漆成分の新しい分析法を確立
−近赤外分光法を利用した迅速定量法−


 最近、コンピュータのハードやソフトの発展普及に伴って、食味計、オンライン分析、無侵襲臨床診断など多くの分野で近赤外分光計が利用されはじめてきました。今回、近赤外分光計を利用した漆液成分の迅速分析法を開発しました。近赤外分光法とは波長が800〜2500nm の光の吸収や発光を利用した分析法です。近赤外バンドは、その解釈や帰属が難しく、コンピュータの利用によって初めてその利用が可能になりました。
 漆液は、ウルシオール(中国産、日本産)等の主成分及び水分、ゴム質、含窒素物の成分から構成されており、その組成分析法は、JIS 5950に規定してあります。漆液の組成は、漆塗膜の品質を評価するうえで重要な指標となります。従来法では漆液の組成分析に、1日から2日を要していました。開発した方法を用いれば、約5分で結果が求められます。遠方より来場されるお客様でも、当日中にデータを提供することができるようになりました。使用する装置(近赤外分光計)と解析データを図に示します。
 この成果は、漆成分の情報を必要とする製漆業者や県内漆器業者を対象に講習会を開催し、指導に役立てていきます。
漆成分分析に用いる近赤外分光計と解析データ


担 当 繊維生活部 江頭俊郎(えがしらとしろう)
専門 高分子化学、分析化学
一言 「うるしを科学する」がモットー。工業試験場をお気軽にご利用下さい。



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