平成11年度研究報告 VOL.49
国際環境規格(ISO14001)の認証取得
平成10年度 国際環境規格(ISO14001)取得ワーキンググループ
製品科学部 奧野孝 漢野救泰 繊維部 沢野井康成
管理部 竹中忠良   化学食品部 道畠俊英
機械電子部 坂谷勝明      
平成11年度 国際環境規格(ISO14001)取得ワーキンググループ/環境管理事務局(平成11年10月以降)
製品科学部 奥野孝 漢野救泰 機械電子部 西村芳典
管理部 竹中忠良   繊維部 沢野井康成
情報指導部 坂谷勝明   化学食品部 北川賀津一

 工業試験場では,「私たちは次の世代へ美しい地球環境を送り届けます」をスローガンに,平成11年5月に環境方針,環境管理マニュアル,規定類を作成し,下記項目を重点課題として環境保全活動を行い,平成12年2月23日に国際環境規格ISO14001の認証を取得した。本報告では,取得経過と実施内容について紹介する。
(1) クリーンなエネルギーである太陽光発電システムの活用を図ると共に,省エネルギーを推進する。
(2) 資源の有効活用を図るため廃棄物の分別収集やコピー用紙の使用量の削減,さらに,リサイクルに関する技術開発,研究を積極的に実施する。さらに,認証取得で得たノウハウを活用し,随時企業の認証取得支援を行う。また,企業の方々と環境マネジメントシステム研究会を開催する。
(3) 事業活動で発生する産業廃棄物,特別管理産業廃棄物の管理を徹底すると共に削減する。
キーワード:国際標準化機構,ISO14001,環境マネジメントシステム,環境方針

The Authentication Acquisition of International Standard for Environmental Management System (ISO14001)

An international environment standard (ISO14001) acquisition working group
1998A.D. Takashi OKUNO , Tadayoshi TAKENAKA , Katsuaki SAKAYA ,Yasunari SAWANOI ,
Yasunari SAWANOI , Sukeyasu KANNO and Toshihide MICHIHATA
1999A.D. Takashi OKUNO , Tadayoshi TAKENAKA , Katsuaki SAKAYA , Yoshinori NISHIMURA ,
Yasunari SAWANOI , Sukeyasu KANNO and Kaduichi KITAGAWA

 The IRII made an environmental policy , an environmental management manual and a regulation in 1999.We acquired the authentication of the international standard for environmental management system ISO14001 on February 23 , 2000 due to the following activities. In this paper , the acquisition progress and the contents of execution are explained.
(1) We make use of the photovoltanic power generating system and promote energy saving. (2) We collect the classified refuse and reduce the amount of paper for copy to make the effective use of the resources. And we carry out the development of technology about recycling and the environmental research. We are committed to the cause and use the know-how which got the authentication , and we support the enterprise. We regularly hold the meeting to evaluate the studies on environmental management system . (3) We reduce industrial wastes , specially controlled industrial wastes.
Key Words:International Organization for Standarization, ISO14001, Environmental management system, Emvionmental Policy


1.緒  言
 県では,自然と人との共生を図り豊かな社会の構築を目指しており,当場でも,業務のあらゆる面で地球環境に配慮して行動することを基本理念とする「国際環境規格 (ISO14001)」の取得に取り組むこととした。さらに,これから取得を目指す県内中小企業に対し,工業試験場がISO14001の取得で蓄積したノウハウを活用して,支援も実施することとした。この認証取得経過と実施内容の幾つかを紹介する。


2.認証取得計画
 ISO14001の認証取得は2年計画として,予算要求した。認証取得のために,年度初めに場長を班長とする7名で国際環境規格(ISO14001)取得ワーキンググループを編成し,作業を進めた。
 1年目はISO14001の要求事項の把握や研修受講,規格要求事項と工業試験場の業務との関連づけ,環境側面の調査,マニュアルや規定類の作成,法律の調査及び環境マネジメントシステム研究会を開催した。2年目は運用,内部監査,見直しを行い審査を受け,2月末に認証を取得する計画を立てた。図1に作業手順と実績を示す。
図1 国際環境規格(ISO14001)認証取得に向けた作業手順と実績


3.環境マネジメントシステムの要求事項
図2 環境マネジメントシステムモデル
 この規格は,組織の環境マネジメントシステムの審査登録及び自己宣言のための要求事項を規定するシステムの仕様で,一般要求事項を除いて,17の要求事項で構成されている。これらの要求事項は,環境方針,計画,実施及び運用,点検及び是正処置,経営層による見直しに分け,図2のPDCA(Plan,Do,Check,Act)のサイクルを取り入れている。このサイクルに従って,当場の活動状況を説明する。

3.1 組 織
 環境マネジメントシステムを効果的に進めるために,環境管理責任者の下に環境管理委員会を設置すると共に事務局も設置し,下記のような組織を編成した。

3.2 環境方針
 環境方針は,場長が制定し,当場の事業活動による著しい環境側面,システムの継続的改善と汚染の予防,関連する法規制遵守の約束,環境目的及び目標の設定,見直しの枠組みを与えるもので,全職員に周知すると共に来場者や一般の人々に公開している。下記に当場の環境方針を示す。

図3 環境マネジメントシステムの運用組織 図4 環境影響評価の適用範囲
3.3 計 画
3.3.1 環境側面
 工業試験場は,県内産業支援のための指導相談・依頼試験・研究事業活動(図4)に関連する過去,現在及び今後計画するであろう事業の通常の実施状況や緊急事態等も考慮した環境側面の抽出,環境影響の評価を行い,著しい環境側面を管理対象として特定した(表1,2,3)。環境影響評価は、「環境影響評価表」を作成して行った。評価のための判断基準は、量・発生の可能性・影響の重大性を可能な限り定量評価するようにした。環境側面の継続的な見直しは年1回,更に見直しの必要が生じた時には,随時行い,環境側面を最新のものとしている。
 当場では,電力,重油,プロパンガス,コピー用紙は一括管理しており,各部での使用量を把握できない。
 特に,コピー用紙は全場一括購入でコピー室の棚に保管している。コピー機の紙がなくなれば棚から出して使用しており,プリンタに使う場合も,必要な職員が保管棚から自由に各部に持っていけるため,各部毎の使用量を出していない。そのため購入量とコピー機
のカウントにより,各部の使用量を案分,さらに各月の使用量も案分せざるを得なかった。
表1 環境影響評価(定常時)の結果
環境側面 環境影響
指導,依頼試験,研究業務及び空調等に年間143万kWhの電力,142kLのA重油及び290m3のプロパンガスを使用している。 地球温暖
化,資源
枯渇
依頼試験,研究業務で産業廃棄物を年間24t排出している。また,排水処理施設,依頼試験等から特別管理産業廃棄物が年間100kg排出される。 廃棄物処
分能力圧
指導,依頼試験,研究業務等でA4換算で年間74万枚ものコピー用紙を使用している。 熱帯雨林
依頼試験,研究業務等で特別管理産業廃棄物に相当する濃厚廃液が年間900L排出され、一時保管している。 土質汚濁
土壌汚染
依頼試験,研究業務等で多種類の毒物、劇物を購入,使用している。 水質汚染
化学物質
表2 環境影響評価(緊急時)の結果
環境側面 環境影響
依頼試験,研究等で排出される濃厚系廃液を1年間貯蔵し、一括処理するため,地震や火災発生時に貯蔵液の流出や引火の可能性がある。 水質汚濁
大気汚染
地震や火災発生時に,一時保管する汚泥,燃え殻,廃油等が流出する。 水質汚濁
土壌汚染
地震発生時に、保管中の毒物・劇物等の薬品容器が破損し、内容物が流出する。 水質汚濁
大気汚染
土壌汚染
表3 環境影響評価(間接影響)の結果
環境側面 環境影響
リサイクルや太陽光発電システム等の環境関連研究,成果の企業への技術移転や指導・相談により,環境負荷の軽減や廃棄物のリサイクル化が図られる。具体的な研究,指導テーマについては別紙に記す。(有益な環境影響) 地球温暖
化,資源
枯渇,廃
棄物処分
能力
廃棄物処理を委託する廃棄物処理業者(A社)の搬送及び処理。 地下水汚
染・土壌
汚染
事務用品調達で指定業者から発注時に入札で環境を考慮しない取引業者を選択する可能性がある。 熱帯雨林
廃棄物処
分能力


環   境   方   針

■基本理念
豊かな自然,文化環境を大切に育みながら,地域社会・経済の持続的発展の実現に努力してきた県民の意向を踏まえ,石川県工業試験場は,未来への歴史的責任として,環境負担の少ない社会の実現にむけ,業務のあらゆる面で地球環境を考慮し,積極的に行動するとともに,県内産業の環境保全活動を支援する。
■スローガン
 私たちは,次の世代へ美しい地球環境を送り届けます
■環境方針
 石川県工業試験場は,石川県の産業支援のための研究・依頼試験・指導相談等の事業活動を踏まえ,省エネルギー,省資源,廃棄物の削減,リサイクル技術の開発等を図り,以下に示す事業により環境保全活動を推進する。
1 事業活動の環境に与える影響を的確に捉え,環境保全を配慮して業務を推進する。
2 環境保全のための環境マネジメントシステムの継続的な改善及び汚染の予防に努める。
3 環境関連の法規,条例及び同意するその他の要求事項を遵守する。
4 環境保全活動の推進にあたり,下記項目を重点課題として,環境目的及び目標を設定すると共に,定期的に見直しを行う。
(1) クリーンなエネルギーである太陽光発電システムの活用を図ると共に,省エネルギーを推進する。
(2) 資源の有効活用を図るため廃棄物の分別収集やコピー用紙の使用量の削減,さらに,リサイクルに関する技術開発,研究指導を積極的に実施する。
(3) 事業活動で発生する産業廃棄物,特別管理産業廃棄物の管理を徹底すると共に削減する。
5 環境マネジメントシステムを構築,文書化し,全職員に周知徹底を図る。
6 この環境方針は,来場者や一般の人々に公開する。特に,見学者に対しては工業試験場の事業内容と共に環境方針について説明する。

3.3.2 法的要求事項
 環境に関しては公害(大気汚染,水質汚濁,土壌汚染,騒音,振動,地盤沈下,悪臭)対策は当然であり,毒物・劇物の管理,省エネルギー,廃棄物の処理,さらに電波法についても確認する必要があった。この中でも特に電波法は,試験分析機器,製造機器などの高周波利用設備に関係する分かりにくい法律であり,設備を導入する場合に,郵政省の管轄である北陸電気通信管理局ではなく,メーカーや販売店に確認する必要があった。
 当場の事業活動に関連する法律の概要を表4に示す。


表4 法規概要登録表
法律・条例 概要
(1)届出の義務,(2)測定の義務,(3)報告の義務,(4)資格者が必要か,(5)対象施設等
(1)大気汚染防止法 (1)特定施設の届出,(2)測定・記録の義務(排水基準遵守義務),(3)義務なし,(4)必要なし,(5)ボイラ
(2)水質汚濁防止法 (1)特定施設の届出,(2)測定・記録の義務(排水基準遵守義務),(3)義務なし,(4)必要なし,(5)実験廃水処理施設
(3)−1騒音規制法 (1)特定施設の届出,(2)測定の義務なし(規制基準遵守義務有り),(3)義務なし,(4)必要なし,(5)空気圧縮機・送風機(7.5kw以上),織機,穀物用製粉機,かんな盤
(3)−2金沢市環境保全条例(騒音) (1)〜(4)同上,(5)空気圧縮機・送風機(3.75kw以上),冷凍冷蔵用ガス圧縮機,空調用ガス圧縮機,破砕機,紡糸機,撚糸機
(4)振動規制法 (1)特定施設の届出,(2)測定の義務なし(規制基準遵守義務有り),(3)義務なし,(4)必要なし,(5)圧縮機(7.5kw以上),織機
(5)廃棄物処理及び清掃に関する法律 (1)義務有り(特別管理産業廃棄物管理責任者の選任(変更)と届出,(2)特別管理産業廃棄物の確認(金属等の検定必要,(3)義務あり(産業廃棄物管理票(マニフェスト)交付等状況報告書,特別管理産業廃棄物処理実績報告書,PCB保管状況報告),(4)必要あり(特別管理産業廃棄物管理責任者),(5)実験廃水処理施設,地下産業廃棄物保管室
(6)下水道法 (1)下水の量,水質及び使用開始時期。特定施設,構造の変更時,(2)水質の測定,(3)義務なし,(4)必要なし,(5)生活系排水調整槽
(7)消防法 (1)義務あり(貯蔵・取り扱い施設の届出,危険物保安監督者の選任と届出),(2)義務なし,(3)義務なし,(4)必要(危険物保安監督者),(5)地下タンク貯蔵所
(8)高圧ガス保安法 (1)高圧ガス貯蔵施設の届出と管理(LPG),(2)義務なし,(3)義務なし,(4)必要なし,(5)ガスボンベ保管庫,食品加工実験棟
(9)電波法 (1)義務あり(高周波利用設備),(2)義務なし,(3)義務なし,(4)必要なし,(5)炭素硫黄分析装置,ICP発光分光分析装置,マイクロウエーブ試料分解装置
(10)エネルギーの使用の合理化に関する法律 (1)燃料または電気の使用量削減の努力義務,(2)義務なし,(3)義務なし,(4)必要なし,(5)対象設備なし
(11)新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法 (1)新エネルギー使用の努力義務,(2)義務なし,(3)義務なし,(4)必要なし,(5)太陽光発電システム(200kw)
(12)毒物及び劇物取締法 (1)毒劇物の保管管理や飛散,漏れ,流れ出,しみ出し等の防止の努力義務,(2)測定の義務なし,(3)義務なし,(4)必要なし,(5)対象設備なし

表5 目的及び目標
No. 課題 目的(2001年度削減比率) 目標(2000年度削減比率)
省エネルギーの推進
電気'98年度143万kWh
重油'98年度142kL
電気使用量-4%(1998年度比)
重油使用量-2%(1998年度比)
電気使用量-3.0%(1998年度比)
重油使用量-1.5%(1998年度比)
廃棄物の分別収集
産業廃棄物'98年度24t
廃棄量-5%(1998年度比)
コピー用紙のリサイクル推進
廃棄量-4.0%(1998年度比)
コピー用紙のリサイクル実施
コピー用紙の使用量削減
A4換算'98年度74万枚
使用量-30%(1998年度比) 使用量-25%(1998年度比)
リサイクルや太陽光発電システム等に関する研究,指導を推進
リサイクル・環境関連研究数'98年度8件
リサイクルや太陽光発電システム等の環境関連研究を毎年7テーマ以上,指導を3テーマ以上実施する リサイクルや太陽光発電システム等の環境関連研究を毎年7テーマ以上,指導を3テーマ以上実施する
特別管理産業廃棄物の管理徹底
特別管理産業廃棄物
'98年度 100kg
一時保管する特別管理産業廃棄物の管理徹底
特別管理産業廃棄物処分の適正化
一時保管する特別管理産業廃棄物置き場の表示
特別管理産業廃棄物の保管,廃棄の適正化
毒劇物の管理徹底
毒劇物量'98年度 110L110kg
毒劇物の保管庫を整備し,管理体制を充実する。 毒劇物の使用,保管,廃棄を徹底する。
3.3.3 目的・目標及び環境マネジメントプログラム
 環境目的は,著しい環境側面を基に場長が策定した環境方針から全場(表5)と各部のものを作成した。
作成時には方針と目的の適合性を確認した。次に目的から目標,さらに,責任と権限,目的及び目標を達成する手段とスケジュールを入れたプログラムを作成した(表6,7)。全場及び各部の環境マネジメントプログラム進捗状況確認表(表6)の作成時には,目標とする年度の各部,各月の電力,A重油,コピー用紙の使用量等の記録が必要であるが,全場のデータしかなく,各部のデータを取りながら比例配分して各部の基礎データとした。更に,達成率の確認の間隔が重要である。つまり不適合が発生した場合に年度内に目標を達成できるように修正を加えられる確認の間隔が必要であるため,12月までは,不適合が2ヶ月連続した場合に対策を講じればよいが,1月以降は1ヶ月でも不適合が発生したら直ちに対策を施せるようにした。


表6 全場の環境マネジメントプログラムの概要
課題 取組部署 責任者
省エネルギーの推進 全場 技術次長
1999年度
2000年度
2001年度
昼休みの消灯,OA機器節電
残業の削減,窓際の照明減灯
省エネタイプ設備導入を検討
廃棄物の分別収集 全場 技術次長
1999年度
2000年度
2001年度
古紙,金属等の分別収集
一般可燃物の計量
基準見直し,試薬びんリサイクル
コピー用紙の使用量削減 全場 技術次長
1999年度
2000年度
2001年度
電子決済活用,両面コピー
両面コピー化率(30%)
両面コピー化率(35%)
環境関連の研究,指導を推進 全場 技術次長
1999年度
2000年度
2001年度
研究7テーマ,指導3テーマ

特別管理産業廃棄物の管理徹底 全場 技術次長
1999年度
2000年度
2001年度
廃棄物保管容器の充実
保管場所の設置
保管管理システムの検討
毒劇物の管理徹底 全場 技術次長
1999年度
2000年度
2001年度
薬品保管庫の整備,在庫管理
緊急対策用品の充実
管理システムの整備

表7 全場環境マネジメントプログラム
環境目的1:電力及び重油(ボイラ)の使用量を2001年度までに1998年度実績(143万kwh/年,142kL/年)を基準として,それぞれ2%(2.86万kwh,2.84kL)削減する。
(責任者:技術次長) ▽:確認時期
目標 手段 担当部





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2000 2001 備考
1999年度に,
電力と重油
の使用量を
それぞれ0.5
%(7150kWh,
0.71kL)削減
する
昼休みの消灯(85%) 各部              
OA機器節電(85%) 各部              
冷暖房時の温度調整(85%) 各部              
冷暖房時の整理整頓,ドア・窓閉(85%) 各部              
冷暖房期間中の退庁時ブラインド降ろし(85%) 各部                              
電気使用量の評価 事務局              
重油使用量の評価 事務局              
2000年度 残業の削減、窓際の照明(蛍光灯)の減灯 各部                                  
2001年度 省エネ設備の導入検討 各部                                  

表8 全場環境マネジメントプログラム進捗状況確認表
環境目的1:電力及び重油(ボイラ)の使用量を2001年度までに1998年度実績(143万kwh/年,142/年)を基準として,それぞれ2%(2.86万kwh,2.84kL)削減する。
(責任者:技術次長)
目標 手段 確認事項





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12



1999年度に,
電力と重油の
使用量をそれ
ぞれ0.5%(71
50kWh,0.71
kL)削減する。
昼休みの消灯 85%達成されているか
達成:○,未達成:×
      94.7%
95.2%
95.5%
95.1%
95.1%
94.9%
95.4%
95.6%
95.9%
OA機器節電 85%達成されているか
達成:○,未達成:×
      91.4%
91.8%
91.6%
92.5%
93.1%
92.8%
92.6%
92.8%
92.9%
冷暖房時の温度調整 85%達成されているか
達成:○,未達成:×
      97.4%
96.2%
97.0%
97.3%
97.4%
97.6%
98.0%
98.0%
98.1%
冷暖房時の整理整頓,ドア・窓閉 85%達成されているか
達成:○,未達成:×
     

97.8%

98.0%
98.3%
98.5%
98.5%
98.6%
98.8%
98.9%
99.0%
冷暖房期間中の退庁時ブラインド降ろし 85%達成されているか
達成:○,未達成:×
      98.5%
98.8%
99.1%
           
電気使用量の評価 0.5%削減されているか
達成:○,未達成:×
5.4%
-
-2.2%
-
-3.0%
-
-6.4%
-5.3%
-2.9%
-4.4%
-5.3%
-4.2%
-4.0%
-3.5%
-3.9%
重油使用量の評価 0.5%削減されているか
達成:○,未達成:×
64.3%
-
29.7%
-
13.6%
-
-7.1%
-3.1%
-0.3%
×
-3.3%
-7.5%
-3.6%
-3.1%
-0.8%
-1.5%
承認(環境管理責任者)                        
コメント(環境管理責任者)
不適合の判断基準
1月以降の未達成,12月以前では2ヶ月連続未達成の場合に,是非を実施する。
                       

3.4 実施及び運用
 この項目には,(1)体制及び責任,(2)訓練,自覚及び能力,(3)コミュニケーション(情報伝達),(4)環境マネジメントシステム文書,(5)文書管理,(6)運用管理,(7)緊急事態への準備及び対応,の要求事項があるが,
ここでは,(2),(4),(6),(7)について述べる。


表9 環境マネジメントシステム文書体系
3.4.1 訓練,自覚及び能力
 年間教育計画は,場長の環境方針に従い全場的観点や各部門からのニーズを踏まえ,新採職員,一般職員,著しい環境影響を及ぼす作業(毒劇物等取扱い,特別管理産業廃棄物排出,危険物薬品使用等)に従事する職員,法規制に係わる業務,特殊な能力が必要な業務に従事する職員及び管理者,業務委託従事者,内部監査員毎に行った。
 一般教育の例として,当場の全職員にISO14001の内容を周知させるため,事務局員が一口メモを作り,当場で運営している電子決裁システムを用いて,1999年(平成11年)6月から8月にかけて43回,全職員に回覧した。事務局員の意気込みが過ぎて,内容が難しく長くなったので,内容は少なく簡単にする方が回覧を見る職員も気楽に開くことができ,効果的だった。
 特殊業務研修では,当場の専門職員が,騒音・振動,産業廃棄物の処理等についての特殊業務担当者を集め,研修を行った。

3.4.2 環境マネジメントシステム文書
 環境マネジメントシステム文書とは,表9に示す第1レベルの文書である「環境管理マニュアル」で,それを補足する文書が第2レベル文書の「規定」,「基準」でその体系を表9の下部に示す。

3.4.3 運用管理
 環境方針,目的及び目標に対する著しい環境側面に関連する運用及び活動を明確にし,大気汚染防止ではボイラーの排気,水質汚濁防止では実験廃水処理施設について法律の規制値より厳しい自主規制値を設け,管理を徹底した。廃棄物及び化学物質の管理でも定常時及び緊急時の対応を徹底した。省エネ・省資源では,昼時間の消灯,不用なOA機器の節電,冷暖房の温度管理及びコピー用紙の使用量の削減を図った。また,当場の特色である研究・指導に関してもリサイクル等の環境関連研究を年7テーマ,太陽光発電システムの普及等の指導を3テーマ以上を実施するように目的を設定した。さらに,供給者及び委託業務請負者に関連手順及び要求事項を伝達した。
図5 燃料受入作業
 
図6 ガス漏れ事故
3.4.4 緊急事態への準備及び対応
 事故及び緊急事態の可能性とそれに関連する環境影響評価を実施し,この結果に基づき,緊急事態への準備と対応が必要な業務を明確にし,その業務について環境影響を防止,軽減するための手順を定めた。緊急事態として,「燃料受入作業」,「毒物・劇物の取扱」等の対策を講じ,訓練する必要があるため,対策用品を揃え,全場及び各部で訓練を行った。その結果に問題点がないか確認すると共に写真を撮り(図5,6),記録に残した。

3.5 点検及び是正処置
3.5.1 監視,是正及び記録
 著しい環境側面に関する運用管理の状況監視や目的・目標の達成度や進捗度を定期的に監視し,測定した。また,校正が必要な普通騒音計と振動レベル計は,委託で定期的に校正した。
 目的・目標の各項目について進捗度を確認し,未達成の場合は,対策を実施した。環境方針,目的,目標,環境マネジメントプログラムで決めた計画値に達しないことが2ヶ月継続した場合(4月から12月までとし,1月以降は除く)には不適合と判断して,原因を調査し,不適合により発生する環境影響をできるだけ小さくするために是正処置や予防処置を実施した。この環境マネジメント活動の全ての記録を識別(名称,管理番号,保管期間等)できるように保管管理している。

3.5.2 環境マネジメントシステム監査(内部環境監査)
 環境マネジメントシステムが,ISO14001の要求事項に適合しているか,各種の活動が計画されたとおり実行されているかどうかを監査するため,内部監査を実施した。
 内部環境監査員は,1999年(平成11年)2月23日〜24日の2日間の研修受講で認定書を授与され,職員17名が当場の資格認定者に登録された。その認定者から,主任内部環境監査員1名,内部環境監査員9名が,場長に任命された。
 監査は,環境マネジメントシステム全体を対象として,部単位で,年2回とし,定期的に実施した。1999年度(平成11年度)は,11月25日と1月17日に実施した。
 この監査内容で,環境マネジメントプログラム及び進捗状況表の整備,廃液置き場・タンクの表示や薬品の管理等に重欠点や中欠点の不適合が報告された。
 そのため,該当部門では,直ちに対策を講じ,是正した。

3.6 場長による見直し
 場長は,(1)目的・目標の達成状況では,各部のプログラムと進捗管理の見直し,(2)重要環境問題の対策と改善状況では,濃厚廃液の一時保管と保管施設・場所の改善及び委託業者への教育・改善の実施,(3)環境マネジメントシステムの継続的改善の適切性では,内部監査のマニュアル及び規定の是正,(4)環境監査による指摘事項の是正状況では,薬品庫を整備し,管理手順の明確化を図る,(5)環境方針,目的・目標,その他要素の見直しの必要性では,当場の研究事業や指導事業等の業務登録の見直し,などを行った。


4.企業支援
 工業試験場の取得ノウハウを活用して,県内企業の認証取得を支援するため,個々の企業の電話による相談,企業での指導(緊急指導),さらに環境マネジメントシステム研究会の開催等を行った。
 この研究会は,国際環境規格取得を目指す中小企業による研究会で,取得と活用に関する情報提供・交換を行った。
 1998年度(平成10年度)は,事務局と企業の担当者が共にISO14001の要求事項の内容を把握すること目的として研究会を開催した。まず,内容を把握するため1回から3回にわたって,「環境方針」(県内で国際環境規格を取得した企業の環境方針を取り寄せ,ISO14001の環境方針の要求事項を確認し,理解した。),「計画」(会員である県内のコンサルタント会社に解説をお願いした。),「実施と運用」についての勉強会を開催した。4回と5回は認証を取得した食品と建機関係の企業を訪問し,取得の経緯と取得後の活動状況の説明を受けた。6回,7回はISO14001関連ソフトについて説明を受けた。
 1999年度(平成11年度)は,認証取得のあわただしい中,4回シリーズで技術アドバイザーの方に講師をお願いして ISO14001の基礎と指導事例による研究会を開催した。この時から,工業試験場のホームページに会員募集を掲載したため,コンサルタント企業を含め会員が48社になった。今後はグループ分けをして,研究会を実りあるものにしていきたい。


5.結  言
 1998年度(平成10年度)よりISO14001認証取得の活動を進め,1999年(平成11年)12月に初動審査,2000年(平成12年)2月に本審査を受け,2月23日に国際環境規格ISO14001の認証を取得できた。この認証取得で得たノウハウを活用し,企業の認証取得支援を行うと共に環境マネジメントシステム研究会を継続していきたい。
 さらに,ISO14001の継続的な改善を図るため,下記内容を推進する。
(1) 工業試験場が国際環境規格ISO14001の取得ノウハウを活用した県内中小企業の取得支援。
(2) 環境関連の研究を7テーマ以上,指導を3テーマ以上実施。
(3) 太陽光発電システム(200kW)の活用と共に,エネルギー使用量の削減。
(4) 資源の有効活用を図るため,廃棄物の分別収集やコピー用紙の使用量の削減。
(5) 産業廃棄物と特別管理産業廃棄物の管理徹底と削減。
(6) 依頼試験や研究等で用いる毒物・劇物の管理徹底。




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