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クイックシートのバリアフリーへの展開

■サンコー企画株式会社  浦辺 俊行

■技術開発の背景
  当社は平成5年に設立し,路面標示用シート「クイックシート」の企画・製造・販売を主な業務としている。このクイックシートを道路・駐車場の路面標示以外の新しい市場へと展開することが当社の重要な課題である。このクイックシートは,塗料による路面表示に比べて耐久性が2倍,施工時間が1/3という長所を持っており,また,溶融させて貼り付けるため,凸凹な路面形状にも対応できる特徴がある。
  着目したのは,「交通バリアフリー法」などにより急速に普及している視覚障がい者誘導用ブロック(通称,点字ブロック)である。この点字ブロックは,必要とする弱視の人にとって見えにくい色であることが多く,障がい者団体の要望により色を補修する工事が頻繁に行われている。しかし,従来のブロック交換による色補修工事は工期が長く,費用が高いという課題があり,この分野におけるクイックシートの活用を検討した。

■技術開発の内容
  クイックシートの凹凸形状にも貼り付けられる特徴を活かし,点字ブロックの色補修工事への応用を検討した。色補修は,周囲の路面との輝度比を2.0以上にしなければならない。そこで,主だった路面の色の23色とクイックシートの黄色の輝度比を計測した。その結果,従来の黄色では23色の路面の約90%で輝度比が不足することが分かった。そこで明るめの黄色「レモンイエロー」を製作し,同じ計測をした結果,23色のうち約70%が輝度比2.0を満たした。

■製品の特徴
  クイックシートによる色補修工事は,図1のように現状のブロックを撤去せず図2のように溶融させて貼るだけで,施工時間の短縮,低コストが可能となる。また,表面を塗装する補修工事と違い,同じ色で厚みがあるため,色落ちの心配がない。

(図1 ブロック交換による補修)
(図2 クイックシートによる補修)

■今後の展開
  クイックシートそれ自身は,凸部がないために点字ブロックにはならず,応用は補修用に限定される。今後は、点字ブロックのJIS規格に適合した凸部を持つクイックシートを開発し,新設用途へも市場開拓していく予定である。
  さらに,図3のカラフルでデザイン性が高いデザインシートの普及も進めているが,カラフルであるが故に色弱者への配慮が必要になる。色弱者にとって見えにくくないかといったカラーバリアのチェックをデザイン段階で導入する製作工程を確立させ,住みやすい街づくりに貢献していきたいと考えている。

(図3 デザインシート)