機能性アラミド繊維製品を試作  ―スーパー繊維の高機能化に関する応用研究―

 スーパー繊維の一種であるアラミド繊維は、強度や耐熱性に優れる一方、樹脂加工剤との密着性が低いため、後加工による機能性付与が困難とされています。

 本研究では、アラミド繊維に対し、ハロゲンガス等を含む気相中で前処理した後、撥水(はっすい)加工(水をはじく加工)を施しました。洗濯試験により耐久性を調べた結果、図1のように、気相処理を行わない場合は洗濯後に撥水性が低下し濡れが目立つのに対し、気相処理した場合は洗濯後も撥水性が保たれていました。これは、気相処理によりアラミド繊維表面が改質され、撥水剤との密着性が増大したためと考えられます。

 この撥水加工アラミド布を用いて、撥水性防護手袋(図2)を試作しました。用途としては、強度が求められるバイク用グローブや、耐熱性が求められる消防用手袋などがあり、長期間撥水性が維持でき、防水効果があります。
本研究では、手袋以外にも気相処理を行った機能性アラミド繊維製品を試作し、スーパー繊維の用途拡大に役立てる予定です。


図1 撥水加工アラミド布の撥水性能(洗濯50回後)


図2 試作手袋 (紺色が撥水アラミド布)

 

担当:繊維生活部 守田啓輔(もりた けいすけ)

専門:繊維高分子材料、繊維物性、繊維加工、快適性評価

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