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Development of Biodegradable Resins Derived from Chitosan Osamu YOSHIMURA, Katsuhiko YOSHIMOTO, Hiroshi SUDA and Kazumasa UEDA |
Chitosan is one of the few natural cationic polysaccarides,
and have several potentional functions such as biodegradability, antibacterial
activity and low toxicity. We have investigated to develop novel functional resins
derived from chitosan and polyvinyl alcohol(PVA). The general characteristics
of the composite films obtained by cast drying of the develped resins was also
studied. It was found that the obtained films show larger tensile strength than
the values caluculated from Chitosan and PVA individually, and that desired physical
properties on them can be controlled by changing the kinds and the amounts of
additives. Furthermore, their films are degradable in soil and seawater, their
deradation rates can be easily controlled by adjusting the additive amounts of
cross-linking agents. Key Words:chitosan, polyvinyl alcohol(PVA), resin, biodegradability, antibacterial activity |
2.3.1 土中埋込試験 50mm×50mmのフィルム(厚さ120μm)を,50℃,24時間乾燥させ,デシケーター中で放冷,秤量した試験片(M2)を,工業試験場駐車場横の空地に埋設した。埋設深さは15cmとして,1週間毎に堀出し,試験片の質量を同様に測定した(M1)。残存率は,式(1)により求めた。 2.3.2 キトサナーゼによる酵素分解促進試験 2.3.2.1 酵素(キトサナーゼ)溶液の調製 和光純薬工業叶サキトサナーゼ(Bacillus punils)に滅菌済リン酸緩衝溶液を加え,35units/mlの酵素溶液とした。 2.3.2.2 酵素分解促進試験 試験方法を図1に示す。10mm×10mmのフィルム(厚さ120μm)を50℃,24時間乾燥させ,質量を測定した(M1)。試験管に,このフィルム3枚,酵素溶液及び直径約2mmのガラスビーズ5個を入れ,シリコ栓をする。これを40℃の恒温振とう器内で振とうさせ,一定期間後に取り出し,試験後フィルムの質量を測定した(M2)。残存率は式(1)で計算したが,酵素による分解を確認するため,酵素が入っていないブランク溶液についても同様に実施した。 また,分解性を評価するため,全試験溶液の全有機炭素(TOC)も測定した。 |
![]() 図1 酵素分解促進試験方法 |
引張強度及び伸び率に及ぼすキトサン:PVA比率の影響について検討した。代表的な結果を図2に示すが,ここでは可塑剤としてグリセリン,架橋剤としてメラミン系樹脂を使用した。 可塑剤や架橋剤の種類や添加量を変化させた他の系についても同様に測定したが,いずれの場合も引張強度及び伸び率ともに比率が2:8或いは3:7のとき極大値が得られた。この極大値は,キトサン及びPVA単独の引張強度から算出した加成値より大きく,複合化の効果が認められた。このことは,キトサンとPVAの複合化によって化学構造中のアミノ基,水酸基間に生じる水素結合がフィルムのミクロ構造に重要な影響を及ぼすことを示唆している。 表1に本研究で調製したキトサン複合化フィルムの強伸度のデータ及び他の汎用プラスチックフィルムの値を示す。表1より引張強度はポリエチレン,ポリプロピレンより大きいが,伸び率は低く,ほぼポリ塩化ビニリデン(代表的な商品名;サランラップ)と同等の値を示し,力学的にも優れたフィルムであることが判った。また架橋剤,可塑剤の添加量,種類を調節することにより,簡単に強伸度を調整することが可能であることを認めた。 |
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3.2.1 土中埋込試験 図3にキトサン複合化フィルムと市販のポリエチレン,ビニロンフィルム(PVA)を比較したものを示す。市販の両フィルムともに埋込み12週間後でも殆ど残存率の低下は見られなかったが,キトサン複合化フィルムでは明確な残存率の低下が確認できた。フィルム2の土中埋込試験前と3週間後を図4に示すが,フィルムの種類によっては,埋込後の形状が膨潤するものもあった。 土中におけるフィルム残存率の低下原因として,土壌水によるフィルム可溶成分の溶出と微生物による生分解が考えられる。そこで,耐水性試験を行って土壌水の影響を調べた(図5)。埋込試験1週間後の試料で約20%の残存率低下が見られるが,これは耐水性試験の重量変化に匹敵しており,埋込初期は土壌水分によりフィルム可溶分の溶出が起こり,その後微生物による代謝に由来し徐々に分解されていくものと推定される。 3.3.2 酵素分解促進試験 生分解性の評価方法として,土中埋込試験は実際の環境下で試験を行うため必要不可欠であるが,試験に長期間を要し気候等に影響されやすく再現性が低い。そこで,キトサナーゼを用いた酵素による分解試験を考案した。温度,緩衝液pH,酵素溶液の濃度等基礎条件を検討した後,再現性の良好な条件下で行った結果を図5に示す。試験開始後20日でフィルム残存率が約45%に減少した。このフィルムは土中では同じ値まで減少するのに約20週間の期間を要した。他の殆どのフィルムにおいても酵素分解促進試験における分解期間は,土中埋込試験の約1/7〜1/10程度となることを認めた。 3.3.3 生分解性の制御 分解時期はキトサン,PVA,可塑剤,架橋剤の種類や添加量,フィルム調製方法によって変化する。特に,架橋剤の役割は大きいと推測される。図6に架橋剤添加量が及ぼす分解時期の影響を検討した結果を示す。 この要因については,フィルム中の架橋構造の増加にあると考えられ,架橋剤により容易に分解時期を調節することが可能であった。 3.3.4 分解機構の探索 赤外分光分析によりフィルムの分解挙動を解析した結果を図7に示す。両試験ともに初期に土中の水分或いは海水により可溶成分の溶出が起こり,相対的にキトサン比率が高くなったためと考えられる。それ以後は,残存率の低下とともにキトサン比率も減少していくことから,微生物がキトサン成分を分解していくことが確認された。また土中の方がキトサン分解菌が多いと考えられ,海水よりも早い分解が見られる。耐水性試験では,キトサン複合化フィルム中のキトサン比率に変化がなかったことより,キトサン成分の分解がフィルム分解を誘発すると考えられる。 |
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図8に一般生菌の抗菌性試験結果を示す。抗菌効果の判定は,一般に対照(サンプルを入れない菌液のみの試験)に対して,2桁以上低下した場合に抗菌効果があり,さらに4桁以上低下すると抗菌効果が強いと判定される。 市販のポリエチレンやビニロンは,全く抗菌性を示さないのに対して,キトサン複合化フィルムでは菌の増殖抑制効果が高く,フィルム内容物等を変えることによりその強さを制御することが可能であった。また抗菌能はキトサンアミノ基に強く左右されることも確認できた。 |
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図9 開発した受容層と印刷物 |
1) | 奥脇昭嗣:廃プラスチックリサイクルの方向性,化学技術戦略機構,Vol.14,No.2,p.8-9(2000) |
2) | 西山昌史:機能紙から生まれた生分解性プラスチック,機能紙研究会紙,Vol.30,p.18−24(0991) |
3) | 福田和彦:生分解性プラスチックの研究・開発動向,工業材料,Vol.39,No.8,p.18-23(1991) |
4) | キチン及びキトサンの成形技術に関する展望とN−アセチル化によるN−アセチルキトサンゲルの調製条件の検討,製品科学研究所研究報告,No112(1988) |
5) | 石川県,根上工業株式会社,特願平09-036725 |
6) | 吉村治,根上工業株式会社,科学技術振興事業団,特願2000-185357 |
7) | 見矢勝,大阪工業技術試験所報告,第369号(1986) |
8) | 佐伯義光:酸化チタン光触媒を用いた抗菌タイル,工業材料,Vol.43,No.1,p.94-100(1995) |
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