マグネシウム板材のボス出し成形技術の開発


 コマツ産機株式会社(小松市)と共同で鍛造加工によって図1のようなマグネシウム(Mg)板材にボスのような突起物を一体成形する技術を開発しました。
 Mg材は実用金属の中で最も比重が小さく、比強度(引張強さ/比重)が大きい特長があります。また、リサイクル性にも優れていることからプラスチックに替わるIT機器筐体(カバー)の軽量化材料として注目されています。筐体には組み付けや補強のために内側に肉厚のあるボスを備えることが必要となります。そのため、高温に溶解して型成形する鋳造や射出成形による製造が主流となっています。
しかし、これらの方法では外観品質や歩留まりが悪くなるなどの欠点があります。そこで、欠点が少なく、成形時間やコストの削減が期待できる板材成形が注目されています。
 本研究では、プレスの加圧力や加圧速度を数値制御によって自由自在に動かすことのできるフリーモーション機能を用いて、図2のような後方押し出し鍛造加工と背圧成形を行う方法を検討し、板材の加熱と成形の一工程化やボス背面に生じるヒケ(へこみ)の解消を図りました。今後は、Mg板材の成形技術の普及やフリーモーション機能を活用したプレス加工技術の可能性について、さらなる探求を行っていきたいと考えています。


担 当 機械金属部 多加充彦(たかみつひこ)
専門 機械設計、構造解析、塑性加工
一言 モノづくりはアイディア・発想が勝負の時代。
オンリーワンを目指しましょう。



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