三次元レーザ溶接装置の開発  ― 半導体レーザ溶接技術の実用化に向けて ―

 電子産業などでは、微細かつ極薄な素材を精密に溶接する技術が求められています。工業試験場では、大阪大学と共同で半導体レーザを用いた超薄板溶接技術の開発に取り組み、厚さ0.1mm以下の超薄板の溶接を可能にしました。しかし、その適用は平板など形状が単純なテストサンプルに限られていました。

 そこで、様々な形状の実製品についても溶接を可能にするため、県内企業の協力を得て全6軸の位置決め機構を搭載した三次元溶接装置を試作しました。これにより、溶接ワークの三次元的位置決めと同時にレーザ光の出力強度をプログラム制御することが可能になりました。

 この装置を用いて、厚さ0.3mmのステンレス製織機部品を溶接した結果、溶け込みが均一で欠陥のない安定した溶接ができました。この他にも、これまで製造が困難であった厚さ0.1mmの耐熱合金製溶接ベローズをガス漏れ欠陥なしで溶接するなど、実製品への適用が可能になりました。

 現在、この他にも県内外の企業と超薄板溶接技術について共同研究を行っていますので、ご興味・ご関心のある方は是非ご相談ください。


三次元半導体レーザ溶接装置

担当:機械金属部 舟田義則(ふなだよしのり)

専門:レーザ加工、精密測定

一言:県内発の新技術を県内企業で実用化することを目指して開発を進めています。