HND膜の製品化に向けたサンプルコーティングを開始
〜硬くて滑りやすい新しい炭素膜を開発しました〜


 近年、機械金属業界では各種部品の高性能・長寿命化のために、様々な表面処理を施しています。その中でもプラズマとイオンを用いて薄い膜を部品にコーティングする技術が年々注目されてきています。
  工業試験場では、これまでにダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の工具・金型などへの適用に関する研究に取り組んできました。その結果、平面部品だけでなく、従来は難しいと言われてきた3次元複雑形状物へのDLC膜コーティングを可能にしました。しかし、機械加工業界では切削速度のさらなる高速化が求められており、今までにない新しい膜の登場が期待されています。そこでDLC膜にナノダイヤモンドを導入し、それらを積層化することにより、DLC膜とダイヤモンドの両特性を併せもつ新炭素硬質膜の研究を行いました。その結果、従来のDLC膜の滑りやすさ(低摩擦係数)はそのままに、硬さを約2倍に上昇させたハイブリッドナノダイヤモンド(HND)膜が開発できました。この成果は、共同研究先である(株)オンワード技研(能美市)とHND膜中のナノダイヤモンドの粒径制御方法として共同で特許出願しました。
  また、HND膜をコーティングした切削チップによるフィールドテストを行い、良好な結果が得られたため実用化を目指し、様々なサンプルへのコーティングを開始しました。

完成したHND膜の断面構造(TEM観察)



担 当 機械金属部 安井治之 (やすいはるゆき)
専門 表面処理
一言 様々な表面処理を一緒に開発しましょう



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