能登珪藻土を用いた脱臭触媒の開発  ―珪藻殻の多孔性を触媒担体に活用―

 工業試験場は平成15年に能登珪藻土製品化研究会を形成し、豊富な埋蔵量を有する能登珪藻土の新規用途開発を進めてきました。能登珪藻土の大部分は珪藻殻から構成され、無数のミクロンオーダーの細孔が存在します。この特性を活かしレンガやコンロに広く用いられています。今回、能登珪藻土の新たな利用法として触媒担体への応用を目的に脱臭触媒の開発に取り組みました。

 能登珪藻土を真空土練機で円柱形状の担体に押出成形し、大気中700℃で焼成します。この担体表面に触媒成分を含む水溶液を吸着し、固定化、活性化処理を行うことで触媒(図1)が作製できます。

 次に触媒性能は二つの方法で調べました。固定触媒層へ窒素中に0.2%の一酸化炭素と2%の酸素を混合したガスを流通すると170℃で一酸化炭素の酸化反応が進み、シリカ、アルミナを用いた市販触媒と同等の性能を示しました。もう一つはアンモニアガス浄化の実証化試験です。石川県畜産総合センターの畜舎ガスを採取し触媒層を固定した反応装置に通すと、図2に示すように珪藻土のみでは時間とともに浄化率が低下しましたが、試作触媒では浄化率を保持できました。

 今後、脱臭触媒の実用化を進め、能登珪藻土に関連する新たな産業の発展を支援していきます。

 


図1 試作触媒

図2 試作触媒の性能評価

 

担当:化学食品部 北川賀津一(きたがわ かづいち)

専門:無機材料工学

一言:能登珪藻土の新規用途開拓