排便検知システムの開発
〜寝たきり認知症老人介護の負担軽減のために〜


 寝たきり認知症老人の排泄処理は、被介護者にとっても介護者にとっても肉体的、精神的負担が大きいものです。尿は吸収剤の進歩によって、不快感が軽減されていますが、排便、特に下痢便が放置されると皮膚かぶれ等の原因となり、様々な負担が増えることになります。そこで、排便を検知し、即座に介護者に知らせることで適宜なおむつ交換を可能にするシステムの開発を行いました。
  図に排便検知の模式図を示します。排便検知には温度センサを用い、電池を搭載した送信機から、温度データを無線でパソコンに送信し、温度変化を調べることで、患者の排便を検知できました。また、センサは、プラスチック板上に金属膜をEB(電子ビーム)蒸着して作製することで、使い捨てを可能にしました。おむつ内での温度センサ設置位置は、約30人の患者の排便位置データから特定し、検知精度向上を図りました。
  現在の方法は温度センサと送信機を介護者が接続する必要がある等の不便があるため、今後は、介護者にとってより使い易いようなシステムの開発研究を行う予定です。なお、この研究は厚生労働省の外郭団体である(財)テクノエイド協会の「平成17年度福祉用具研究開発助成事業」に採択されました。

排便検知システム模式図



担 当 電子情報部 米澤保人 (よねざわやすと)
専門 固体表面分析 薄膜 故障解析
一言 2030年には65歳以上の人口が3割を越えると予測されています。
自分がお世話になることを考えて使いやすい機器を開発したいものです。



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