもととなるグルタミン酸だけでなく、甘味を呈するアラニン、酸味を呈するアスパラギン酸、苦味を呈するロイシンなど固有の味をもつ数種のアミノ酸が含まれていることから、醤油は複雑な旨味を呈していることがわかります。

 本装置は、食品、飲料、生体試料などに含まれるタンパク質構成アミノ酸20種類の他、タウリン、GABAなどのアミノ酸に類似した機能性物質を定量分析することができます。是非、アミノ酸分析試験をご利用下さい。



醤油のアミノ酸含有比率(重量%)

 

担当:化学食品部 武春美(たけ はるみ)

専門:食品化学、食品加工

一言:食品の味や香りとなる成分を明らかにしてみませんか?