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Development of a Thin Type Drive Unit for Electric
Wheelchairs Mitsuyoshi MAEKAWA, Toshihiro NAKAYABU, Tetsuro TAKAHASHI and Sumio ASADA |
The electric wheelchair is generally unsuitable for
narrow Japanese house and also being difficult to maneuver into the automobile
physically because of its size and weight. Therefore it needs to be compact and
light. In this study, light and thin drive unit for the electric wheelchair was
developed. This unit was composed of a print motor and a harmonic drive gearing
with which high reduction ratio with the same weight and mechanical dimensions
were obtained. The drive unit was able to be stored in the hub, moreover there
was no interference between frames of the wheelchair and drive unit. As a result,
it was easy to remodel the various wheelchairs into the electric wheelchair, and
it was possible to put the improvised electric wheelchair with fixed drive unit
into the automobile. Key Words:Electric Wheelchairs, Drive Unit, Print Motor, Harmonic Drive Gearing |
2.1 電動車いすの生産台数と利用対象者 日本車いす工業会の調査では,1998年度に生産された車いすの台数は約19.3万台で,電動車いすはわずか1.1万台であった(表1)。 一方,電動車いすを補装具として給付を受けられる人は肢体不自由者の中でも、下肢だけでなく上肢にも何らかの障害をもっている人である。必ずしも障害の疾患分類から電動車いす対象者を割り出せるわけではないが,厚生省の調査結果から四肢に障害を伴うと想定される主な疾患名と人数を表2にまとめた。 実際,リハセンターにおける車いす利用者を疾患別に見ると,脳血管障害(脳卒中の後遺症)が最も多く,次いで交通事故,労働災害,スポーツ傷害などによる脊髄損傷,脳性マヒ,進行性筋萎縮症,骨関節疾患などの順となる。 また,リハセンターでの電動車いす適合実績から,本人の残存能力で電動車いすを走行させることが見いだせず介助用車いすを利用している症例が非常に多い。 以上,車いす生産状況と医療現場の状況を併せて考えると,電動車いすの潜在的需要は極めて多いと推測される。 |
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1)座位保持性 | ||
<能力> | ・ | 体幹は不安定だが,適正な座位保持によって電動車いすの操作が可能になる場合が多い。 |
<要望> | ・ | 個々に適した座位保持調整が必要なため,車種を限定されては困る。 |
・ | 手動または介助用車いすを所有している場合は,本人の車いす形態に類する電動車いすもしくは簡易に装着できる駆動装置を望む。 | |
2)移乗能力性 | ||
<能力> | ・ | 疾患および障害の進行度合いによって差異はあるが,一旦立ち上がる或いは座位の状態での車いす移乗が可能な場合が多い。 |
<要望> | ・ | 電動車いすの座面高は,椅子やベッドの高さ(移乗しやすい高さ)を基準にしてほしい。 |
・ | 手動または介助用車いすを所有している場合は,移乗しやすい座面高やアームレスト型式を採用し,住環境も併せて調整しているため,本人の車いす形態に類する電動車いすもしくは簡易に装着できる駆動装置を望む。 | |
3)走行操作性 | ||
<能力> | ・ | 上肢や手指の麻痺で到達能力や把持能力に制限はあるが,インターフェースの工夫によって電動車いす操作が可能になる場合が多い。 |
<要望> | ・ | 屋内移動では,幅を取らず,小回りや低速安定走行性能が必要である。 |
・ | 外出或いは目的地に着いて使用する場合は,最低 5q程度の走行距離を必要とし,自家用車への積載が容易な小型軽量化,登坂路面に対応するトルクと制動性が必要である。 | |
・ | さまざまな上肢や手指能力に対応する制御装置が必要である。 |
一般にロータ(電機子)を扁平状にしたものをフラットモータといい,モータ形状がフラットなため取り付けスペースをとらないといった長所がある。さらにこのロータを絶縁版に印刷することで薄くしたものがプリントモータである。 しかし,プリントモータにはブラシがあるため寿命を考慮する必要がある。そこでブラシの寿命を長くするために出力に余裕を持たせ,本開発ではプリントモータに活タ川電機製 UGPMEM-09A12(オプチカルエンコーダ付き)を採用した。ブラシ推定寿命を4000hと仮定し,毎日10km走行した場合でも5年の寿命が確保されることになり,補装具としての耐用年数を満たすことになる。採用したプリントモータの定格および主な仕様は表3の通りである。 |
表3 モータの定格及び主な仕様 | |||||||||||||
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ハーモニックドライブは波動歯車装置ともいい,金属の弾性変形を利用した減速装置である。一般にウェーブジェネレータ,フレクスプライン,サーキュラ・スプラインの3個の基本要素で構成され,図1のように組み合わされている。 このハーモニックドライブの特徴として, ・一段で1/50〜1/320の高減速比が得られる ・一般の歯車装置に比べ1/3以下の容量と1/2以下の重量で同じトルク容量と速比が得られる ・バックラッシが小さい ・摩擦による動力損失が少ない などがあげられ,本開発に最適な減速機である。 モータ回転と速度の間には次式の様な関係があり2), 1/R=1.67×104v/NπD N:モータ回転数[rpm] v:速度[km/h] D:駆動車輪径[mm] 1/R:減速比 本開発で求められる減速比は,所要速度4.5[km/h]、駆動車輪径610[mm],回転数3000[rpm]より 1/R≒1/76.6 となり,減速比1/80の潟nーモニック・ドライブ・システムズ社製フラット型ハーモニックドライブFB-25-80-2-Gを採用した。 |
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3.5 薄型電動駆動ユニットの設計・試作 ハブ内にプリントモータとハーモニックドライブ組み込んだ薄型駆動ユニットを設計し(図2),試作を行った。駆動ユニットはプリントモータの側で車体と固定し,車輪にはハニカム型ディスクホイールを採用した。ユニット単体では評価できないことから,県内車いすメーカの潟Vグ・ワークショップ製車いす「カーナ」に装着した。なお,操舵及びコントローラは英国Penny+Giles Drives Technology Ltd製Pilot25iを,バッテリは米国サイクロン社製 シール鉛蓄電池Dセル(12V2.5Ah×2ヶ)を採用した。モータの制御方法として,省電力に有効なPWM(Pulse Width Modulation)制御法を採用した。 |
![]() 図2 駆動ユニット組立図 |
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図4 電動カーナ全景 | 図5 折り畳んだ状態 |
1) | 総理府編:平成11年版障害者白書,大蔵省印刷局,1999 |
2) | 戸田孝,中村修照,寺嶋正之:制御用小型モータの活用,東京電機大学出版局,1989 |
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