3.実験結果と考察
3.1 ファジィ張力制御システム
ファジィ張力制御システムの結果を図4に示す。糸速度200m/minにおいて,設定値20cNに対し,20±1cN 以内で安定した制御結果を得た。
![]() 図4 ファジィ張力制御システム |
![]() 図5 重り式テンサ |
3.2 重り式テンサ
実験に用いた重り式テンサを写真4に示す。重り式テンサによる糸張力の制御結果を図5に示した。糸速度は200m/minで定速に達した後の状態を表している。平均的な張力値は約
26cNあり,設定張力20cNに比べてはるかに高く,制御効果があらわれていないことがわかる。瞬間的に張力が低下している箇所が見られるが,これは制御用の重りであるワッシャが振動して発生したものと考えられる。この振動は糸速度160m/min以上で認められるようになった。
![]() 写真4 重り式テンサ |
![]() 写真5 バネ式テンサ |
![]() 図6 バネ式テンサ |
3.3 バネ式テンサ
実験に用いたバネ式テンサを写真5に示す。図6にバネ式テンサによる制御結果を示した。設定張力より若干高めの平均張力を示しているが,重り式テンサと比較して,より安定した制御結果を示している。制御値は22±2cNであった。
3.4 糸速度と制御張力の関係
糸速度によって制御張力がどのような影響を受けるかを前述の三つの制御方法について調べた。糸速度は20〜240m/minの範囲で変え,この間張力設定値は20cNとして実験した。測定結果を表2と図7に示した。図7から重り式テンサは糸速度が上昇すると張力の上がり方が激しく,糸速度240m/minで張力約28cNに達した。バネ式テンサは重り式に比べて張力の上昇は穏やかであるが,糸速度120m/min以降で張力上昇が始まり,240m/minでは約23cNに達した。これらの両者を比較すると著者らが実験に用いたファジィ張力制御システムは糸張力が不安定になりやすい低速の場合,20m/min
の運転速度で張力は19.3cNであり,さらに高速運転(200,240m/min)の場合にも,張力は 20.5cNに維持され,設定張力から大きく変動することはなかった。
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![]() 図7 糸速度と張力変化 |
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