モノづくり支援センターオープンに寄せて


石川県プレス工業協同組合 専務理事 門前重厚氏
 プレス加工業界は、1990年までは技術の発展と多方面での応用により量産品モノづくりの花形技術でした。しかし、長期にわたる需要の低迷に加え、需要産業の海外移転などによりプレス加工業界の規模も右肩上がりから下降に転じ極めて厳しい状況にあります。
 プレス加工法には、せん断、曲げ、絞りなど従来の方法の他に、ハイドロフォーミング(液圧成形)、インクレメンタルフォーミング(逐次成形)など、これから発展する可能性のある多くの手法があります。また、高張力鋼鈑、テーラードブランク、チタン、マグネシウム合金など、次々に新しい材料が市場に投入され、それらの加工法が求められています。さらには、これまで鋳造や鍛造で作っていた製品をプレス加工に置き換える「代替技術」が必要となっています。つまり、企業にとっては技術力が今まで以上に重要な意味を持つ時代になろうとしています。
 このような状況に鑑み、当組合では若手経営者を中心に平成12年度から、チタン、マグネシウムの加工実験、また、代替化技術については「モノづくり高度加工技術事業」の助成を受け、現在研究開発を行っています。この成果普及について検討していたところ、工業試験場の「モノづくり支援センター整備」のニュースが入って来ました。これは、当業界にとって、大変うれしいニュースです。
 組合では、このセンターをフルに活用し、新たな業界の活路を求めたいと考えています。具体的な活用方法としては、二つの研究グループを発足し、事業展開を行いたいと思います。一つは、新材料研究グループで、プレス加工によるチタン、マグネシウム材料を用いた自動車部品などの中・大型部品の実用化を目指します。もう一つは、代替化技術研究グループで、代替化技術の発掘を行い、実用化研究を行います。両グループとも業界メンバー外の異業種の企業も取り入れ10人以下のメンバーでの運営を考えており、「モノづくり支援センター」の整備に合わせて、年度内には研究グループの体制を整え、工業試験場と連携しながら、来年度から本格的に活動していく方針です。そこで、工業試験場には、モノづくりに利用する機器のプロフェッショナルによる指導や製品企画から販路開拓までを総合的に支援できるような体制を期待しています。



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