アラミド繊維表面を改質処理  ―スーパー繊維素材の機能化に関する研究―

 スーパー繊維の一つであるアラミド繊維は、汎用繊維に比べて優れた特性(高強度・耐熱性・耐薬品性 等)を持っています。ただ、同繊維は表面構造が強固なため、一般に染色や後加工が困難とされています。このため、主に産業資材や防護服など、強度や耐熱性が求められる特殊分野に用途が限定されていました。同繊維の利用範囲を上記以外に展開して需要拡大を図る上で、加工性の向上が課題とされています。

 そこで本研究では、アラミド繊維の染色や後加工を容易にする目的で、高反応性のハロゲン系ガス等を含む気相中でアラミド繊維布を処理する表面改質試験を行いました。下図に示すように、気相処理布の方が未処理布に比べて染色濃度が大きくなっていることから、気相処理によってアラミド繊維表面に活性基が形成されて、染着性が向上したと考えられます。

 本方法は、アラミド繊維に機能性を付与するための前処理技術として応用できることが期待されます。今後も研究を継続し、気相処理アラミド繊維を用いた機能性繊維製品の試作開発に繋げる予定です。


アラミド繊維布

気相処理前後のアラミド繊維布

 

担当:繊維生活部 守田啓輔(もりた けいすけ)

専門:繊維高分子材料、繊維物性、繊維加工、快適性評価

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