ICタグを利用した排便検知システムの開発

 工業試験場では、寝たきり認知症老人介護の負担軽減のため、排便を検知するシステムを開発してきました(技術ニュース2005.7.1参照)。平成17〜18年度には (財)テクノエイド協会事業「福祉用具研究開発助成」を受け、金沢大学 紺家准教授、(株)インテック(富山市)、千木病院(金沢市)と共同で、RFIDを用いた実用に近いシステムを試作しました。

 試作した排便検知システムは、温度センサ付きICタグ、レシーバ(受信機)およびパソコンで構成されています。おむつ内の温度データをICタグによりレシーバを介してパソコンに送り、排泄の有無や種類(尿、便など)を温度変化パターンから判別します。ICタグは個体を識別できるため、一つのレシーバで複数の患者に取付けたICタグからのデータを受信できる長所があります。

 療養型病床群1施設の患者に対して、家族の同意を得て調査し、52例について検証した結果、排便の約7割を正しく検知できました。今後は、小型化やアルゴリズムの改良等により、実用化を目指したいと考えています。

ICチップと無線により人やものを識別する技術。


試作した排便検知用温度センサ付きICタグシステム

担当:電子情報部 米澤保人(よねざわやすと)

専門:固体表面分析、薄膜、故障解析

一言:高齢化社会を迎え、社会負担の軽減には、技術を利用した支援が不可欠です。