3.3.2 考 察
電子顕微鏡観察の結果,異常部分は「S撚り」のよこ糸の表面が痛んでおり,「Z撚り」には何の異常も見られない(図6)。さらに拡大すると,撚り糸表面の一部で糸の長さ方向にこすられて溶融しているところが無数にあり,これが白っぽくカスリ状となったものである(図7)。原因としては,管巻き工程における過度の摩擦により溶融したものと推察される。

3.4 当たり
3.4.1 概 況
品 名:ポリエステルデシン
糸使い:たて糸 PE 75d/36f、よこ糸 PE 75d/36f S,Z3200T/m
発生状況:端末染めをした後,織物の耳端から約5〜6cm入った箇所でたて方向に濃染のぼやけた筋が発生している。
3.4.2 考 察
電子顕微鏡観察で正常部分と異常部分を比較した結果,異常部分は全体的にたて糸の表面がこすられているように見える(図8)(図9)。なお,裏側のたて糸には異常は見られなかった。本欠点は,織機のテンプル当たりが原因で発生したものと推察される。

3.5 よこむら(原糸因)
3.5.1 概 況
品 名:ポリエステル織物
糸使い:たて糸 PE 75d/36f、よこ糸 PE 125d/72f,S,Z 2000T/m
発生状況:織物の全幅にわたり,よこ方向に0.5cmから長いところでは2cm位のヒケ状のよこむらがところどころに発生した。Z撚り糸の結び玉を境にして発現している。また,異常部分のよこ糸は太く見える。
3.5.2 考 察
電子顕微鏡観察で正常部分と異常部分を比較した結果,異常部分(ヒケ状に見える糸)は太くて断面形状にも差が見られる(図10)(図11)。しかし,フィラメント数は72本と同じである。原因としては,部分的に糸が太くて断面形状が不規則であることから,原糸因(未延伸糸)であると推察される。
