セラミックスの組織制御技術を開発  -快削性材料の結晶粒微細化をHIP処理にて確立-

快削性ガラスセラミックスのマイカ結晶組織の電子顕微鏡(SEM)写真
快削性ガラスセラミックスの
マイカ結晶組織の
電子顕微鏡(SEM)写真

 機械加工が可能な快削性ガラスセラミックス材料は、母材であるガラス中にマイカ(雲母)結晶が均一に分散することで優れた機械加工特性を示します。近年、電気・電子部品の小型化に伴い周辺材料である快削性セラミックスの加工精度の向上が求められています。
  この加工性能はマイカ結晶の大きさに依存するため、結晶組織の微細化が必要でした。そこで、工業試験場ではHIP(熱間等方圧プレス)による快削性ガラスセラミックスの組織制御法の開発に取り組みました。一般に、HIP処理は金属やセラミックスの気孔(欠陥)を潰して高密度化するために利用されますが、今回は結晶育成の工程にHIP処理を適用しました。図はガラス中のマイカ結晶の電子顕微鏡写真です。従来の手法に比べて温度と圧力の相乗効果で最大10ミクロンのマイカ結晶が約1/2にまで微細化されることがわかったため、このHIP処理を用いた快削性セラミックスの製造技術に関して住金セラミックス・アンド・クオーツ(株)と共同で特許を出願しました。今後、製品化へ向けて応用研究を進める予定です。


担当:化学食品部 豊田丈紫(とよだたけし)

専門:セラミックス構造物性,機能性材料の開発

一言:新しい材料開発にHIP焼結装置を是非ご利用下さい。