スキンケア繊維製品の開発  ―シクロデキストリンを繊維に応用―

 工業試験場では、これまでJSTイノベーションプラザ石川の育成研究に採択された「包接能化合物固定化技術の開発とその加工プロセスの実用化」を、県内外の企業及び大学と共同で進めてきました。

 本研究では、分子内部の空洞に機能性成分等を取り込むことができる「シクロデキストリン」という物質について、繊維等の表面加工への利用を検討しました。このシクロデキストリンに取り込まれた物質は、熱や光等に対して耐性を持つようになります。このため、優れた機能を持ちながらも不安定なためこれまで使うことができなかった機能性成分でも、シクロデキストリンを利用すれば、布の後加工に応用できる可能性があります。

 これまでの研究結果により、機能性成分としてビタミンE等をポリエステル布に固定化することが可能になり、さらに、ビタミンEを固定化した布は、高い抗酸化能を持っていることを確認しました。

 また、本研究の成果をもとに、製品の試作と各種展示会への出品も行いました。今後は事業化に向けて、技術移転を進めていきたいと考えています。


シクロデキストリンでビタミンEを固定化した試作品

担当:繊維生活部  神谷 淳(かみたにじゅん)

専門:繊維物性、有機化学

一言:工業試験場のご利用をお待ちしております。