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Webアノテーションを用いたWeb検索支援システムに関する研究

■金沢大学 有川毅志 水上大樹 南保英孝 木村春彦
■電子情報部 上田芳弘
■近畿大学 阿部孝司

研究の背景
 Webが急激に進展している今日,Web上には膨大な知識や情報が蓄積されている。すでに,従来のWebブラウザと検索エンジンによるWeb検索方法では,情報収集や整理,共有に限界が生じている。そこで,Webアノテーション(Web上に自由に貼ることができる電子付箋)を用いたWeb検索支援システム(以下,本システム)を開発した。本報ではその機能を紹介し,情報検索と再利用,共有の効果について評価した。

 

研究内容
 本システムは,以下のような特長を有する。
(1) Web上の任意の位置にアノテーションを貼ることができ(図1),貼ったアノテーションをユーザ毎の特別なWebで階層構造に分類・整理できる(以下,このWebをアノテーション・ウィンドウ:図2)。
(2) アノテーション・ウィンドウから元のWebのアノテーションの位置に直接ジャンプすることができ,逆方向のジャンプも可能である。
(3) 保存したWebアノテーションとアノテーション・ウィンドウをユーザ間で共有することができ,ユーザのグループ設定ができる。
 上記のような特長により,まずユーザ毎に従来のブラウザのブックマーク機能に代えて本システムを利用することができる。さらに,多数ユーザで共有したアノテーションを検索することにより,最終的には必要なWebを参照できるので,最近ブックマーク共有サービスが第2の検索エンジンとして利用され始めていることと同様に,従来の検索エンジンに代えて本システムを利用することもできる。以下、その評価実験を実施した。

(図1 Webアノテーションの例)
(図2 アノテーション ・ウィンドウの例 )

 

研究成果
 被験者に検索課題を提示して,ブラウザと検索エンジンを用いた場合と本システムを用いた場合の比較実験を行ったところ,以下が分かった。
(1) 個別ユーザが作成するブックマーク数とアノテーション数に有意な差はない。
(2) 個別ユーザが過去に保存したブックマークとアノテーションをユーザ自身が再利用する場合,本システムにより元のWebを探し出す時間は20.4%短縮された。これは,アノテーション検索機能の充実による効果と推測される。
(3) 検索エンジンと本システムの共有アノテーション検索機能との比較では,検索時間は本システムの方が47.4%短縮された。これは,本システムの方が検索の適合度が高く,無関係なアノテーションが検索されることが少ないためと推測される。

 

論文投稿
 Proceedings of The 8th Asia Pacific Industrial Engineering & Management System 2007, T2-R06, p.127-131.