ロール測定用干渉計の開発  ―鉛直移動に伴うロールも測定―

 レーザ測長機は、工作機械に発生する位置決め誤差、移動線真直度、ピッチ、ヨーなどの偏差を精密に測定する機器として70年代に考案され、今日では旋盤やマシニングセンタ等の動作精度を最終確認するための必須機器として広く普及しています。しかし、現在でもロール(送り軸回りの微少回転角度変位)を測定できる干渉計と反射鏡が考案されていないため、ロールだけは測定できません。

 レーザ測長には、光の偏向方向が互いに直交する2本のレーザ光を使用します。被測定物に搭載した反射鏡へ2本のレーザ光を照射し、反射鏡から戻る2本のレーザ光を干渉計と呼ばれる装置内部で干渉させると、干渉光には発生偏差に比例した位相差が現れます。これを電気変換して表示するのがレーザ測長機です。

 工業試験場では、小型で高分解のロール測定専用の反射鏡と干渉計を開発しました。装置の測定分解能は16nm/″(検出長さ/単位ロール角:秒)、測定移動距離は1100mm、最大測定角度は6000″ですから、一般の工作機械に発生するロール測定には十分に対応します。現在、県内メーカと共同で意匠設計を含めた商品化設計を進めています。


開発したロール測定用干渉計(左)と反射鏡(右)

担当:管理部 中薮俊博(なかやぶとしひろ)

専門:カム機構の設計と加工、機構学

一言:光の波長や位相差に注目した開発であり、各種情報関連機器へ発展するよう願っています!