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能登珪藻土を用いた酸化脱臭触媒の合成

■化学食品部 北川賀津一 中村静夫 宮本正規
■金沢工業大学 大橋憲太郎
■金沢大学 広瀬幸雄

研究の背景
 珪藻殻粒子は,ガスの拡散に有効なマクロ細孔と,触媒微粒子の吸着に有効なナノ細孔を持つ。本研究では押出成形法で試作した触媒で,固定床流通反応装置より一酸化炭素酸化反応を行い,触媒性能を評価解析した。

 

研究内容
 能登珪藻土は約3μmのマクロ細孔が多く,その他約2nmのナノ細孔及びメソ細孔が分布する多孔質材料である。能登珪藻土の主な粘土鉱物はモンモリロナイトで,モンモリロナイトは20〜50nmの等粒子形状で存在した。モンモリロナイトの可塑性により真空土練機を用いた押出成形が可能である。
 3%のパラジウム(Pd)を担持した触媒の形状を粉末とペレットでCO酸化反応を行った。粉末触媒は室温付近で,ペレット形状触媒は170℃付近で反応が進行した。前述のペレット形状触媒は還元雰囲気で焼成した試料である。酸化雰囲気で焼成した試料では250℃以上でないと反応が進行しなかった。
 0.5%Pd-5%W/能登珪藻土ペレットと3%Pd/能登珪藻土ペレットのCO酸化反応結果を図1に示す。パラジウムの担持量を減らすとCO酸化反応はほとんど進行しなかった。0.5%のパラジウムに鉄,ニッケル,マン ガンなど他の元素を添加した場合も同様である。しかし,5%のタングステンを添加した場合は若干CO酸化反応の立ち上がり温度が高温側に移動するが,3%Pd/能登珪藻土ペレットと比較して同等の触媒性能が得られた。
 0.5%Pd-5%W/能登珪藻土ペレット触媒のX線回折パターンから還元雰囲気焼成をした試料で,パラジウム酸化物(PdO)とタングステン酸化物(W18O49)のピークが観測された。 

(図1 0.5%Pd-5%W/能登珪藻土ペレットと3%Pd/能登珪藻土ペレットのCO酸化反応)

 

研究成果
 非晶質シリカから構成され,多孔質材料である能登珪藻土から押出成形法で担体を試作した。この担体に触媒成分を担持して触媒を合成し,固定床流通反応装置で一酸化炭素の酸化反応を行い,触媒性能を評価解析した。5%のタングステンをパラジウムに添加すると高価なパラジウムの使用量を3%から0.5%に抑えることができ,3%Pd/能登珪藻土ペレットと比較して同等の触媒性能が得られた。

 

論文投稿
 粉体および粉末冶金.2007, vol.54, no.5, p.317-321.