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■技術開発の背景 豆腐,ヨーグルト,ゼリー等のゲル状食品では,品質の要素として,その硬さ,弾力等の物性が非常に重要な品質項目であるにもかかわらず,ロットの中から一部の製品の抜き取り検査を行っているにすぎない。しかしながら,このような抜き取りによる検査では,検査漏れのリスクや経済的な損失等の多くの問題がある。そこで本技術開発では,ゲル状食品の凝固状態を非破壊非接触で瞬時に測定でき,高速の生産ライン上への設置や全自動での全数検査が可能な品質評価装置が求められていた。 ■技術開発の内容 本技術開発の核となる技術シーズはスペックルパターンによる品質評価技術である。検査物体に照射されたレーザー光は,パッケージ内部に浸透し,ゲル状物質内で反射,屈折等を繰り返して複雑に散乱する。その散乱光はゲルの網目構造やその粗密を反映して,独特な干渉パターン,即ちスペックルパターンとしてパッケージ外部で観測できる。その画像を解析・数値化し,ゲル状物体の凝固状態や物性を評価する(特許出願中)。これまでに行った基礎研究により,得られる計測値はゲル状食品の凝固状態,特に網目構造の形成状態や粗密などを反映したものと分かっている。 試作した凝固検品装置の卓上型とオンライン型の概観を図1,図2に示す。前者は抜き取り検査用で,バッチ生産向きである。後者は充填豆腐(150g)で処理能力4800丁/時での全数検査を実現した。兵庫県K社にて約2年間試験的に稼働中で,従来の人手による検品作業に換えて,不意に発生する未凝固品の出荷を防いでいる。 充填豆腐について計測結果を図3に示す。凝固剤割合と計測値との関係はS字状で,豆乳状態と凝固状態の区別は凝固剤割合20〜80%の範囲で可能であった。 ■製品の特徴 1. 非破壊計測:樹脂・紙製の包装容器であっても開封せず中身の凝固状態を評価できる。 2. 非接触計測:センサー部には接触部がなく,洗浄作業などのメンテナンスを軽減できる。 3. 瞬時計測:1回の計測は数十m秒と極短時間で,高速・多数計測が可能である。 4. 全数検査:抜き取りよりも品質管理の信頼性を向上させ,データも全数保存可能である。 5. 物性評価:凝固・未凝固,ゲル・ゾル,乳化状態や粘性・弾性・硬さ等を評価でき得る。 6. 凝固過程評価:凝固化やゲル化をモニターすれば,硬化や発酵過程の指標になり得る。 ■今後の展開 計測精度の向上や高速移動への対応,装置の小型化,演算速度の高速化を図ることにより,工場の生産ラインに導入可能で,安価な品質評価装置の事業化を図る。さらに,他の樹脂や化成品などへの適用についても可能性を追究する。 |
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