未利用珪藻土の有効利用
〜輪島地の粉に未利用珪藻土を活用〜


 江戸時代中期に、輪島で発見された珪藻土を焼成して地の粉をつくり、漆に混入して塗り研ぎを何度も繰り返して、堅牢な下地をつくる工法が開発されました。これが本堅地法で輪島塗の特色の一つとなっています。
  通常、採取した珪藻土は粗く粉砕後真空土練機で均一に練り合わせて使用されています。良質な珪藻土は真空土練機を通過しますが、未利用珪藻土は真空土練機を通過できず廃棄されてきました。採取可能で良質な珪藻土は約70年分しかなく、その枯渇化が産地で問題となっていました。このため、工業試験場では未利用珪藻土の地の粉への活用方法に取り組みました。
  未利用珪藻土が真空土練機を通過できない原因を分析した結果、粘土分が不足していることがわかりました。未利用珪藻土に15%の粘土と水を加え混合すると容易に真空土練機を通過するようになり、これで試作した地の粉は従来と同等に利用することが出来ました。
  今回、量産化を行うために現地工場で指導を実施し、10kgを試作しました。図には輪島漆器商工業協同組合地の粉工場で試作している様子を示します。石川県を代表する伝統産業の一つである輪島塗の振興に役立てればと思います。

未利用珪藻土から成形品の作成されるまで



担 当 化学食品部 北川賀津一(きたがわかづいち)
専 門 セラミックス 触媒化学
一 言 堅牢優美な輪島塗の下地に地の粉は欠かすことが出来ません。



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