塑性加工における形状予測  ―CAEを用いた設計支援―

 プレスによる曲げや絞り加工などでは、金型を使用して製品を作っていますが、目的とする製品形状を精度良く製造するためには、金型の試作・修正を繰返すことになります。そのため、近年ではコンピュータで製品形状を解析し、金型製作の短期間化や低コスト化する試みが行われています。

 工業試験場には、有限要素法を用いた塑性域まで解析できる構造解析ソフトウエアが導入されており、平成19年度から右図のような円筒深絞りなどの形状予測について検討を行っています。使用するソフトウエアによっても異なりますが、コンピュータで解析するためには、形状のモデル化、塑性域までの材料モデル、解析するための条件(固定する位置や荷重)などが必要となります。実際の加工と全く同じ条件で解析することが難しいことから、解析条件を振って傾向を掴むことが重要となります。また、材料の塑性域における応力−ひずみ曲線が結果に影響を及ぼすため、最適な材料モデルを選定する必要があります。

 より複雑な多工程の加工については、各工程の金型形状をあらかじめ用意し、前工程の解析で得られた製品形状を取り込むことにより、順次解析することが可能になります。汎用のソフトウエアの場合、多工程加工の解析には煩雑な作業を伴いますが、簡単に設定できるソフトウエアもあるようです。

 曲げや絞り加工など、塑性域までの解析が必要な際には、ぜひご相談ください。


円筒絞りの形状解析例(1/4モデル)

担当:機械金属部 新谷隆二(しんたにりゅうじ)

専門:繊維機械、騒音振動測定、流体力学

一言:数値解析にも経験が必要です。