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Improvement on Surface Properties of Artificial Marble Masato KASAMORI, Haruyuki YASUI and Kaoru AWAZU |
Artificial marble have been used for the bathtub,
the wash-basin, the counter at the kitchen and so on by its excellent quality.
Furthermore, to expand the using range of artificial marble, various inorganic
materials were added in the surface layer of artificial marble for the improvement
in hardness and the heat resistance. As a result, with the addition of the glass
beads and the glass flakes, the luster of artificial marble rose but little change
of the color occurred. In the hardness, the barcol hardness and the microvickers
hardness improved with the addition of the glass beads, however the pencil hardness
for the resin layer which exists in the surface didn't improve. In the heat resistance
examination by the cigarette, there was an affect in heat resistance improvement,
by adding minute glass beads. Key Words:artificial marble, surface, hardness, heat resistance |
表面層であるゲルコートの性状を変化させるために添加した無機材はガラスビーズ3種類,ガラスフレーク3種類,合成マイカパールおよび蛍光顔料3種類の計10種類である。表1にこれらの粒径と略号を示す。試料は表面層のゲルコート樹脂だけのもの,およびガラスビーズ(GB)を5〜50wt%,蛍光塗料3種類を2wt%,フレーク状の合成パールマイカを2wt%添加したゲルコート樹脂を厚さ約3mmに注形成形したものをゲルコート試料とした。このゲルコートに用いた樹脂の仕様を表2に示す。また,ゲルコートに表1の各種無機 材を5wt%添加して注形(厚さ0.4mm)した後に,コンパウンドを約10mmの厚さで注形して作成したものを人造大理石試料とした。この人造大理石試料の仕様を表3に示す。この人造大理石も無機材料無添加の試料を比較のために作成した。 |
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表2 ゲルコート樹脂の仕様
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表3 人造大理石の仕様
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上図でゲルコート試料と人造大理石試料を比較するとゲルコート試料の方が光沢度は減少している。これは蛍光塗料を添加した場合も同様であり,人造大理石試料ではコンパウンド層が光沢度の上昇に大きく寄与していることが分かる。ガラスビーズの添加量による変化をみると,ゲルコート試料では添加量が増加するに従い減少しているが,人造大理石試料では添加量10wt%までは上昇し,それ以降は減少傾向にある。また,ガラスビーズを樹脂との接着性を上げるために表面処理すると,光沢度の上昇は少なく,20wt%も添加すると逆に低下している。これは表面処理剤がガラスビーズを覆っているために,ガラスビーズでの光の反射率が低下するものと考えられる。 添加材の種類による影響は,何れの添加材によっても光沢度は上昇するが,ガラスビーズでもガラスフレークでも粒径が小さいほど上昇している。また,蛍光塗料の添加では赤色,青色,黄色の順で上昇するが,見た目にも赤色が最も着色として目立つことから,光の吸収と関連していると考えられる。合成マイカパールを添加すると,人造大理石試料,ゲルコート試料とも光沢度は上昇し,人造大理石試料の場合は60度鏡面光沢は測定できないほど上昇している。これは,この合成パールマイカにはパール調にするために合成マイカに酸化チタンのコーティングがされており,光沢度が著しく上昇したものであり,下層のコンパウンド層の影響を受けなくなったものである。そこで,光の入射角を20度として鏡面光沢を測定したところ,合成マイカパールの光沢度は,ガラスビーズおよびガラスフレークの粒径が小さいものを添加した試料と同程度の上昇であり,その他の試料では低下した。光の入射角度が小さくなると,添加材が小さいほど光沢度は上昇するが,表面コーティングの種類による影響は減少するものと思われる。 色差の変化を図2に示す。上図に示すようにゲルコート試料ではガラスビーズの添加量に従い色差は大きく変化しているが,人造大理石にすると20wt%添加しても色差は3程度と小さく,肉眼では色の変化は目立たないものとなっている。また,表面処理があると明度L*と色度a*は少し異なるが色差はさほど変化していない。蛍光塗料を添加したゲルコート試料は,蛍光塗料の色が現れ,特に赤色が顕著であったが,光に晒した後では充分に蛍光を発した。 さらに,添加材の種類が異なっても下図に示すように合成マイカパールを添加した試料のみがそれ自身の色を出すために大きく変化するものの,それ以外は色差の変化は小さいものであり,添加剤を入れても色の変化は目に付き難いことが分かった。そのために蛍光顔料の添加による効果も少なく,表面のゲルコート層のみへの添加では蛍光性はほとんど確認できなかった。蛍光性を持たすには,ゲルコート層よりもコンパウンド層に添加する必要があると考えられる。合成マイカパールの場合は少ない添加量で色が大きく変わり,下層の素材や色の遮蔽効果が期待でき,リサイクル材の応用が検討できる。 |
バーコル硬さと同じく圧子を押し込むマイクロビッカース硬さの結果を図4に示す。ガラスビーズの添加により,ゲルコート試料は硬さの向上が見られ,人造大理石試料では僅かながら向上し,20wt%添加ではバラツキが大きいものの平均すると硬さは向上している。また,添加材の種類ではガラスビーズは硬さは向上するものの,他の添加材では反対に低下してしまった。これは,マイクロビッカース硬さの場合にはバーコル硬さに比べて加圧する力の設定が小さく,圧子のゲルコート内部への浸入が少なくなり,極表面の樹脂層の硬さを計測したものと考えられる。しかし,樹脂そのものの硬さより低下したことについては,今後さらに検討する必要がある。なお,合成マイカパールの場合は,人造大理石試料では硬さを測定できなかった。しかし,ゲルコート試料では添加量が2wt%と少なくても,ゲルコート樹脂単体の場合の約3倍に向上した。このため人造大理石試料でも加重を大きくしたが,光沢が強すぎるためか,今回は硬さを求めることができなかった。 表面を引っ掻いて硬さを評価する鉛筆引っ掻き硬さの結果を図5に示す。ゲルコート試料,人造大理石試料ともガラスビーズの添加量によって硬さは向上するが,5wt%の添加による種類の差異は殆どなく,僅かに合成パールマイカの硬さが1ランク向上しているだけである。しかし,ゲルコート試料の場合は合成パールマイカを添加しても硬さの向上はみられなかった。これもマイクロビッカース硬さの場合と同じくゲルコートの極表面を覆っている樹脂に傷が付くためと考えられる。表面の耐擦過性を向上させるには樹脂そのものの硬さを上げる必要がある。または,表面の樹脂層を研磨して取り除き,無機材料を表面に出すことが考えられる。しかし,この場合は耐水性が低下することを考慮する必要がある。 鉛筆引っ掻き硬さと評価方法が似ているダイヤモンドチップによるスクラッチ試験を人造大理石試料で行った。その中で,最も変化が大きく現れたガラスフレークの結果を図6に示す。ガラスフレークの粒径の増大に従い抵抗力の振幅は大きくなり,AEの強度も大きくなっている。各種添加材を入れた人造大理石試料はいずれも負荷加重に対する抵抗力の変化の傾向は全体を通じてこのガラスフレークとほぼ等しく,粒径が小さいために抵抗力やAE強度はより変化の少ないものとなった。これは,いずれの試料においても,ほぼ同じ負荷加重でコンパウンド層までダイヤモンドチップが達してためであり,負荷加重の変化が大き過ぎたためではないかと考えられる。 上述のスクラッチ試験のダイヤモンドチップを直径6mmの鋼球(SUS440C)とナイロン球に換えて摩擦試験を行った。ガラスフレークの粒径の大きい添加材を入れた人造大理石試料の結果を図7に示す。鋼球,ナイロン球とも初期の動的摩擦係数の振幅は大きいものの,加重が増加するに連れて摩擦係数は小さくなる傾向にあるが,鋼球はナイロン球に比べて動的摩擦係数の変化が大きく,その平均値も大きくなっている。この傾向はいずれの人造大理石試料においても同様であった。今回は2種類の球で試験を行ったが,球の種類を増やせば製品評価に必要な表面性状の評価が可能になる。 |
添加材の種類ではガラスビーズ,ガラスフレークおよび蛍光塗料は無添加よりも改善されるものの変化はあり,蛍光塗料による改善度合いはガラスよりも小さい。合成マイカパールでは着色が無添加よりも目立ている。これは合成マイカパールの光沢が大きく,より樹脂の着色が目立つものと思われる。 |
1) | 小柳卓治,強化プラスチック,Vol.41,p.181(1995) |
2) | 奥野利文,藤岡康成,岡村秀志,大河内芳則,39th FRP CON-EX'94講演要旨集,p.6(1994) |
3) | 村井裕之,村瀬吉彦,39th FRP CON-EX'94講演要旨集,p22(1994) |
4) | 越久村博之,山田晃男,石川雅人,39th FRP CON-EX'94講演要旨集,p.27(1994) |
5) | 中川好正,氏川典久,39th FRP CON-EX'94講演要旨集,p31(1994) |
6) | 土井勝広,神崎満幸,40th FRP CON-EX'95講演要旨集,A-3(1995) |
7) | 郷豊,泉弘文,40th FRP CON-EX'95講演要旨集, A-4(1995) |
8) | 森多憲一,秋山浩一,三牧博昭,福田宜弘,40th FRPCON-EX'95講演要旨集, A-16(1995) |
9) | 森井亨,幾田信生,41st FRP CON-EX'96講演要旨集,A-13(1996) |
10) | 笠森正人,粟津薫,坂本誠,舟田義則,石川県工業試験場研究報告,Vol.45,p.85(1996) |
11) | 笠森正人,舟田義則,粟津薫,石川県工業試験場研究報告,Vol.46,p.41(1997) |
12) | JIS Z8741 |
13) | JIS Z8722 |
14) | JIS K7060 |
15) | JIS K5400 |
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