技術相談からのニーズを研究開発へ
― マグネシウム合金鋳造技術 ―


 素形材技術とは、図に示す7つの技術のことをいいます。これまでこれらの産業支援のために、(1)CBN※1工具による高硬度材の鏡面切削加工などの金属系新材料加工技術、(2)TIG法※2によるチタン、ステンレス、耐熱鋼の溶接条件のデータベース構築を行ってきました。
 これらの技術で扱う素材の中で、マグネシウム合金は、軽くて、振動減衰能、耐くぼみ性などに優れた特性を持っています。しかし、酸化しやすい材料のため取り扱いが難しく、製品化が困難でした。近年、これを克服する防燃ガスやフラックスが開発され、自動車部品や情報家電製品などへの応用が進められてきています。本県でも、マグネシウム合金鋳造技術に関する技術相談が増えてきました。
 そこで、平成13年度より工業試験場と県合金鋳物協同組合の7社が連携を図り、多品種小ロット生産に向けたマグネシウム合金の溶解・砂型鋳造技術の研究開発をスタートしました。
 本年度は、砂型(造形手法)の違いによる溶解・鋳造試験を行い、それぞれの機械・物理的特性を調べています。今後は、これらの結果を活かし、図の矢印のように素材から最終の製品化にいたる「型」から「表面処理」技術の「一気通貫体制」の構築を、県内企業間連携により目指します。
 工業試験場は、このように技術相談から地域に根ざしたニーズを把握し、研究を展開することで技術の支援や普及を図っています。
※1 CBN 立方晶窒化ホウ素のことで、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持つ材料。
※2 TIG法 溶接電極にタングステンを使い不活性ガスでシールドしながら溶接する方法。


担 当 機械電子部 嶺蔭士朗(みねかげしろう) 
専 門 溶接加工、精密加工
一 言 ニーズにマッチングした新材料・新技術の導入を図るための企業間ネットワークの構築を進めましょう。


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