重点研究開発技術分野の調査・選定
―産学官連携への提案―


 工業試験場における研究活動の領域を明確に設定するために重点研究開発技術分野の調査と選定を行ったので、その結果について報告します。
 石川県の基幹産業である機械、繊維、伝統産業などいわゆる既存産業における重点技術課題の現状分析を行い、さらに今後の県内産業振興のため、新規産業創出の核となる重点技術4分野の現状分析も同時に行いました。これらの調査データを基に、将来必要と予想される新たな技術分野を選定し、工業試験場で実施すべき研究開発の技術分野を明確にしました。
 なお、重点技術4分野とは、国の科学技術の重点分野と県の産業科学技術振興指針の重点技術分野をまとめたものであり、(1)ライフサイエンス、(2)情報通信(IT)、(3)環境、(4)ナノテクノロジー・材料の4分野です。この4分野は今後、県内における研究開発の方向付けにおいても重要な分野になると予想されます。
重点研究開発技術分野の調査対象と調査方法は次のとおりです。
調査対象  
  既存産業 53社、29組合
  重点分野 157社
  大学研究者 375名(金大:128名、先端大:128名、金沢工大:119名)
調査方法
  企業:聞き取り調査及び研究テーマの分類
  大学:研究テーマを分析調査
 これらの調査結果を基に、既存産業における重点技術課題の抽出や重点研究開発技術分野を5つの選定基準により選定し、産学官連携による共同研究のテーマ提案を3月24日、県内企業等に行いました。その内容は表のとおりであります。
 今後、重点技術分野の選定により提案された産学官共同研究を中心に積極的に推進していきます。
連絡先
担 当 企画指導部 南川俊治
TEL 076-267- 8081

■工業試験場の重点研究開発技術分野選定結果の概要
既存産業界の今後の重点技術課題   重点研究開発技術分野選定   産学官連携による共同研究の提案
1. 電気分野
ナノテクノロジーの活用による電子部品の高精度化
ネットワーク化、パッケージ化、システム化
2. 機械・金属分野
Mg,Tiなどの新たな素材の加工技術の開発
生産迅速化のためのCAD、CAM、CAEの活用
放電加工やレーザー加工、砥粒加工技術の開発
3. 繊維分野
生分解性繊維の開発・活用研究
機能性素材の開発
非衣料分野での商品開発
特殊糸加工機械の開発
4. 化学分野
珪藻土活用商品の開発・活用研究
プラスチック加工の高精度化、短サイクル化
無鉛和絵具による陶磁器製品の開発
5. 食品分野
伝統食品の機能性食品としての活用研究
チルド化技術やレトルト技術の開発
6. デザイン・伝統工芸分野
新素材の伝統工芸への応用
伝統工芸のハイテク分野への応用
人間適合性評価技術としての生体計測技術、コンピュータマネキン技術、バーチャルリアリティ技術
IT技術を活用した設計、試作技術の強化のためのコラボレーション設計技術、バーチャルリアリティ技術
重点研究開発技術分野選定の基準
(1) 企業と大学の両方で取り組まれている分野
(2) 複数の企業で研究開発に取り組んでいる分野
(3) 大学で複数の取り組みが行われている分野
(4) 工業試験場で継続的に取り組んでいる分野、研究スタッフがいる分野
(5) これから成長が期待される分野、産業振興にとって重要であると考えられる分野 










1.ライフサイエンス
遺伝子解析技術
タンパク質解析技術
視覚聴覚障害者の情報格差是正技術
介助の身体負担軽減技術
誰もが使いやすくするための技術
医療機関治療器の在宅使用化技術
食品の高品質・高付加価値
微生物利用技術
健康維持・病気予防技術
2.情報通信(IT)
画像処理技術
電子回路技術
ネットワークアプリケーション技術
知識情報処理技術
通信技術
音声処理技術
電磁波技術
協調作業支援技術
ネットワークセキュリティ技術
3.環境
廃棄物 リサイクル技術
制御技術
水質 物理的化学的処理技術
微生物処理技術
廃棄物 燃料化学技術
焼却処理技術
大気・悪臭 計測技術
省エネ 太陽光
4.ナノテクノロジー・材料
無機系機能性素材の製造・加工技術
無機系新素材の新用途開発
精密・微細加工技術
薄膜半導体の制作技術
高分子系機能性素材の製造・加工技術
高分子系新素材の新用途開発
特殊加工技術・複合技術利用
高度表面処理技術










ライフサイエンス分野
有機フィルムを用いたセンサの高機能化研究
有用微生物を利用した食品の開発
情報弱者を少なくする視認性向上技術の研究
ナノ酸化チタン粒子による環境浄化システムの研究
微量タンパク質検出装置の開発
変異遺伝子検出装置の開発
無動力段差解消機の開発
情報通信(IT)分野
マルチセンシングと画像処理による識別システムの開発
誘導体バッチアンテナの実用化研究
IT活用指導相談ガイダンスシステムの実用化
非可視画像を用いた自動識別技術の開発
遠隔分散型Web連携協同作業支援システムの開発
知識発見型の知的情報検索システムの開発
目視可能な情報による意匠物の保護システムの開発
屋外環境下における画像処理応用装置の開発
環境分野
インクジェットプリンター用発色技術の開発
ナノ粒子触媒の応用技術に関する研究開発
微生物の新規固定化技術の開発
軽量遮音材料の開発
廃棄物のゼロミッションシステムの開発
地球環境研究(地球温暖化対策)
熱電変換技術の開発
土壌浄化技術
ナノテクノロジー・材料分野
微細加工機のためのナノ制御アクチュエータの開発
高度複合技術による生分解性プラスチックの高性能化
マイクロ・ナノ加工用工作機械の開発
高周波対応型誘電体素材を用いた移動通信用アンテナの開発
小型軽量金属部材の新規製造技術開発
機能性高分子材料によるライフケアマテリアルの開発
環境適応型高分子材料の高機能化技術の開発
低温コーティング技術の開発
マイクロリアクタ素子の開発
●平成15年テーマ
◆短期のテーマ
◇中長期テーマ



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