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■技術開発の背景 本格的な高齢社会を迎え,今後益々車いすを利用される高齢者が増える。しかし,車いすを利用される方は一人では移動が制限され,自立した生活を送る上で屋内外の移動を支援する機器が重要となる。この移動支援機器に段差解消機があるが,従来の製品は油圧や電動モータ等により上下動するために,大掛かりで高価なものが多かった(図1)。 一方,金沢大学,工業試験場,県リハビリテーションセンターが共同で研究を進めていた無動力段差解消機が,この課題を解決する一つの方法と考え,製品化を目指した共同開発に着手した。 (図1 一般的な段差解消機 ) ■技術開発の内容 無動力段差解消機の原理は,図2・3のように車いすの車輪の回転を利用することで上下動するものであり,油圧や電動モータなどの動力源を持つ必要がない。まず,機構的には原価低減のためにボールネジ方式からラック&ピニオン方式に変更した。これによりバネで行っていたパワーアシスト機構をガススプリングに変更し,先行研究と同様に手動でも容易に昇降できるようにした。 さらに,製品の仕様を決定するにあたり,車いすを利用する人の身体特性と使用する車いすの形態から要求機能を分析し,3機種に分類されることが分かった。3機種は,最も廉価で手動車いすを対象とした手回し型,軽量な電動車いすを対象とした簡易電動車いす型,重量のある電動車いすを対象とした標準電動車いす型である。 (図2 本装置の基本構造 ) (図3 無動力段差解消機で上昇する様子 ) ■製品の特徴 ●特殊な工事が不要。(設置・撤去が容易。介護保険ではレンタル扱いのため重要) ●停電や災害に強い。(電気を使用しないので停電や浸水にも強い) ●スイッチが不要。(昇降用スイッチの設置位置の悩みが解消) ●軽量で安価。(電装品もなく,軽量で安価) なお,本開発は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)平成15年度福祉用具実用化開発助成金を受け,金沢大学,工業試験場,リハビリテーションセンターの共同で実施した。 |
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