超音波を用いた発酵技術を開発  ―超音波照射による発酵促進・状態検知―

 醤油や酒をはじめとする発酵食品の製造時には、発酵に関わる菌(酵母や乳酸菌など)を適切に働かせて発酵が進むように、注意を払う必要があります。そのため、発酵時の温度管理などが一般的に行われていますが、発酵が滞ってしまうなど安定しない場合があります。

 そこで、発酵の促進を行う新たな方法として超音波に着目し、石川県立大学、小松電子(株)(小松市)、県内の食品メーカー各社と共同で、超音波を用いた発酵技術の開発を進めています。これまでに、発酵時に超音波を照射できる小容量の発酵槽(写真)を試作して発酵試験を行った結果、超音波照射時には酵母の増殖の促進や、発酵に伴う産生物の増加などが見られ、超音波照射が発酵の促進に効果があることが確かめられました(特許出願中)。また、発酵食品中の超音波の伝搬速度と、発酵に伴う食品の物性変化との間には相関があり、発酵状態の検知に超音波を利用できることが分かりました。今後は、発酵槽の容量を100L程度にまで拡大して、超音波照射の効果の検証を続けていきます。

 なお、本開発は「地域伝統発酵食品に学ぶ先進的発酵システム構築と新規高機能食品開発」(文部科学省:地域イノベーションクラスタープログラム(都市エリア型))の一環として実施しています。


超音波照射可能な発酵槽(容量約4L)

 

担当:電子情報部 米沢裕司(よねざわ ゆうじ)

専門:画像処理、信号処理

一言:新技術・新製品の開発をぜひご一緒に。