無鉛和絵具の新色を開発  ―新しい無鉛青絵具を追加―

 九谷焼は、「九谷五彩」と呼ばれる色鮮やかな和絵具を使用した装飾が特徴です。従来の和絵具には鉛が含まれていましたが、陶磁器製品からの溶出規制強化へ対応するために無鉛和絵具(鉛を含まない絵具)を開発し、業界での製品化を支援してきました。「九谷五彩」には、青(緑)、黄、紺青、紫、赤の5色があります。その中でも青は多く使用されていますが、業界から、現状の無鉛青絵具よりも黄色見の強い(緑色に近い)青を開発したいとの要望を受けて、新しい青絵具の開発に着手しました。

 無鉛和絵具は、母材となる無色透明な無鉛フリット(ガラスの粉砕物)と色素からできています。工業試験場では九谷上絵協同組合と共に、より黄色見が強くなる無鉛フリットの調合や色素の組合せについて検討を行いました。絵具の発色、透明性、耐久性などを試験し、業界が要望する新しい青絵具を開発することができ(図1)、作品に使用されています(図2)。絵具などについてご質問のある方は、気軽にお問い合わせ下さい。


図1 従来青(左)と新規青絵具(右)


図2 新しい青絵具を使用した作品

 

担当:九谷焼技術センター 木村 裕之(きむら ひろゆき)

専門:陶磁器

一言:鉛溶出の規制値が厳しくなりました。法令を遵守しましょう。