機能性ショールを共同開発 ―ヘルスケア繊維素材の研究開発と応用―

 工業試験場では「ヘルスケア繊維素材の研究開発」として、黄色ブドウ球菌等の細菌を分解する酵素(リゾチーム)をポリエステル繊維表面に固定化する技術を開発しました。リゾチームは、天然由来のタンパク質で安全性に優れており、抗菌剤として繊維上に固定化することにより、ヘルスケア機能を有する繊維製品への用途展開が期待できます。

 本研究の応用事例として、リゾチームを固定化したポリエステル薄地織物に、天池合繊(株)製のポリエステルメッシュ織物『天女の羽衣』を重ね合わせたファッションショール『天女の翔流』を同社と共同試作しました。抗菌性に加え、織物組織による花粉遮蔽性や金箔プリントによる装飾性を付与し、機能性と高級感を備えたオリジナル製品として、各種展示会で好評を得ています。

 天池合繊(株)では、今後『天女の翔流』を製作・販売することにより、薄地織物の更なる需要拡大を目指しています。また当場においても、この素材の後加工や製品の品質向上に関する技術的支援を継続的に行っていますので、ご興味のある方はご連絡ください。

リゾチームの構造 天女の翔流(ショール)

担当:繊維生活部 守田 啓輔(もりた けいすけ)

専門:繊維高分子材料、繊維物性・快適性評価

一言:各種繊維試験に関するご相談・ご依頼をお待ちしております。