円偏波用電波吸収体の性能評価  ―電波吸収体の開発を支援―

 高度情報化社会において電波を用いたデータ通信技術の開発、利用が盛んに行われています。その一方で、電波の混信や不要波による周辺機器の誤動作などの問題が発生しており、この対策法として電波吸収体による不要波の抑制があります。

 そこで、吸収体メーカの製品開発を支援するため、電波吸収体の性能評価システムを構築してきました。しかし、これまでの性能評価は直線偏波方式によるもので、ETC(自動料金収受システム)や駐車場などの料金収受でこれからの普及が大いに期待されるDSRC(専用狭域通信)で用いられている円偏波方式の性能評価には対応できていませんでした。そこで、電波吸収性能評価の精度向上を測るとともに、直線偏波方式による吸収性能から円偏波方式の吸収性能を理論的に合成することによって評価する方法を提案しました。この方法を用いた評価結果と実際の円偏波用アンテナによる評価結果を比較検討した結果、下図に示すよう2dB以内で一致しており、その有用性が確認できました。

 工業試験場では、不要電波対策のため、電磁波シールド材、電波吸収体の開発や評価測定に関する技術支援を行っています。ぜひご相談、ご利用ください。


円偏波による電波吸収測定結果の比較

担当:電子情報部  吉村慶之(よしむらよしゆき)

専門:電波計測、電波シールド、電波吸収

一言:見えない電磁波の事象を数値や色で確認できるように努めています。