アンモニア(NH3)ガスは、フロンに代わる大型冷凍機用の冷媒やダイオキシン等の中和処理材料として需要が増えています。NH3ガスは有害なため、漏れ検知等にガスセンサが必要になります。最もよく利用されるのが、半導体ガスセンサですが、NH3ガス用であっても他のガス種にも反応して、誤動作する可能性があります。これは、半導体ガスセンサ素子が図左のように、表面にガスが吸着することによる電気抵抗変化で検知するため、他のガスにも反応することがあるためです。
そこで、NH3ガス用半導体ガスセンサ素子の表面にNH3ガスのみを通過させ、他のガス種を遮断するガスフィルタとして有機膜の塗布を試みました。用いた半導体ガスセンサは酸化亜鉛で、ガス検知の動作温度は350℃のため、耐熱温度が350℃以上のポリイミド膜をフィルタ材料に用いました。塗布条件等を検証した結果、フィルタ効果が確認できました。特に、誤動作しやすいNH3ガスと同種のトリメチルアミン((CH3)3N)ガスに対するガス感度を約1/10に抑えることができたため、このセンサを用いてNH3ガス計測器を試作しました。
今後、複合環境ガス下での試験評価等を通じ、試作機の改善を加えながら、県内企業による活用を目指す予定です。 |