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高精度ブッシュ加工用1ダイ4パンチプレスの開発

■伊藤工業株式会社 伊藤 徳幸

■技術開発の背景
  国内チェーン業界では,自動車のタイミングチェーンに代表される高付加価値(低騒音,高精度)な用途への展開が進められているが,より高精度なブッシュの製造方法が課題となっています。また海外ではオートバイエンジン向けタイミングチェーンの需要が急増しており,マーケットの規模は拡大していくことが想定されます。そこで当社では「平成21年度ものづくり中小企業製品開発等支援補助金(試作開発等支援事業)に係わる補助事業」の支援を受けて,工業試験場と連携し,トランスファーを利用しない金属プレス加工技術,すなわち1ダイ4パンチプレスの開発を行いました。現在は精密部品や電子部品加工への応用へ取り組んでいます。

(図1 1ダイ4パンチプレス)
(図2 チェーンブッシュ)

■技術開発の内容
[1]工業試験場の協力を得て類似機の現状解析のため,動作精度測定,振動解析及び有限要素解析等により,データの収集や問題点の抽出を行いました。
[2]現状解析を基に構想設計,機構設計,工程方案作成を実施し,パンチ旋回機構とスライド金型機構等を用いて線材から5工程でブッシュ加工が可能なプレス装置の開発を行いました。
[3]駆動源にサーボモータを利用することでモーションの最適化やソフトウェアカムにより高度なタイミング設定を実現可能となりました。

■製品の特徴
  1ダイ4パンチプレスは通称ヘッダープレスと呼ばれる横型のプレス機であり,線材を利用しブッシュ等の生産が行えるプレス機です。本機の特徴は従来のヘッダープレスでは難しいとされてきた同心度の高精度化(±0.01)を達成出来ること,トランスファープレス等で11工程必要な製品を5工程で出来ること,フープ(条)材を利用しないので材料歩留まりの飛躍的な向上が望めること,工程数が少なくまたダイスが一つしかない為段取り時間の短縮が望めること,金型制作費を抑えることが出来ること,経験の有無にかかわらず容易に段取り作業が行えること等が大きな利点となります。

■今後の展開
  1ダイ4パンチプレスはブッシュ生産用だけでなく,金型を開発することで様々な精密部品や電子部品生産用として利用ができ,また高速生産性をさらに高めることで応用分野への拡大を図る予定です。