メソポーラスシリカの合成と鉛吸着特性  ―有害金属の新規吸着材料開発を目指して―

 メソポーラスシリカは、数nm(1nm = 1×10−9m)の細孔が規則配列している酸化ケイ素から成る合成多孔質材料です。大きな比表面積を持つこと、細孔内に機能性を持った有機基の導入が容易であることなどの特徴を活かして、現在、触媒やセンサーなど多方面の研究が世界中で行われています。

 工業試験場では、メソポーラスシリカに鉛吸着能を付与した新しい鉛吸着材料の開発に取り組んでいます。今回、メソポーラスシリカに有機基を導入した4種類の材料を合成しました。これらの材料は導入した有機基の種類、組込位置、細孔径が異なり、それぞれ特徴を持っています。希薄鉛水溶液に対する合成材料の鉛吸着率を調べた結果、有機基の導入と径が大きいほど吸着率が高くなることがわかりました。

 今後は、新規有機基の導入と細孔径制御の両面からメソポーラスシリカを改良し、鉛をはじめとした有害金属の新規吸着材料の開発を行います。さらに、開発した材料を環境浄化、有害物質の高感度分析用前処理などの用途に展開していく計画です。


メソポーラスシリカの電子顕微鏡写真とイメージ図

担当:化学食品部 笹木哲也(ささきてつや)

専門:分析化学、有機化学

一言:先端材料「メソポ−ラスシリカ」を石川の産業に活用します!