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布製の車いす用スポークカバーの開発

■株式会社トータルシステム 山崎 秀夫

■技術開発の背景
  車いすスポークカバーは,車輪への手の巻き込みを防ぐ目的で用いられており,既存品としてプラスチック製のものがある。複数の顧客から透明プラスチック製カバーに,オーダーメイドで図案を印刷してほしいという要望があり,個別対応を行っていた。その中で,軽量化,衛生面,持ち運びなどの必要性から布製のスポークカバーを考案し,商品化に至った。

■技術開発の内容
  顧客ニーズをふまえて加賀友禅,若者向け,高齢者向けなど約30点のデザインバリエーションを展開した。また加賀友禅作家による一品物や,インクジェットプリントを用いたオーダーメイド制作も可能とし,世界で一台の自分だけの車いすができるようにした。
  これまでは車いすのオーダーメイド販売が殆どで,自社商品を開発して販売するといった経験が無かったため,開発から商品化まで石川県工業試験場に指導を仰いだ。

(図1 開発したスポークカバー)

■製品の特徴
  現状のスポークカバーはプラスチック製で,回転軸となる中心に穴があいていたが,車いすは屋内で使用する場合が多く速度が低いことから,車輪全体を覆う布製のスポークカバーとした。従来のように回転する部分がむき出しにならず,手のあたりが柔らかく,インテリアにマッチし,軽く,洗えて折り畳んで収納できるといった長所がある。布製で対応することにより,比較的安価に提供できるため潜在的な需要を掘り起こすことが可能となった。
  また,布の長所でもあり欠点でもある,よれや変形などをできるだけ少なくして,車輪に取り付ける新しい方法を考え,部品の設計,試作を試行錯誤しながら行った。

(図2 開発した取り付け部品)

■今後の展開
  本製品は今年,石川ブランド認定を受けた。また,東京ビッグサイトで行われた「国際福祉機器展」に出展したところ多数の引き合いがあり,今後の需要の拡大が期待できた。
  現在,布製のスポークカバーは当社しか製作しておらず,先行メーカーとして優位な展開も期待できることから,今後に量産化を行う予定である。今回,自社商品の開発は初めての試みであったが,社内に商品開発や販売促進のノウハウを構築することができたので,引き続きデザインバリエーションを展開し,新しい市場を開拓していきたい。