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M型(マウントタイプ)洋風瓦の開発

■小松協栄瓦企業組合 山下 敏秀

■技術開発の背景
  近年の生活様式の変化に伴い,伝統的な「和瓦」に対し「洋風瓦」の需要が伸びている。「洋風瓦」といえば平板瓦をイメージするが,この平板瓦で雨水が内側に入ってしまう。そのため,現状では下を防水シートでカバーしているが,瓦の機能としては決して良いとはいえない。そこで,顧客ニーズに応える為,北陸の気候風土(高温多湿,多雪寒冷)に対応し,雪害,凍害,塩害に強い「洋風瓦」の開発に取り組んだ。

■技術開発の内容
  工業試験場から原土の分析や物性評価,洋風瓦のJIS規格に関する指導を受け,製品コンセプトを以下の通りとした。
(1)瓦本来の機能を生かし,「洋風」にマッチした外観施工性の良いものを考慮し,一山タイプの形状にした。
(2)北陸の原土を使用して強度を維持する為,1,200℃焼成で発生する歪みや,洋風瓦に成形する際に生じる亀裂の防止対策として,厚い部分と薄い部分のバランスが良い形状を設計した。
(3)焼き物は製品に若干の寸法誤差が生じるので,形状を工夫して屋根工事の際,寸法調整が出来るようにした。
(4)洋風建築にあう色彩を考慮し,マットブラック,ライトブラウン,イエロー,レッド等,従来の「和瓦」と異なり,光沢が少なくしかも明るい色調にした。
(5)瓦の水返し強化を計り,緩勾配に対応できるようにした。

■製品の特徴
  上記のコンセプトに基づいて試作した瓦は,以下の特徴を持っている。
(1)曲げ強度2000N以上(JIS規格1500N以上)。
(2)両面施釉により,塩害に強く耐久性がある。
(3)従来の和瓦に比べ1枚当たりの重さが3.5%軽量で,屋根の総重量を軽減できる。
(4)屋根勾配3寸まで対応できる。

(M型(マウントタイプ)洋風瓦)
(洋風瓦の施工モデル)
(一体袖)

■今後の展開
  屋根の具材を出来るだけ減らし,シンプルで屋根全体の総重量の軽量化と施工性を高め,施工コスト低下を図る。その一環として,一体袖の開発に取り組み完成した。今後もさらなる改良を継続し,顧客ニーズにお応えできるようにしたい。