熱流体解析を用いた設計支援  ―電子部品の強制冷却―

 電子機器製品においては、安定的な動作を保証するために、熱対策が重要となっています。また、ヒーターなどの発熱を伴う機器においても断熱及び冷却方法を検討し、機器設計することが必要です。そのため、近年では製品開発の短期化や低コスト化を目的に、コンピュータを使用して、空気や水の流れと温度分布の解析が行われています。

 工業試験場では、県内企業の製品開発を支援するため、流体の解析が可能な鍛造・熱流体解析システムを導入しました(JKA設備拡充補助事業)。本システムを活用し、電子部品の冷却方法について検討した事例を図に示します。

 図は、発熱する電子部品(発熱量40W)を3個搭載した銅板(200×100×12mm)に設けられたφ8mmの流路に20℃の水を流したときの温度分布を解析した結果です。入口付近の部品温度は低く、出口付近の部品温度が高くなっていることが分かります。また、銅板裏面での温度分布も把握することができます。異なる流路で温度分布の解析を繰り返すことにより、全体を効率良く冷却する流路を見つけ出すことができます。

 このような電子部品の温度分布解析のほか、水車や風車が回る時の圧力分布や流速分布、自然対流による温度分布の変化なども解析することが可能ですので、ぜひご相談ください。

電子部品の温度分布解析例(1/2モデル)

 

担当:機械金属部 新谷隆二(しんたに りゅうじ)

専門:繊維機械、騒音振動測定、流体力学

一言:見えない流れを数値解析が可視化します。