難削性材料の高速切削加工技術
〜人工股関節のラピッドマニュファクチャリング〜


 チタン合金は、金属の中でも比強度が大きく、耐熱性・耐腐食性に優れていることから、宇宙・航空関係や化学プラントの工業材料として用いられています。さらに、近年では生体適合性に優れているという特徴から、人体に埋め込まれるインプラント材料としても脚光を浴び、2002年には「外科インプラント用チタン材料」として6種類のチタン材料がJIS規格として定められました。
  しかし、これらチタン合金は切削加工の立場からみると、難削材と言われる削りにくい材料です。これは、材料の特性として、熱伝導率が小さく、比切削抵抗が大きいこと、さらには化学的活性が高いことなどから、切削温度が著しく高くなるためです。したがって、工具寿命を延ばすためには、切削速度を落さざるを得ないのが現状であり、アルミニウム合金や構造用炭素鋼材料に比べるとチタン合金の切削速度は極めて低く、超硬合金工具を用いた場合では60m/min程度が目安とされています。
  現在、工業試験場は、新素材工具を用いた医療用チタン合金の高速切削加工技術と、その応用技術として人工股関節ステムのラピッドマニュファクチャリング技術(金沢工業大学と共同研究)に取り組んでおり、医工連携分野における金属機械加工技術の高度化と高付加価値化を目指しています。

人工股関節と高速ミーリング加工による形状創成



担 当 機械金属部 廣崎憲一(ひろさき けんいち)
専 門 精密加工 精密測定
一 言 医療用チタン合金の機械加工にご興味はありませんか?



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