金属組織試験  ―材質推定や破損原因調査のための依頼試験―

図1 金属材料依頼試験目的と試験項目の関係
図2 金属組織の例(JIS-S45C)

 工業試験場における機械金属分野の依頼試験の多くは、機械部品の材質判定や破損原因調査です。この場合の目的と試験項目は、図1のような関係であり、金属組織試験はその中の手段の一つとなります。

  試験項目(1)の分析試験では、鋼の合金元素である炭素、マンガン、クロム、モリブデンなどの量を調べ、JIS規格と照らし合わせて材質を特定します。(2)の硬さ試験では、硬さから引張強さがある程度予測できます。さらに、材料の表面、内部の硬さを調べることで、熱処理が適切かがわかります。
  では、(3)の金属組織試験からはどのようなことがわかるのでしょう。機械部品の切断、研磨、エッチング等の前処理工程等さまざまな準備を経て、金属組織を観察することで、鋳造品、鍛造品、切削品の区別や、表面処理や熱処理(焼入れ・焼戻し:調質)の有無の判断ができます(図2)。また、金属の破断面に直角な断面の組織観察により、不完全焼入れ組織や酸化物の有無を評価し、破損原因の推定にも利用しています。

  機械部品の破損原因調査においては、設計図面どおりの基準を満足していたかどうかを判断するための情報収集が重要なカギです。機械部品の材質調査や破損原因とその対策調査でお困りの方は、是非ご相談ください。


担当:機械金属部 鷹合 滋樹(たかごうしげき)

専門:金属材料 X線解析

一言:金属材料に関するご不明な点からクレーム調査まで、是非お気軽にご相談ください!