食品衛生法の改正に向けて
〜無鉛和絵具の開発・普及〜


 九谷焼は高い透明感と独特の色調を持つ「九谷五彩」と呼ばれる上絵装飾が大きな特長です。九谷焼に限らず陶磁器の上絵具には鉛が含まれています。鉛は重金属であり、人体に影響を与えます。このため、食品衛生法により「陶磁器製食卓用品の鉛及びカドミウムの溶出規格基準*」が定められています。1999年には、国際的な規格(ISO)の溶出基準の改正(規制値強化)が行われ、国内的にも2007年に食品衛生法の改正が予定されています(下表参照:鉛の規制値)。
 工業試験場では、これまでに無鉛和絵具の開発・技術移転を行ってきました。現在、和絵具以外に九谷焼で使用されている盛絵具(不透明な絵具)の無鉛化を行っています。
  また、業界でも無鉛和絵具専用の焼成炉の導入や鉛を含む従来絵具の鉛溶出量の低減試験等を行っています。今後も業界と連携しながら規制値強化に対応していきますので、お気軽にお問合せ下さい。

  食品衛生法(現行) 改正見込値(ISO値)
深さ 25mm未満 17.0μg/cm2以下 8.0μg/cm2以下
深さ 25mm以上 1.1リットル未満 5.0mg/リットル以下 2.0mg/リットル以下
1.1リットル以上 2.5mg/リットル以下 1.0mg/リットル以下
碗・マグカップ 5.0mg/リットル以下 0.5mg/リットル以下
貯蔵容器 3.0リットル以上 2.5mg/リットル以下 0.5mg/リットル以下
調理用器具 - 0.5mg/リットル以下
μg/cm2 = C×V/S
C:溶出鉛濃度、V:溶液量、S:投影面積
飲食器からの鉛溶出基準値

鉛の溶出規格基準とは、食器に4%酢酸溶液(食酢と同濃度)を満たし、室温22±2℃で24時間静置することにより、酢酸溶液中に溶け出す鉛に対する基準です。



担 当 九谷焼技術センター 木村裕之(きむらひろゆき)
専 門 陶磁器
一 言 無鉛和絵具を用いた九谷焼製品が広く普及することを期待します。



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